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◆南陽市議会一般質問が行われ、木造での建築が予定されている新文化会館について、主要な柱と梁に耐火認定を受けた木材を使用するなどの検討を行った結果、国の耐火建築基準をクリアできる見通しであることが示された。◆同市が27年度完成を目指しているもので、全国初の大型木造耐火建築物(延べ床面積3000u超)を目指し、地産地消にこだわり、同市産スギ材を柱などに使用する。◆延べ床面積は約6000u、1000席以のメーンホール、マルチホール、練習室や工房、交流ラウンジなどを備える。総事業費は約45億円。25年度は実施設計策定と建設に着手する計画。◆耐火建築物とは、建築基準法上最高水準の防火性能を有する建築物であり、想定される火災が終了した後も建物が崩せず、自立し続けられる建物をいう。◆設計を担当している大建設計は、木材の耐火性能検証法を採用して、宮崎県宮崎市の木の花ドーム(スパン100m超)、綾町の綾てるはドーム(大断面集成材刻骨組み)などを設計した。◆横浜都市みらいでは、国内初となる耐火木造の大型商業施設「サウスウッド」が建設されている。施工は竹中工務店で延べ床面積は約1万u。

(3月28日号掲載)

◆国交省の担い手確保・育成検討会が開催され、技能労働者の技能の「見える化」WG中間取りまとめ(素案)がまとまった。◆これは、若い人が将来の夢を描ける産業にしていくことが大事であり、建設技能労働者の労働実績等の情報が散在、ITを活用し情報を一箇所に寄せるもの。◆素案では、今後蓄積するべき技能労働者に係る情報項目としては、@工事履歴A資格B研修受講履歴C保険加入状況とし、具体化を図る。また、IDは、新たな仕組みの導入にあたっては独自の番号を付番することが適当<CODE NUMTYPE=SG NUM=5BB3>としている。◆さらに、技能労働者にIDを付与するには、@技能労働者を直接使用する企業による付与A元請企業による付与Bインターネットを通じて自分でIDを取得の3つの案が出された。◆予定では、25年度内にシステム運用構想を取りまとめ、順次、システム案、システム構築に係る基本設計・開発を経て運用を開始する。◆さて、技能労働者の適正な評価と処遇を図ることが出来るのであろうか。

(3月21・25日合併号掲載)

◆「土木」の文字が高校、大学から消えようとしている。◆3月6日に土木学会から、『土木広報アクションプラン「伝える」から「伝わる」へ』【中間報告書】が出された。◆本来、公共事業は正しい基本認識の下で論じられるべきであり、イメージに流されずに議論を行うためには、正しい認識を持ってもらうための広報が必要不可欠であるとの事からまとめられた。◆土木・建設技術者が各々大変な苦労をしながら東日本大震災に臨んだが、自衛隊などの活躍は様々な方面で紹介され、国民の大きな支持を受けたことに比べると、マスコミにおける土木関係者の活動の扱いは小さい。◆具体的メニューでは、地元マスメディアと土木との相互理解の場をつくる勉強会の設置など。社会心理学で用いられる『ジョハリの窓』による土木広報の問題を認知する。◆今後の展開の方向性では、アクションプランが単なる提言に終わることなく、着実に実行されことが最も重要で、関係者も広報マインドを持ち、自分の置かれているポジション、期待される役割に応じて広報の責任を果たすことが求められる−としている。◆今年夏頃を目処に最終報告を取りまとめる。

(3月18日号掲載)

◆東日本大地震の被災地に、音楽を通して希望を届けすることを目的に、宮城県松島町で9月27日から10月14日まで、『ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ松島2013』が開催される。◆このため、世界的建築家・磯崎新が、インド出身のイギリス在住の彫刻家アニッシュ・カプーアとコラボし、500名を収容する「アーク・ノヴァ」と呼ばれる移動式のコンサート・ホールの製作を進めている。◆このホールは、世界中の一流のアーティストによる、クラシック音楽、ジャズ、ダンスなど、多分野にまたがるアート・プロジェクトを提供する。◆オーケストラ公演時には約500人の客席を想定、幅30m、長さ36m、最高高さ18m。厚さ1mmの膜は折りたたみ、各装置は分解してトラックに収納して各地を巡回できる。◆また、音響反射・吸音板や床、座席の素材として、津波被害と地盤沈下によって伐採された、国宝瑞巌寺の参道の杉を活用している。◆夢膨らませるホールは、苦難な状況にある人々に救いを差し伸べるノアの箱舟となる。

(3月14日号掲載)

◆山形市は、サッカーJ2山形の本拠地誘致を目指し、全天候型の新スタジアム建設に乗り出すと発表した。天童市民としては寝耳に水の驚きである。◆山形市議が何年も前から図面まで引いて建設プラン示したのに対し、市長は完全無視だったはずである。◆市長選で公約に掲げたドーム型競技場建設をアッサリ凍結。新年度の基本設計関連費用を冬季のサッカー公式戦が可能なスタジアム建設に充てる方針に転換した。◆この問題は、秋春制導入を検討するJリーグ戦略会議が2月に山形を視察した際に、雪のため 冬場の試合開催や練習場の確保が困難であることを確認したのが発端。◆秋春制は、15年3月から第1ステージ、同年内に第2ステージを実施。16年3月ごろから上位グループと下位グループに分けて決勝ラウンドを行う。16年7月下旬から移行に備える。◆戦略検討会議は5月に秋春制移行の可否を含めた基本方針を提示する意向。◆背後に芳賀ニュータウンと新駅設置を抱える天童市側も必死。全天候型サッカースタジアムを天童市内に設置するなどの要望書を県に提出。◆パートナーに名指された県の動きが注目される。

(3月11日号掲載)

◆本県では、雪を無視した生活はあり得ない。雪への接し方を表す言葉として「克雪、親雪」がよく使われるが、近年これらに「利雪」が加わった。◆雪は水資源としての恵みをもたらしてはいるが、多くの人々にとって行動が制限される厄介者であり、冬の暮らしには雪との戦いが続く。◆また、生活の場である建物は、雪に対して安全でなければならなく、建築基準法では積雪荷重は短期応力で扱うことを基本としているが、多雪地域においては、算出された積雪荷重の70%でもって長期応力設計するとしている。◆吹き溜まりや軒先の雪庇・巻き垂れなどに設計上の配慮がない建物では、安全に維持するには想定外の積雪に対する管理が重要となる。◆大雪の年は建物管理者にとって大変な心労であり、設計者にとっても安全状態が確認できるまでは落ち着けない。やむを得ずゆとりのない積雪設計を余儀なくされることもあるだろう。◆雪を積極的に資源として活用し、雪国の特性に応じた地域づくりを図るという発想の転換が、もっと必要では。

(3月7日号掲載)

◆第3回目となる担い手確保・育成検討会が2月20日に開催され、専門工事業者等評価制度や技能の見える化ワーキンググループでの検討内容に対して議論された。◆その中で、社会保険加入状況や登録基幹技能者の雇用状況などの評価結果を公共工事の発注で活用することを前提として、25年度に制度設計を詰める。◆建設技能の「見える化」では、登録情報のデータベース化に必要なシステム運用構想を25年度中にまとめる方針だ。◆これが、技能者に資格、研修履歴、工事経験、社会保険の加入状況などの情報が蓄積された独自のIDを付与、発注者や建設企業が閲覧できる仕組みとなる。◆専門工事業者の評価を行い、点数制を用いることで激化する価格競争に歯止めを掛け、重層下請構造の是正や不良不適格業者の排除する。◆イメージは、公共工事において発注者が元請企業を選定するに当たって、その下請業者の評価も含めて適格性を評価していくことにより、安易な下請業者の選択ができなくなる。◆有能な技能労働者は条件が良く評価が高い建設業者に所属し、建設業者は技術力や評価を上げるため技能労働者を確保する構図となる。

(3月4日号掲載)

◆3次元オブジェクトを活用した「CIM」(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の実用化に向け、官民の動きが加速している。◆CIMは、建設生産システム全体を一体的に捉え、土木構造物を電子モデル化した3次元オブジェクト。一連の過程の関連情報を統合・融合して建設の工程(管理も含む)全体を改善する新しい建設管理システム。◆国交省は直轄事業でのCIM導入を見据え、制度面や基準面の在り方を検討する内部の検討組織を立ち上げ、三陸沿岸道路釜石山田道路小佐野高架橋橋梁詳細設計業務など、全国で数カ所程度のモデル事業を今年度に試行。◆25年度は試行事業のフォローアップを行いながら、CIMの活用を工事に移行させる予定。◆技術開発には民間の知見や技術を活用し、国交省はCIMを活用しやすいように制度を変えたり、障害をなくしたりする。そして26〜27年度には試行事業の成果を反映させてCIMの一般化に向けての基準を策定したいと考えている。◆実用化されれば、設計ミスや手戻りの削減、積算ミスの防止、設計・施工の最適化といった効果が期待される。

(2月28日号掲載)

◆南米には多くの遺跡が有るが、発見や発掘されているのはごく一部に過ぎないと言われている。その中でも多くの人を引きつける異色で謎の遺跡として「ナスカの地上絵」が有る。空からしか確認出来ない図形が多く有り、その謎について色々な説が唱えられている。◆山形大は昨年10月30日、世界遺産「ナスカの地上絵」の研究を進めるため、日本初の現地拠点「人文学部付属ナスカ研究所」(所長・北川忠明人文学部長)をナスカ市に開所した。◆地上絵研究で同市に拠点を構えるのは、ペルー以外では、イタリアに次いで2例目。当面は収集した1万点以上の資料を分析するほか、ナスカ文明が滅びた理由を探るため、気候変動について調べる。◆主な動物を描いた地上絵の規模としては、長さ96mのハチドリ、55mのサル、65mのシャチ、180mのイグアナ、135mのコンドルが挙げられる。◆しかし、私財を投じて遺跡を管理している人もいれば、あちこちで後世の遺産をどんどん壊している人もいる。悲しいですね。

(2月25日号掲載)

◆仙台市に新たな被災地復興のシンボルが誕生する。◆三井物産梶i東京都)、渇。浜八景島(神奈川県)、カメイ梶i宮城県)、潟アテック(同)、渇ヘ北新報社(同)、叶蜻芬O越(同)の6社は、仙台市での新たな水族館の設置に向けて新会社を共同で設立することに合意、契約を締結した。◆新会社は、今後、東北地域で最大級の水族館設置に向けて仙台市等関係機関の許認可等を得た上で事業化を進め、27年春の開業を目指す。◆三井物産は、パブリックビジネスを通じて事業を創出。横浜八景島は、八景島シーパラダイスの経営により培ったノウハウを発揮。ユアテックは、総合設備エンジニアリング企業としての強みを活かす。河北新報は、さまざまなイベントを企画。仙台三越は、小売業の視点から同事業をバックアップ。カメイは、プロジェクトへ参画し地域社会の活性化に貢献する。◆名称は仙台水族館開発梶i西村孔裕代表取締役社長・仙台市、資本金2500万円)で、建設予定地は仙台港背後地の高砂中央公園(仮称)内。総事業費は約65億円で、想定延床面積約1万u(総水量約3000t)。◆因みに総事業費は、名古屋港水族館350億円。

(2月21日号掲載)

◆日本建築家協会は2日、第8回日本建築大賞に陶器浩一氏の設計した「竹の会所」を選んだ。◆竹の会所は、竹の建築物を手掛けたことがある陶器氏(滋賀県立大学)と、造船の加工技術を生かしたデザイン建築で活躍する高橋工業(気仙沼市、高橋和志社長)。◆大学で竹の耐性実験などを経た集会所は、しなりを活用した構造で、壁と天井はアーチ状。上から見ると巻き貝のような形状だ。広さは約160u、約100人の収容が可能になるほか、天井が最高で約6mにもなる。◆しなやかで美しい竹の構造が、ユラユラとした不確かさの様は、実に優美だという。◆陶器氏と言えば、日建設計で構造設計者として活躍していたが独立。大学教授として、構造設計者として第一線で活躍している。◆一方の高橋工業は、仙台メディアテークやクライン・ダイサムのオフィスなど、ありとあらゆる建築の鉄板などの鋼材を作っている、建築業界では知られざる造船屋。造船技術によって建築の可能性を追い求めてきた技術者である。

(2月18日号掲載)

◆叶V産業文化創出研究所が事務局となって実施している「UDXオープンカレッジ」では、ワークショップが連日行なわれている。そこに、震災直後から広告代理店、旅行会社、学術関係などが参加した『復興国際博覧会構想会議』がある。◆このワークショップは、現地でできる道路、仮設住宅などを復興博覧会として世界に発信しようというもの。◆しかし、国際博は、博覧会国際事務局(BIE)から認証してもらって初めて国際博覧会と名乗ることができる。今から申請をしても認証は早くて15年後。◆そこで打ち出されたのが“裏ワザ”的な専門博。すでに日本が開催権を有する「国際園芸博覧会」のひとつとして開催をすることで、最終的にはBIEからの認定をもらえるという方法。◆愛・地球博のチーフ・プロデューサーである福井昌平氏の「東北復興博覧会構想」は、約300qにわたる三陸自然国立公園の整備は、一度に達成されるものではなく、地域ごとに段階的に整備される。このため一時期に集中開催する方式ではなく、2年に1度のタイミングで合計5回(5箇所)、10年継続するリレー方式の博覧会を構想。◆いざ、2025年の登録博へ。

(2月11・14日合併号掲載)

◆1月31日の世界遺産条約関係省庁連絡会議において、自然遺産として「奄美・琉球」を記載することに決定した。◆今後は、国有林野における保護林の保全管理や希少動植物の保護等を継続して推進、地域の理解・合意を得ながら、具体的な推薦地域を特定した上で、早期に推薦書を提出、世界遺産一覧表への記載を目指す。◆これは、環境省と林野庁が、自然遺産の新たな推薦候補地を学術的見地から検討したもの。「知床」は平成17年に、「小笠原諸島」は平成23年に自然遺産として登録された。◆同資産の生態系は、この地域だけに残された遺存固有種が分布しており、また、島々が分離・結合を繰り返す過程で多くの進化系統に種分化。また、生物多様性では、レッドリストに掲載されている多くの国際的希少種や固有種の生息・生育地である。◆その代表的なものとして、動物ではアマミノクロウサギ、ケナガネズミ、トゲネズミ、ルリカケス、ナミエガエルなど、植物ではアマミテンナンショウ、アマミスミレ、コケタンポポなどが挙げられる。

(2月7日号掲載)

◆「2015年ミラノ国際博覧会」は、『地球に食料を、生命にエネルギーを』というテーマのもと、27年5月から10月の184日間、イタリアで開催される。◆想定参加国等140ヶ国、想定入場者数約2000万人。日本館の出展については、日本食や日本の食文化、品質の高さや美味しさなど、その魅力を国際社会に広く発信するとともに、クール・ジャパン戦略との連携を図り、食を絡めた「ジャパンブランド」の確立を目指す。◆日本国のヴィジョンを万博日本館来場者に強く印象付けできる出展を実現するための総合プロデュース業務、展示設計・施工監理業務は鞄d通が落札した。日本館出展のスケジュールは、今年度内に基本計画をまとめ、25年度に実施計画、パビリオンを建設(26年度まで)する。◆日本館基本計画策定委員には工業デザイナーの奥山清行氏も含まれており、どんなパビリオンになるのか楽しみだ。◆万博の歴史は今から160年も遡る。記念すべき第1回は、イギリスのロンドンで開催された。

(2月4日号掲載)

◆これまで出版文化産業は、わが国の知的水準の向上に貢献してきた。しかしながら、この10数年は、出版市場の縮小と中小書店の減少が続き、出版文化産業を取り巻く環境は厳しさを増している。◆「街角の本屋」で構成されていた日本の書店風景は、書籍や雑誌、出版物は何でも取り揃え、在庫検索や客注も迅速で、幅広い情報提供とサービスカを備えた総合レジャーセンター的な「大型書店」が主導するものへと急速に変化。◆さらに、家電量販のヨドバシカメラは2月、書籍のインターネット通販に本格参入する。全国の主要都市圏で注文当日の無料配送を実現し、大型書店の品ぞろえに匹敵する70万タイトルを扱う。米アマゾン・ドット・コムに対し、日本での対抗勢力となることを狙う。◆しかし、私的言い分もある。便利さに余裕が無く、人情が感じられない。本屋には本屋ならではの良さがある。◆歩き回りながら店内に置いてある大量の本を手に取りチェックでき、本との出会いが多い。また、購入する前に、本の中身を十分チェックすることも可能なので失敗が少ない。さらに、買ったばかりの本を、喫茶店でコーヒー飲みながら読むなんてのは、至福の時間だ。私だけだろうか・・・

(1月31日号掲載)

◆上山市では、「健康」「環境」「観光」の3要素をキーワードとして、「上山型温泉クアオルト事業」に取り組んでいる。◆「環境」では、電気自動車(EV)を積極的に導入できる交通インフラの整備を進め、環境負荷への対応を軸として、空気がきれいな温泉クアオルトのまちづくりを目指した「EVタウンプロジェクト」◆市や県が観光物産協会やNPO、民間企業との協働で事業を進めることにより、各々の得意な分野を共有することで、効果的な観光施策の実現を目指す。◆民間企業では、山形日産自動車、山形三菱自動車販売、凸版印刷、山形パナソニック、パシフィックコンサルタンツなどが参加。◆クアオルトとは、ドイツ語で「療養地・健康保養地」を指す。ドイツでは温泉や海、泥、気候、クナイプ式という水治療などで疾病を治療、緩和、予防する自然療法が医療保険の対象となっている。その治療する地域として整備された長期滞在型の療養地・健康保養地がクアオルトと呼ばれている。◆地方温泉都市の挑戦に注目が集まる。

(1月28日号掲載)

◆1月16日、被災した中小企業等の施設・設備の復旧・整備を補助する、中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業(6次前半)の採択事業が決定した。岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県の71グループを採択、補助総額は683億円。◆これまで、1次〜5次公募において、344グループに、2948億円を交付決定している。◆これは、被災地域の中小企業等のグループが復興事業計画を作成し、地域経済・雇用に重要な役割を果たすものとして県から認定を受けた場合に、施設・設備の復旧・整備に対して3/4を補助する。◆申請要件としては、@サプライチェーン型A経済・雇用効果大型B基幹産業型C商店街型Dコミュニティ再生型の5つ。◆建設関係のグループでは、滑ロ本組等106者の石巻まちづくり復興グループ(石巻市)、棋橋工業等85者の気仙沼地域産業・住環境基盤整備グループ(気仙沼市)、轄v組等54者の南三陸社会資本整備グループ(南三陸町)など。◆更なる復興を願う。

(1月24日号掲載)

◆女子力で農業改革する国立ファーム且R形ガールズ農場(高橋菜穂子代表取締役・村山市)が脚光を浴びている。◆山形ガールズ農場は、「女子から始める農業改革」をモットーに活動する農業生産法人で、6名の地域おこし協力隊が在籍し、女子が元気に農業に取り組んでいる。◆お米は、5種類を作り分け「カラフルコメライフ」というキャッチコピーで、料理に合わせてお米を選ぶというコンセプト。野菜は、ズッキーニ、坊ちゃんかぼちゃ、レモンキュウリ、紫色のトマト。他にも、野菜や果物をふんだんに使用したスイーツを開発し、製造販売している。女子らしい視点を戦略に取り入れているのが特徴。◆同農場には、3つのルールがあるという。1つは化粧する、2つはオシャレをする、3つは三食しっかり食べることだそうだ。農業を仕事にしているプロが、カッコイイことが、後継者を増やすことにつながると思っている。◆今後は、畑の景観と農村の文化を生かしたサービス農業を目指し、村山市で成功モデルを作り、全国の農村で展開していく。

(1月21日号掲載)

◆昨年11月、阪急うめだ本店第2期棟がオープンした。その13階レストラン街の「シャンデリアテーブル」で、巨匠伊藤忠太(米沢市出身)のモザイク壁画とシャンデリアが再現された。◆旧阪急梅田駅コンコースにあったアーチ型の天井を再現し、ドーム天井の装飾やシャンデリア、龍、天馬、獅子、鳳凰の壁画を移設。唐草模様のレリーフは型取りし複製、床なども同じパターンを採用するなど、当時の状態を再現している。◆また、建替前の梅田本店の地下に基礎として埋設されていた“松杭”も銘版とともに鎮座している。この松杭は昭和4年に創業した阪急本店の基礎として、平成19年に解体されるまで約80年以上にわたり地中に埋まっていたものだそうだ。◆伊藤忠太は、帝国大学工科大学(現在の東京大学工学部)卒業して同大学大学院に進み、のちに工学博士・東京帝国大学名誉教授。◆また、法隆寺が日本最古の寺院建築であることを学問的に示し、日本建築史を創始。それまでの「造家」という言葉を「建築」に改めた。建築界ではじめて文化勲章を受章した。◆県内に、伊藤忠太記念館なるものがあってもおかしくないのだが。

(1月14・17日合併号掲載)

◆建設業振興基金が出している「ウェブマガジンしんこうWeb」で、面白い記事を目にした。「プレスリリースの作成方法」特集である。◆元NHK記者の高崎哲郎氏の「有効なプレスリリース」方法をみると、日本には約800の記者クラブがあるそうだ。中央省庁から国会、各政党、地方自治体などに置かれ、それぞれに独自のルールや決め事があるため、投げ込みを行う場合は、それぞれのルールや決め事に従わなければならない。◆その中で、大前提となる原則は、発表する情報は未発表のものであるということ。また、投げ込みは、事前に分かっているイベントなどは、1週間前までに。毎年定期的に行っているイベントは15日前くらい。◆建設業の場合で一番重視すべき点は、地元の新聞社及び地方放送局、専門紙、地方紙と全国紙にはそれぞれの役割があり、建設業の活動がマスコミに注目され、掲載されるための努力が必要だ<CODE NUMTYPE=SG NUM=5BB3>と述べている。◆記者が興味をそそるような、チョッと工夫したプレスリリースを。

(12月20日号掲載)

◆LCCM住宅(ライフサイクルカーボンマイナス住宅)が形になってきた。◆住宅の長い寿命の中で、建設時、運用時、廃棄時において、できるだけの省CO2に取り組み、さらに太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、住宅建設時のCO2排出量も含め生涯でのCO2収支をマイナスにする住宅として提案されたもの。◆建築研究所では、こうした中、LCCM住宅を整備しLCCデモンストレーション住宅見学会を開催。今後は、より必要な技術基準の策定に反映するための研究を実施して行く。◆LCCM住宅の消費電力は通常の2分の1、設計のコンセプトは「衣替えする住宅」。手動が基本で住人自らの意志で調節することが前提。それは、省エネを持続するには住む人の意識とライフスタイルの改革が不可欠だからだ。◆木造2階建て43坪。窓は真空断熱ガラスで屋根は「片流れ」の南側に流れる1枚屋根。太陽光発電パネルの設置面積を増やす。また、6平米の太陽熱温水器集熱パネルも設置する。◆光と風が演出する住宅だ。

(12月17日号掲載)

◆今まで、木材の利用は戸建住宅が中心で、大規模な木造建築物に対しては、過去の市街地火災における被害などを踏まえて、建築基準法が厳しく防火規制を行ってきたが、近年、木造利用および木造建築への関心が高くなっている。◆建築分野における木材の利用を増やすためには、これまでに木材利用が困難であった集合住宅や学校、事務所、ビルなどの中層・大規模建築物を木造で建築することが効果的だ。◆海外でも従来、大規模な木造建築は制限されてきたが、規制緩和が進められ、ヨーロッパを中心に中層の木造建築物が建てられており、イギリスでは9階建ての木造集合住宅までが建築されている。◆日本においても、防火基準の性能規定化が行われ、木材の利用に関する規制は少なくなったが、まだまだ技術的なハードルは高い。このような状況の中で、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行。◆木造の利用拡大が望まれる今、火災に対して安全な木造建築をつくる技術が期待されている。

(12月13日号掲載)

◆県内の土地改良事業において今年から地下かんがいシステム「フォアス」が本格的に導入されている。「フォアス」は、農村工学研究所と潟pディ研究所が共同開発した地下かんがい方式の商品名。◆県では、23年度から導入し、川西町の高豆蒄地区において栽培実証を含め18・5f、24年度は40f、25年度は36fの見込み。25年度に新規地区として要望している川西町宮地地区においては74fで導入予定。◆フォアスは、排水と給水を両立した水位制御システムで、雨が降れば暗渠から排水し、晴天で乾燥が続けば地下から灌漑を行い、栽培作物に応じた最適な水位を維持、農作物の収量及び品質の向上に寄与する。◆工事費の試算では、1f区画のほ場で、フォアスの幹線と支線にモミガラを疎水材として使用する場合、在来工法より約6割削減。浅層暗渠単独と比較しても約1割低減できるという。◆反面、地下水位制御は、周辺ほ場等の地下水位の影響を受け、地下水の流入や流出を止水シートで遮断する必要がある。

(12月10日号掲載)

◆日本で久しぶりに公募された国家プロジェクト国際コンクールの新国立競技場国際デザイン・コンクールで、英国の建築設計事務所、ザハ・ハディド・アーキテクトが圧倒的な造形性をアピール、最優秀賞を射止めた。◆コンクールを主催する日本スポーツ振興センターが11月15日に審査結果を発表したもので、妹島和世氏と西沢立衛氏の建築ユニットSANAAと日建設計のデザイン案が入選を果たした。◆イラク出身で英国在住の建築家ザハ・ハディド氏は、世界の主要な建築賞であるプリツカー賞を女性として初めて受賞した経歴を持つ。◆同氏は、曲線、直線、鋭角が織りなす流動的でダイナミックなデザインで知られ、かつては「建てた建築よりも、実現しなかったプロジェクトの方が有名」と言われたこともあった。これまで、広州オペラハウス、国立21世紀美術館、パビリオン・ブリッジなどで、日本では「ニール・バレット青山店」の店舗を設計。◆象徴的なアーチ状主架構の実現は、現代日本の建設技術の粋を尽くす挑戦となる。審査員長の安藤忠雄氏も大きく期待を寄せている。

(12月6日号掲載)

◆秋田県の公立・国際教養大学(中嶋嶺雄学長、AIU)は、平成16年4月に公立大学法人第1号として開学、『英語を学ぶ大学』ではなく『英語で学ぶ大学』とうたっており、海外とのコミュニケーション能力を重視したカリキュラムを組み、頻繁にマスメディアでも取り上げられるなど、人気・レベル共に急上昇中の大学。◆同大の2次試験の偏差値は66。東大文Iが71、京大法学部が69、東北大法学部64。偏差値も『高止まり』している。◆授業は全て英語で行われ、在学中に一年間の海外留学を義務付けており、教授の6割が外国籍でもある異色の公立大学と言える。◆日経新聞の人材育成力ランキングでは堂々の首位。週刊ダイヤモンドが特集した「就職力ランキング」では一橋、京都大に次ぐ第3位。就職内定率は100%で、人気企業が顔を出す。◆また、第24回村野藤吾賞を受賞した図書館棟は、24時間365日、眠ることなく在学生や教職員スタッフを受け入れている。ホール中央に秋田杉の丸太6本が立てられ、そこから半円形の傘のように梁が伸びる空間が特徴。◆“本気で学ぶ”大学は、全入時代が叫ばれる中で躍進している。

(12月3日号掲載)

◆酒田ではジャスコ撤退後、駅前に広がる跡地の再利用が懸案となっていたが、土地を保有する市とも連携し、民間主導でJR酒田駅前再開発構想が始動する。◆酒田市の地元7社(日新開発、前田製管、加藤総業、新和設備、月見、東洋開発、ボヌール)で構成する開発事業会社・酒田フロントスクエア(酒田市)が中核エリアの設計を協同組合都市設計連合(神戸市)に発注した。◆都市設計連合は、創業当初から協同組合というユニークな組織形態を採用、組成する各社が独立した専門会社でありながら、夫々のスキルとノウハウを提供し合い一体となって業務を推進できる専門家集団。◆再開発事業は、ホテル棟(9階建)と商業施設棟(4階建)を一体的に建設。27年度の完成を目指す。両棟の稼働後、引き続き隣接地再開発に着手する。◆県下随一の産業都市といわれた酒田市だが、最近は、経済的な地盤沈下は著しく、地域活性化の鍵となってほしいものだ。◆さらに、酒田市の事業課題が多く、特例債のスケジュールも迫っている。

(11月29日号掲載)

◆東北農政局では、平成24年東北の新規就農者の動向(平成19〜23年度)をまとめた。◆23年度の東北の新規就農者数は1010人で、前年度に比べ15人減少した。県別に見ると、青森県は190人、宮城県は113人で、それぞれ15人、11人増加し、秋田県は146人で、31人と大幅に増加している。一方、岩手県は200人、山形県は219人で、それぞれ27人、5人減少し、福島県は142人で、40人と大幅に減少。◆東北の平成23年度就農区分をみると、新規学卒は184人で、前年度に比べ22人減少。宮城県、秋田県、福島県で15人増加したものの、青森県、岩手県、山形県で37人減少している。新規参入は297人で、前年度に比べ7人増加。青森県、宮城県、秋田県で、増加、山形県、岩手県、福島県で減少。◆近い将来、昭和一けた世代をはじめとする我が国農業を支えてきた高齢農業者の多くが引退、我が国の農業労働力は、ぜい弱化の進行が懸念されている。担い手に施策の集中化・重点化を図ることで、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う強じんな農業構造の確立を目指すことが重要となる。

(11月22・26日合併号掲載)

◆最近、「新しい公共」の言葉が目につく。また、民主党の「コンクリートから人へ」の公共事業に対する偏った考え方かなと思ってしまったが、そうではないらしい。◆「新しい公共」は、従来は官が独占してきた領域を「公」に開いたり、官だけでは実施できなかった領域を官民協働で担ったりするなど、市民、NPO、企業等が公的な財やサービスの提供に関わっていくという考え方だそうだ。◆県の今年度モデル事業では、山形かわにし“綾プロジェクト”推進協議会の、年齢、生業、住み処を超えて心を紡ぐ元気創造山形かわにし“綾プロジェクト”。駅を拠点にしたメイン通りや小道を中心ににぎわい、街並みづくりの形成、農村と都会の人的物的交流、住民参加のプロジェクトを創出する。また、長井ダム水源の保全・開発プロジェクトは、長井ダムの水環境教育カリキュラム開発、企業とのマッチング、小水力発電の調査研究、小水力エネルギー推進ファンド等を創設する。◆公開プレゼンテーション及び審査で残った11団体が採択されている。

(11月19日号掲載)

◆7月28日にフクシマからの提言・2030原発ゼロ〜電力に頼らない新しい生活〜のシンポジウムが開かれた。◆その中で、月尾嘉男氏(東京大学名誉教授)は、進歩には必ず代償があるとして、「日本の精神文化を反映した生活様式を確立しよう」と訴えた。◆現在の日本は原子力発電所で発電される電力に依存せざるをえない状況であるが、電気を使用しない生活は不可能。現在の社会の構造を長期視点で変革しながら、電力消費を大幅に減少させる努力が必要と話題を提供した。◆感心したのは『江戸時代の生活に学ぶ5Rという考え方』。従来の3Rに、Repair、Renewableを追加した5Rが重要で、江戸時代は5Rが社会に組込まれていたという。◆この5Rのなかで重要なのはRenewable。江戸時代の燃料は雑木が中心で、照明も鰯油、菜種油、蝋燭。すべて再生可能な資源。家屋は紙、土、木という、やはり再生可能な資源。電気が存在しなかった時代の生活を見直し、可能な手段は採用すべき。−と話す。◆脈々と続く文化や暮らしには、我々が直面する様々な問題のヒントが隠れているのかも。

(11月15日号掲載)

◆県の各総合支庁農村計画課・農村整備課では、21年度から地域の農業高校や工業高校の生徒が日ごろ学んでいる測量技術などが活かせる現場実習の場・地域貢献の場を提供している。これが『飛び出せ高校生技能実習で地域協働事業』◆最上管内では、今年度から新庄土地改良区が、マイクロ発電システム導入実証を行っている。この事業を進めるにあたって、新庄神室産業高校に協力を依頼、実践の場として活用してもらっている。◆同校では、工業高校改革が加速するなか、土木系学科は他科と比べて、より一層地域のニーズに応えられる学科を目指す必要があると判断。21年度より「ものづくり教育」の参加を試みた。◆この結果、問題解決の体験と達成感が学習意識の向上を起こさせ、生徒のスキルアップに繋げることができた−としている。◆同校では土木技術の基礎を再確認させると共に、今後も地域と連携し合い、建設業は「ものをつくる喜びを得る仕事」「人々に感謝される仕事」であることを発信していく。

(11月12日号掲載)

◆農業・漁業を中心の生業としており、人口減少の途上にある岩手県釜石市が、「みんなが戻りたくなる、訪れたくなるような活力に満ちた復興」を成し遂げる『かまいし未来のまちプロジェクト』をスタートさせた。◆第1号として9月に「釜石市災害復興公営住宅(東部地区天神町)」の基本設計と実施設計の業務委託を公募型プロポーザル方式で発注。11月に設計者を選定する。11月末には公営住宅、25年4月には小学校・中学校も同方式で発注する予定。◆各プロポーザルの審査委員は、同市の復興ディレクターを務める建築家の伊東豊雄氏、小野田泰明・東北大学教授、遠藤新・工学院大学准教授の3人を中心に構成する。◆野田市長は、プロジェクトが出発点。ゆっくり、じっくり、良いものを造る事に心がけ、伊東氏は、市が集合住宅や学校などの設計者をプロポで選ぶ決断してくれた事に感謝。勇気ある第一歩だと語っている。◆実際に釜石に住む人々に寄り添い、人々の意見をいい形で吸い上げたプラン。100年先を見据えたプロジェクトは、復興を目指すひとつのモデルとして注目が集まる。

(11月8日号掲載)

◆社会資本整備審議会建築分科会の建築基準制度部会の初会合が10月25日開かれ、木造建築関連基準、確認検査制度、耐震改修関連規制の3項目を中心に議論を進めることを確認した。◆部会では、木造建築関連基準のあり方を先行して議論。法令で明記されない建築物の最低基準として求める防火上の性能を検討した上で、木造3階建ての学校に対する要求性能を具体化する。◆また、木造3階建て校舎の普及を図るため、一定の仕様などを満たす場合は準耐火建築物とできるよう基準を改正する計画。◆基礎データ収集を目的に実大火災実験を昨年度に実施しており、今年度は基準化を想定した仕様で検証するための実大火災実験を11月にも行う。◆実験では、1階職員室から出火。3分後には開口部から2階、3階へと延焼、11分後に枠組み壁部分にも燃え広がった。17分後に防火壁を越えて燃え始め、27分後にはフラッシュオーバーが発生。76分後、軸組み部分が倒壊。84〜95分後には枠組み壁部分も順次崩壊。96分後に防火壁が崩落、点火から2時間後に防火壁で区画された部分が倒壊。建物はすべて崩れた。

(11月5日号掲載)

◆吉村知事は、6月定例会において、フル規格の奥羽・羽越新幹線の建設促進について、手を挙げていくという発言をした。◆発言内容を見ると、昭和48年11月15日に基本計画が決定。以降、建設促進のための調査の実施について働きかけを続けてたが、残念ながら進展が見られない。今が次のステップに進む提案をするべき時期。そのため、整備計画の策定に必要な調査実施を行う必要があり、提案を復活させる。と答弁している。◆既に整備計画が策定された路線は、昨年12月に開業予定時期や新たな区間の着工条件や財源見込みが確認、ほぼ完成の見通しが示されている。◆これまで山形新幹線の到達時間短縮は、ダイヤ改正で最高速度275km/h走行に変わり、今年3月時点では東京−山形で最速の上りが3分の短縮。◆山形新幹線が20周年を迎え、東京から青森までの距離が東京から山形までの倍ぐらいあるにもかかわらず3時間ちょっとで到着する。◆フル規格の新幹線についても関係県と連携して進めているが、震災を踏まえたリダンダンシー確保の観点や新潟駅同一ホーム乗換え事業の遅延など、課題は山積している。

(11月1日号掲載)

◆今年も新米の季節。吉村知事がもんぺ姿で田植えに挑戦した姿が鮮烈だった、ブランド米確立を目指した「つや姫」。◆「粒が揃っている」、「艶がある」、「甘みがある」、「うま味がある」など食味ランキング連続「特A」で、他を圧倒する高い評価を得ている。◆「つや姫」は、山形県農業総合研究センター水田農業試験場が、日本を代表するブランド米の開発を目指し、「山形70号」を母に、「東北164号」を父に人工交配し、選抜・育成した品種。◆先祖は明治時代に旧余目町の阿部亀治氏が育成した水稲品種「亀ノ尾」。当時から品種改良の交配親として盛んに用いられ、「コシヒカリ」や「はえぬき」に引き継がれている。◆また、認定された生産者が栽培適地で生産すること、統一したマニュアルに従い農薬や化学肥料を抑えるなど厳密な生産管理が行われていること、食味をチェックして出荷していることなどで高い品質が保たれている。◆新潟県産という分類からも分離独立し、食味に自信を持つ魚沼コシヒカリも超えたと喩える人も。つや姫との食味対決は矢張り、同じ最上位の「特A」にランク付けされている北海道産の「ゆめぴりか」では。

(10月29日号掲載)

◆女川町は、JR女川駅前広場の特設会場で復興まちづくり事業着工式を行った。◆東日本大震災からの早期復興を目し、今月から先行整備エリアで土地区画整理事業を進める荒立地区の造成工事を始め、25年度後半までに60区画の宅地を整備するほか、陸上競技場跡地に200戸の災害公営住宅を完成させる。◆都市再生機構(UR)は、復興事業のスピードアップを図るため、調査から施工までを一体的にマネジメントするCM方式により、町の復興事業に取り組むもので、11日に公募型プロポーザル「町震災復興事業の工事施工等に関する一体的業務」を実施、鹿島・オオバ女川町震災復興事業共同企業体・70億3500万円(税込み)で契約した。期間は平成28年3月31日まで。◆同業務では、早期整備エリアと条件が整ってから事業着手する次期整備エリアの2段階に分けて、測量や設計、工事を進める。◆一日も早く復興し、町民が安心して暮らせる町をつくり、さらに新しい「港町 おながわ 」の再生を願う。

(10月25日号掲載)

◆「ワーキングプア」。すでに年収200万円以下が1000万人もおり、日本の全世帯の10分の1。その半数は20〜30代。このままでは若者世代が貧しくなる一方だ。◆ネットのウィキペディアをみると、正社員並み、あるいは正社員としてフルタイムで働いてもギリギリの生活さえ維持が困難、もしくは生活保護の水準にも満たない収入しか得られない就労者の社会層のことと記されている。◆企業は安価な労働力確保を目的とした国外への進出、賃金の高い正社員の新規採用の削減など、非正社員を増やすなどにより、総人件費の抑制を図った。◆さらに、「官製ワーキングプア」。自治体の正規職員数は15%から20%減っている。この背景には、集中改革プランと財政危機、さらに人口減少がある。◆このまま何も対策を行わなければ更に多くの人がワーキングプアに陥ることは目に見えている。一から雇用関係を見直し、社会保障を充実させることにより、これ以上ワーキングプアに陥ってしまう人を出さないようにし、ワーキングプアに陥ってしまっている人を救い出していかなければならない。

(10月22日号掲載)

◆平安時代の水駅推定地「駒籠楯跡」発掘調査が県教委で実施されている。これは、駒籠楯跡(古代水駅)の中心施設と考えられる建物跡の調査。◆駒籠は最上川と野尻川の合流点に位置すること、さらに馬にあたる「駒」という駅に関連する地名が残っていることなどから、これまでも、駒籠が平安時代、出羽国に置かれた水駅4箇所のうちのひとつ、野後駅であった可能性が、指摘されている。◆最上川が交通路として利用された歴史は古く、源流は古代にまで溯る。律令体制の法規集大成『延喜式』には野後(大石田町)、避翼(舟形町)、佐藝(鮭川村)など最上川流域の「水駅」が記載されている。◆このような駅馬・伝馬に河川利用の船を持つ、いわゆる「水駅」があることは、全国に例をみないきわめて特異な事例。全国402箇所の駅が記載されているが、うち水駅は、出羽の国の4箇所だけで、歴史的価値は極めて高い。◆戦国時代は「川を制する者は国を制する」と言われるほど。交通路としての河川の重要性は計り知れなかった。

(10月18日号掲載)

◆NHKが放映した国民的テレビドラマ「おしん」は、平均視聴率は52・6%、最高視聴率は62・9%。これは現在でもテレビドラマの最高視聴率を記録している。◆山形の貧しい農家の娘として生まれたおしんは、口減らしのため酒田の米問屋へ奉公に。上京して髪結いに、佐賀の豪農の三男に見初められ結婚。しかし、相次ぐ苦難におしんは耐え忍ぶ。◆インドネシア、フィリピン、台湾、香港、エジプトなど世界66か国や地域で放送。おしんの姿が、日本だけでなく世界各国で人々の共感を呼び、「おしんドローム」という言葉を生み出した。◆その「おしん」が映画化される。映画版のおしんを計画しているのはセディックインターナショナル。◆同映画村では現在、おしんで使われた古民家の移築工事を進めている。しかし、生家の復元には2000万円超の費用が掛かる見込みで、「おしんの生家の復元を支援する会」では、寄附金を募集している。◆社会現象を巻き起こした『おしん』。初放映から30周年、来年2月にクランクインする予定。◆県は「おしんは県の財産」と全面協力を表明、地域活性化の起爆剤に期待を寄せている。

(10月11・15日号掲載)

◆鶴岡市文化会館設計プロポに参加した、シーラカンスアンドアソシエイツ(東京都)の作品『金沢海みらい図書館(金沢市)』が「世界で最も美しい公共図書館ベスト25」に選ばれた。◆世界中の芸術や文化の情報を発信するネットサービスサイト「フレーバーピル」が運営するブログで紹介されたもので、建物全面に取り付けられた約6千個の採光窓や、2階と3階の吹き抜けの構造など斬新なデザインが評価された。◆25選には、フランス国立図書館や、新アレキサンドリア図書館など世界の著名な図書館。日本では、せんだいメディアテーク(仙台市)も選ばれた。◆一方、金沢21世紀美術館(設計:妹島和世建築設計事務所+SANAA事務所共同体)が、JTBが発表した「訪れたい国内・ 海外の美術・博物館ランキング」で10位に選ばれた。◆さらに、JR金沢駅(鼓門・もてなしドーム設計:トデック白江建築研究所)が「世界で最も美しい駅」の一つに。◆歴史都市を彩る名建築として評価されている金沢が熱い。

(10月8日号掲載)

◆秋田市では、公契約の適正な履行および良好な品質を確保することにより、市民が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与するため、「(仮称)秋田市公契約基本条例」を制定する。◆この条例は、企業後継者の健全な育成を支援、公正な労働や雇用を確保・継続していくため、発注者である秋田市と受注者となる契約の相手方の責務を明確にしながら入札制度等の整備を図ろうとするもの。◆国では、昭和25年に公契約法案が作成されたが、経済界からの反発があり、国会提出はされなかった。◆議論が再度活発になったのは、バブル崩壊後の長期不況を受けた公共工事削減や業務の民間委託進展などを背景に、従事する労働者の賃金低下が問題になってから。◆地方自治体における取組みは、平成21年9月千葉県野田市が全国で初めて、次いで神奈川県川崎市が政令指定都市では初めて公契約条例を制定した。渋谷区では、今年6月本会議で可決、公布された。◆他自治体でも動きが活発になっており、労働条件や地域雇用の改善に波及効果を与えるとの意見もあり、今後の議論の進展が望まれる。

(10月4日号掲載)


◆青山建設梶i青山潤一社長・寒河江市)が、平成23年4月から、海水の代わりに地元の源泉を利用して進めていたトラフグ養殖に商品化のめどが立ち、市内の旅館で提供を始めた。海を知らない“寒河江産”のトラフグである。◆切っ掛けは、平成20年6月に栃木県那珂川町の環境生物化学研究所が、塩分を含む温泉の湯でフグを養殖し、町おこしにつなげているテレビ番組。◆那珂川町には、旧小川町より湧出する温泉と旧馬頭町より湧出する温泉の2種類の源泉が存在し小川地区のナトリウム塩化物は、生理食塩水に近似することにより、海なし県の山間部で海産魚類が養殖できるのではの発想が生まれた。◆青山社長は、同町の養殖施設を見学し、「ゆーチェリー」の源泉成分分析を依頼。源泉の一つが塩分を多く含んでいたため、実現への可能性を探った。◆「ゆ〜チェリー」の西側駐車場内に養殖施設を建て、昨年から水槽3基で育ててきた。クリーンな状態で育つためフグ特有の毒がないという。好評なら、養殖の規模を徐々に拡大していく方針。◆天然トラフグと変わらず歯ごたえがあり安い。高嶺の花が私でも。

(10月1日号掲載)

◆全国の被災地で被害者救助や災害復旧にあたる民間組織は、多岐にわたる。◆その中でも、建設業の活動は顕著であり、被災地の地域建設企業は危険を冒して最前線で活躍する。今回の大震災でも最大限の活躍を見せた。◆今、公共工事が大きく減少し、各県の建設業協会の会員企業数も著しく減少、地域の建設企業の経営は厳しさを増している。◆大震災の復旧活動で、行政と建設業団体・建設企業の連携が不可欠であったことを教訓として、その後の災害に備え、災害協定を締結する自治体が増えている。◆しかし、自治体と「災害協定」を結ぶ全国の建設業者の数は、この10年で3分の2に激減、災害対応に必要な重機を自社で保有する業者も減っている。◆全国建設業協会の23年2月の発表によると、全国の172市区町村が、会員企業の存在しない「災害対応空白地帯」だった。◆災害対応空白地帯にまで至らない場合でも、地元建設業の減少など、じわじわと地域防災力の低下は進んでいる。◆建設業の生態系が崩れている。

(9月27日号掲載)

◆がんは死亡原因の1位を占め、国民の約3割はがんにより死亡、2015年のがん罹患患者数は89万人に達すると言われている。◆「がん対策推進基本計画」では、がんによる死亡者の20%減少を目標として掲げており、重点的に取り組むべき課題として、放射線療法医師等の育成を第一に挙げている。◆放射線療法の中でも粒子線治療は、優れた治療成績をあげており、今後のがん治療にとって特に重要な役割を担っていく。◆重粒子放射線治療は、重粒子を加速し、がんに照射して退治する。ガンをピンポイントで攻撃することができ、かつ効果も高いことで知られている。◆山形大は8月20日、重粒子線治療施設の東北初の設置に向けて県や東北経済連合会と設立した推進協議会の初会合を開き、産・官・学の連携強化を確認した。◆設置には120億から150億円かかる見通しだが、設置されれば山形大学は日本におけるがん治療の一大拠点となる。◆日本では昔からがんの治療に手術が第一選択肢で、放射線治療は25%程度に留まっているが、欧米では第一選択肢で、60%は放射線療法だそうだ。

(9月20・24日合併号掲載)

◆8月29日、東京都内で公益社団法人国土緑化推進機構理事会が開催され、平成26年の秋に第38回全国育樹祭を本県で開催することが決定した。◆全国育樹祭は、健全で活力ある森林を育成し、次世代へ継承することを目的とした祭典であり、本県での開催は、昭和63年に山形市・山辺町の「県民の森」で開催されて以来、全国初の2巡目の開催。◆知事は、全国初の2巡目の開催であり光栄。本県の豊かな森林を守り、活かし、そして次世代に継承する県民意識を醸成し、東日本大震災からの復興のシンボル的行事として、東北地方全体の元気再生につながるような大会にしたい・とコメントしている。◆開催時期は平成26年秋季(開催日は、平成26年1月頃に公表予定)で、開催場所は国土緑化推進機構と協議のうえ、11月下旬にも決定する予定だ。◆主な行事は、皇族殿下による天皇皇后両陛下お手植え、表彰行事等の式典、育林技術交流集会、森林・林業・環境機械展示実演会なども開催される。

(9月17日号掲載)

◆県総合政策審議会が9月3日開催された中で、委員である渡邊修一氏(ワタナベ石材代表・新庄市)が観光大使に是非にと、冨樫義博氏と小林武史氏の名前が。◆冨樫義博氏は超Aクラス漫画家で、幽遊白書、HUNTER×HUNTERを連載。セーラームーンで有名な武内直子さんと結婚している。◆新庄市万場町に生まれ、山形大学教育学部美術学科在学中に第24回ホップ☆ステップ賞佳作、第34回手塚賞準入選を受賞。「幽☆遊☆白書」は人気を集め、TVアニメ化を果たした。◆一方、小林武史氏は、音楽家、作詞家、作曲家、編曲家であり、音楽プロデューサー。◆桑田佳祐、サザンオールスターズとの出会いを経てMr・Children、MY・LITTLE・LOVERらのプロデューサーとしてヒットメーカーの名を不動のものに。◆また、その才能は映画音楽においても高い評価を受けており、これまで『稲村ジェーン』『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』『地下鉄に乗って』などの音楽監督を務めてきた。◆この人たちなら、常に広いフィールドで山形県に大いなる影響を与え続けるかもしれない。

(9月13日号掲載)

◆田老地区の津波による過去の被害は、明治29年「明治三陸大津波」で、全村345戸が全滅。昭和8年「昭和三陸大津波」では、911人が死亡。今回の東日本大震災でも200人余りの方が犠牲になっている。◆昭和8年の津波のあと、田老町民の生命と財産を守るために当時の国が進めた高台移転ではなく、町は元の場所に住むことを選択し防潮堤をつくることになった。その結果が今回。◆「日本一の堤防」に守られたまちで、10mの高さでしかも2つの堤防に守られながら、ほとんどの家が流され今回も犠牲者を出した。◆今、「津波太郎(田老)」の汚名を返上し、復興まちづくり協議会を立ち上げ、高台まちづくり部会、商業検討部会の「田老商店街再生を考える」などで、プロジェクトをぶどうの房のように連携させる「葡萄型連携まちづくり」を進め、住民主体の復興まちづくりを切り開いている。◆しかし、集団移転など復興のまちづくりは、「スピード」と「深い議論」の両立というジレンマを抱えている。

(9月10日号掲載)

◆テレビ番組の「笑ってコラえて」で、ヴァチカン市国に潜入、ミケランジェロやダ・ヴィンチなどの天才と並んで、その作品が展示されている日本人彫刻家・吾妻兼治郎に会うというストーリー。◆何と吾妻は代々鋳金を家業としていた山形市の出身。知らなかった。第二次世界大戦時に特攻隊に、出征間際で終戦し、空虚感を感じる。その後、東京藝術大学で彫刻に没頭、留学を決意。当時の日本はフランス様式が中心であったが、イタリアの彫刻家マリーノ・マリーニの作品に感銘を受け、渡伊。マリーニに師事を受け、制作を続けた。◆しかし、マリーニ風の造形から抜け出せず苦しむこととなる。そのような折、吾妻はストーブの燃料のために買っておいた果物の箱が自然にひっくりかえり、バラバラになっているのを見て、その美しさに打たれ《MU》シリーズを創り出す。◆マリーニは「君は日本人。君は君の起源を探しなさい。日本人であることを忘れてはいけない」。感動の言葉である。◆テレビに映る姿は、穏和で何かかわいらしいところがある。85歳にして今なお現役だ。杜の都仙台、勾当台公園に「時の広場」の彫刻がある。

(9月6日号掲載)

◆「福島現代美術ビエンナーレ」は震災復興祈念事業として、「SORA」をテーマに福島空港を中心に8月11日から9月23日まで開催されている。◆今回は、国内外の芸術活動を紹介することにより、今もなお不自由な避難生活を強いられている被災者の『生活の質の向上』に貢献。さらに、不幸にして一躍世界的に有名になってしまった「故郷『FUKUSHIMA』の『安全・安心』を全国・世界に発信したい」という復興への特別な願いが込められている。◆ビエンナーレは、隔年で開催される国際的な芸術祭を意味し、福島大学の学生ならびに福島を拠点に活動している美術関係の若者が中心となって始動してきた。◆国内外のアーティストによる最先端の絵画、彫刻、工芸、ビデオアート等を紹介するとともに、シンポジウムや講演会、ワークショップを通して、幅広い世代が関心を抱き、多くの人々が交流できる場を設けている。◆テーマの「SORA」は、福島出身の高村智恵子による「ほんとの空」からで、「智恵子は遠くを見ながら言う。阿多多羅山の山の上に毎日出ている青い空が智恵子のほんとの空だという」高村光太郎『智恵子抄』より。

(9月3日号掲載)

◆8月29日から開催される第13回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展では、伊東豊雄(建築家)が日本館コミッショナーを務め、参加作家として乾久美子(建築家)、藤本壮介(同)、平田晃久(同)、畠山直哉(写真家)が出展する。◆ビエンナーレは「2年に一度」を意味するイタリア語。建築展は美術展と並び独自の位置を占めている。◆日本の歴代コミッショナーには磯崎新氏、五十嵐太郎氏等がつとめ、前回の12回開催においては、妹島和代史が建築展の総合ディレクターをつとめた。◆今回の展示プランは「ここに、建築は、可能か」。伊東氏は、震災直後から「みんなの家をつくろう」というプロジェクトを提案。最大の意義は人々の「心の交換」と説明。津波で家を失った人々が集まって、語り合い、一緒に飲んだり食べることのできるささやかな憩いの場を提供しようという試み。◆このプロジェクトを巡る議論のすべてをビエンナーレで展示し、訪れた人と共に、来るべき建築について語り合う。◆そこには、建築は誰のために、そして何のためにつくるのか・・・の答えが。

(8月30日号掲載)

◆我社OBとの宴席で、山形藩主にも名君がいたとの話。その名は三代将軍家光の弟『保科正之』。◆調べてみると、初代会津藩主として民の貧しさを克服し、大飢きんで一人も死者を出さず、会津を日本一幸せな藩に育てた名君。今でも会津魂が受け継がれている。さらに、江戸幕府の政治を変え260年の平和の礎を築いた人。◆正之は徳川二代将軍秀忠の子供だが正室お江の子ではない。秀忠は大奥に上がっていたお静に手を付け懐妊、武田信玄の娘の見性院に預けた。◆その正之が、山形藩の鳥居家改易後、寛永13年7月に信濃高遠藩3万石から山形藩20万石に加増移封、山形という東北の抑えである枢要の地を7年間任された。◆正之は奉行制度を整備して民政を整え、家臣の掟として「家中仕置」、「道中法度」を制定、寛永15年から翌年にかけて藩内検地を行なった。寛永20年7月、3万石加増の23万石で陸奥会津藩へ加増移封された。◆以後、山形藩は松平越前家、松平奥平家、堀田家、秋元家、水野家など譜代大名が入れ替わり立ち代り入り。左遷地の感がああり、最後の水野家ではわずか5万石。

(8月27日号掲載)

◆東北中央自動車道栗子トンネル(仮称)は、7月14日に掘削総延長が6000mを突破した。トンネル延長8972mの3分の2で、掘削進捗率67%。平成21年11月から、約2年7ヶ月での6000m突破した。◆歴史を辿ると、明治9年、山形県の初代県令三島通庸は米沢と福島を栗子峠経由で結ぶ道を新たな羽州街道として計画。栗子山隧道は日本最長の隧道として完成。明治14年の開通式に参加した明治天皇により、「萬世大路」と命名された。◆昭和8年から車道化改修工事が開始。苅安隧道は、取り壊されて切り通しとなった。残る2隧道は洞床掘り下げなどにより拡幅されたが、栗子山隧道の山形県側の坑口は明治と昭和の坑口が並ぶ。隧道名も栗子隧道と改称された。◆現在の栗子道路は、昭和36年から工事が開始された。昭和41年5月に現在の栗子道路が開通した。◆鬼県令三島は「東北の発展は道路の開削にこそあり」を信念としていたが、現代にも通じるのでは。

(8月23日号掲載)

◆厚生労働省は26日、平成23年の日本人の平均寿命は女性85・90歳、男性79・44歳と発表した。日本人女性の平均寿命は平成22年まで26年連続世界一だったが、香港の86・70歳を下回り2位に転落。また、男性は前年の4位から8位に後退。ここでも香港がトップの80・5歳。◆東日本大震災の発生が平均寿命を縮める大きな要因となったのも事実。◆話は変わるが、欧米には、寝たきり老人はほとんどいないという。◆我が国のいわゆる老人病院には、寝たきりの老人がたくさんいる。今まで世界一の長寿国日本の実態である。◆では、欧米に寝たきり老人は何故いないのかというと、胃ろうや点滴などの人工栄養で延命を図ることは非倫理的であると、国民みんなが認識しているからとの理由。◆多くの患者は、寝たきりになる前に亡くなっている。◆確かに、生きる事とと生かされる事は違うと思うし、人間の尊厳に係わってくる。◆とても難しい問題。人間として生まれてきたからには、老いても人間として扱われ人生の終焉を迎えることが大事だと思う。◆日本の「常識」が「常識」でなくなる事も論議する必要が。

(8月2日号掲載)

◆21世紀に入り、改革開放の中国が経済的に急発展し続けているが、日本は、中国の発展というダイナミックな展開を軽視していた向きがある。最近の中国の急発展に伴う強烈な自己主張は、それだけで「脅威」としての現実性を強めている。しかし、中国経済の実力と今後の発展については未知数であるが。◆海信集団(ハイセンス)は10日、50型液晶テレビを日本で発売した。市場想定価格は10万円を切り、他社メーカーに比べ4割程度安い破格の値段設定。また、24〜39型の中型機種も8月下旬に発売する予定だ。同じサイズの国内大手製テレビの半額以下。安値攻勢で日本開拓を加速する。◆同社は中国市場で9年連続液晶テレビのトップシェアを獲得、昨年はハイセンスグループとして全世界に約1000万台の液晶テレビを販売している。◆全世界に向けた出荷を行っているものの、チップセットやファームウェアは日本メーカーと共同開発したものを使用。そのため、高画質で操作性に優れた、日本のユーザーニーズを捉えたモデルとなっているという。◆日本の技術は世界一を否定するところではないが、あぐらかいてるわけにはいかない。

(7月26日号掲載)

◆疲弊にあえぐ建設業界にとっては、久々の明るいニュースが拡がっている。起死回生となる起爆剤となり得るだろうか。◆自民党国土強靱化総合調査会(会長・二階俊博衆院議員)は、東日本大震災などを踏まえ災害に強い国土づくりを目指す「国土強靱化基本法案」を決定、国会に提出した。◆東日本大震災などを踏まえ、災害に強い国土づくりをめざし、10年間で総額200兆円をインフラ整備などに集中投資するという。公共投資による需要創出でデフレ脱却を図るのだという。◆主な内容は、政府が国土強靱化戦略本部を設置し、避難路や避難施設の整備、建築物の耐震化、密集市街地対策などのほか、農山漁村・農林水産業の振興や離島の保全なども盛り込んだ。◆民主党のスローガン「コンクリートから人へ」を逆転させて「人からコンクリートへ」と進む事になる。◆土建国家への回帰、先祖返りなどと非難を浴びている部分もあるが、無駄のない安心安全の国づくりは重要だ。

(7月23日号掲載)

◆7月7日付けの山形新聞に、9月1日めどに「新庄・鈴木・柴田組」として再スタートする・との記事。◆最上地方の4社が、柿崎工務所(新庄市)を中心とする柿崎グループが出資して設立する新会社に吸収再編されるもので、社長には柿崎和朗元柿崎工務所常務。◆今回の企業再編は、第2会社方式による分社型吸収分割。同方式は、財務状況が悪化している中小企業の収益性のある事業を会社分割や事業譲渡により切り離し、他の事業者(第二会社)に承継させ、また、不採算部門は旧会社に残し、特別清算等をすることにより事業の再生を図るもの。メリットは、金融機関の協力により、債務免除や税務上の課題も解決可能で、想定外債務のリスクが遮断され、スポンサーの協力が得やすいとされている。◆これには、中小企業承継事業再生計画の認定が必要とされ、中小企業再生支援協議会(本県は県企業振興公社)からの支援を受ける事になる。これで、旧会社が保有していた事業に係る許認可を第二会社が承継できる。◆構造的不況の中、尾花沢市内にある3社が平成21年9月に合併した「はながさ建設」に次いで2例目。◆延長された中小企業金融円滑化法は来年3月末で期限が切れる。

(7月16・19日合併号掲載)

◆元請・下請取引契約の適正化委員会は「平成23年度元請・下請取引に関する調査報告書」をまとめた。◆必要な単価に対する契約単価の割合としては、70%未満とする会社が27%、80%未満とする会社では全体の50%を占める。◆また、必要な工事単価が得られないときには、一般管理費(70%)と外注費(52%)を切り詰めている会社が多い。◆さらに、元請からの発注金額が実質指値となることが「頻繁にある」とする会社が46%と多く、「時々ある」44%を加えると、全体の9割が「指値がある」としている。◆元請企業間の競争激化による請負価格の低下が、下請企業や資材納入企業にしわ寄せされ、低価格契約に怨嗟の声が上がっているところから、建設業法の規定は低価格防止の抑止力とするためだという見方もある。◆下請契約といえども、その時々の経済情勢、業界環境を反映して行わざるを得ない・・低価格とは思いつつも契約締結する場合も・・◆厳しい環境はまだまだ続く。

(7月12日号掲載)

◆静岡県は6月11日、浜松市で創業した活齒工務店グループから計300億円の寄付を受け、浜松市沿岸部約17・5キロに津波対策の防潮堤を整備する方針を明らかにした。県と浜松市と同社は同日、寄付金を浜名湖から天竜川にかけての遠州灘沿岸の防潮堤整備に充てる基本合意を結んだ。◆同社は今年度100億円、来年度以降は工事の進捗状況に応じて2年間で200億円を寄付する予定。◆浜松市は、巨大地震時の最大津波高を13・5メートルと想定。しかし海岸に防潮堤はなく、これまで避難ビルの指定など避難方法を中心に対策を検討してきた。◆県は来年6月をめどにまとめる第4次地震被害想定を基に、具体的な設計などを決めていく考え。着工は早くても26年以降で予算規模は未定。寄付は基金に積み立てる。◆活齒工務店は、東京都江東区に本社、静岡県浜松市南区に浜松本社を置く大手ハウスメーカー。拠点数は沖縄を除く全国340ヶ所、工場は11ヶ所。22年度の戸建販売戸数は業界第6位。木造軸組工法による建築を得意とし、一条ハイブリッド免震構法は、潟uリヂストンとの共同開発で4000棟を整備した。◆故郷と自社工場を思わんばかりなのだろうが、太っ腹だ。

(7月9日号掲載)

◆中井貴一さんがナレーターを務めた6月24日放送の夢の扉は『日本の未来を変えるコンクリート』と題し、“ドリームメーカー”として今川憲英教授の研究活動が紹介された。◆心筋梗塞で一命を取り留めた研究者が医師の言葉によって救われ、彼が思ったのが自分の命と同じように建築の命も救いたいということ。鉄筋のいらない長寿命のコンクリートを作り、震災で被災された街を復興させ、1000年持つ街並みを目指すという。◆解体するのではなく、再生・延命という『外科医的建築法』を実践し、世界からも注目を集める構造設計の第一人者。東京電機大学教授、65歳。◆硅砂を使ってのまったく新しい構造材の開発。開発から7年、コンクリートの2倍の強度を誇り、二酸化炭素を吸収するという新素材「CO2エコストラクチャー」が生まれた。◆代表作として知られるのは、古い倉庫のレンガの亀裂に樹脂を注入して再生した、「横浜の赤レンガ倉庫」。第45回建築業協会賞を受賞した。◆「エコストラクチャー」が復興の希望となる日は近いのか。

(7月5日号掲載)

◆東北地整では東日本大震災の教訓集「広域大災害に備えて」を策定した。◆震災を通じて得られた数多くの教訓や課題を埋もれさせることなく、貴重な教訓として、今後、起こりうる広域大災害の備えとして活かし、様々な地域計画に活用するためまとめたもの。◆記載した教訓は、山形県など東北圏広域地方計画協議会の各機関が東日本大震災の災害対応を通じて得られた主な教訓・課題を整理・編集した。◆教訓の活かし方では、緊急時の対応に備えた平時からの地元の建設業者等との連携が必要。迅速な応急復旧のための速やかな工事契約の運用(緊急随意契約の採用)が重要など・となってくる。◆公共事業の減少により、事業者も激減している地域建設業者。しかし、いざ災害が起こった時に先頭に立って支援に動くのは建設業者。東日本大震災においても建設業者が真っ先に道路を切り開き、橋を修理し、自衛隊や消防・警察が入る道を確保したが、ほとんど報道されていない。◆6月16日から公開される映画「絆〜キズナノキオク〜」は、自衛隊の被災者救援。

(7月2日号掲載)

◆米沢時代の伊達家の本拠地が米沢城では無く舘山城の可能性が有る・という。◆米沢市が最近行った発掘調査の結果、舘山城跡から重臣以上クラスの庭園や井戸などを有した大規模な屋敷の跡が見つかった・との事で、米沢市教委は初めて本丸部分を含めたエリアの現地調査を実施する。◆平成26年度まで現地調査を進め、27年度の国の史跡指定を目指す。将来的には一帯を伊達家の歴史を伝える史跡公園として整備する事も視野に入れている。◆米沢城は米沢盆地の南端付近にあるが、舘山城は2つの川に挟まれた全長約350mの山城で、現在は石垣などが残る。政宗の祖父晴宗が西山城(福島県桑折町)から米沢に拠点を移した際の主要な城だとされているが、不明な点が多かった。◆よくよく考えると、今まで戦国時代を代表する大名の1人である伊達政宗が、若いころどこに住んでいたのかよく分かっていなかったのが不思議だ。◆現在の上杉神社の場所にあった平城の米沢城との「本拠地論争」を前進させるような発掘結果が期待されている。◆また、ケネディ大統領は尊敬する日本人は「上杉鷹山」と答えたのだろうか。歴史は深い。

(6月28日号掲載)

◆村山市の最上徳内記念館で開催されているもりわじんさん(本名・森和人)の『泣き猫・まことの福祉』を見に行った。◆もりわじんさんの作る招き猫作品は、非常に表情が豊かで、見るたびに心を和ませてくれる。少々高額ではあるが、人気が高いのも頷ける。◆この日は、もりわじんさんご本人がおられ、話を聞く事が出来た。ラフな格好で、しゃべり上手な面白い方。とても気さくでガシガシ話してくれる。◆私が気になった、祈りを捧げている「混沌神」について訊ねると、もりわじんさん曰く、中国2500年前の混沌(たぶん妖怪)、手塚治虫さんの「どろろ」からイメージ。「無為自然」で、人も万物と同じく自然の運行に法り従うこと・と述べている。◆型にはまらない多面的な魅力を持つアーティストだった。◆大学で建築を専攻し造詣が深く、竜神の吊り橋近くの2匹の猫が寄り添っているアトリエ兼住宅「家猫」は、自分がデザイン、設計は樋口建築研究所、山形建設で施工した。世界一の招き猫の家からアートを発信続ける。◆7月17日まで開催されている。

(6月21・25日合併号掲載)

◆昨年度の文化庁長官表彰(文化芸術創造都市部門)に鶴岡市が選定された。◆この表彰は、文化芸術の持つ創造性を地域振興、観光・産業振興等に活用し、地域の特色を生かした文化芸術活動など、特に顕著な成果をあげている市区町村に対し、文化庁長官が表彰するもの。◆鶴岡市は、「食文化」を活用し、地方都市を「文化」で再生する取組を行っている。今年3月には、食文化を様々な形でまちづくりに活かしていく「食文化創造都市推進プラン」を策定。また、市内に数多く存在する有形・無形の文化財の保存・伝承を行い、各地域の特性を活かしたまちづくりに市民と協働で取り組んでいる。◆実例を見ると、鶴岡市には全国屈指の60種を超える在来作物が継承。世代を超えて地域に存在する「生きた文化財」であり、実用的なアーカイブとして在来作物を使った料理のレシピ本を昨年8月に発行した。さらに、山大農学部の教員が中心となり、豊かな食生活の提案や食産業の活性化を目指す取組などが行われている。◆では、森敦文庫、旧黄金村役場が行革の波に消えていくのはしかたない?

(6月18日号掲載)

◆週刊ダイヤモンドの「中高一貫校・高校ランキング」特集が目に入った。◆全般的な特徴は、首都圏の高校の順位が相対的に低く、その他の地域(特に関西)の高校の順位が高い、ベスト20位くらいまでの上位校には、中高一貫の名門校が多く、男子校が上位に多い。◆理由をみると、難易度の高い国公立大学で合格するためには、短期間の学習では難しい。加えて、難関国公立大学の2次試験のレベルは高く、中高一貫の6年間をかけて、じっくり勉強していくことに優位性がある。・としている。◆典型的な中高一貫校の教育課程は、高校2年までに中高の内容を終わらせ、最後の1年で大学受験に特化した学習をする。◆中高一貫校は、私立校や国立校では従来から行われてきた教育方式だが、公立校では、平成10年の学校教育法改正により正式に認められ、積極的に一貫教育ができるようになった。◆全国の流れからはずいぶんと遅れている山形県だが、そのぶん、全国の設置校の研究はできる余地がある。素早い動きでよい学校を設置してほしいものだ。

(6月14日号掲載)

◆4月26日にボブソンは破産手続き開始決定を受けた。これで正式に倒産となる。◆昭和45年にジーンズの製造販売を開始した山尾被服工業梶i岡山市)が、その翌年から「BOBSON」のブランドによる企画・製造・販売を始めたのが始まり。◆また、ボブソンは、長年の業績から高い認知度を得、レーヨン素材のジーンズ製品で人気を集めるなど技術開発力にも定評があった。バブル期には、F1などのモータースポーツ、また、平成4年にはサッカー・Jリーグの公式スポンサーとなっており、平成17年5月期には年売上高約128億円を計上していた。◆リーバイス、リーなどブランド物のジーンズが流入する遠い昔のジーンズ三傑は、ボブソン、エドウィン、ビッグジョンだった。バッファローマーク好きだったのに残念。丈夫だと長持ちするのが、今の時代に、あわなかったか。大手ジーンズ専業メーカーという形態はいよいよ過去の遺物となりつつあるようだ。◆「日本製ジーンズを世界に向けて販売し、ボブ(アメリカ人の代表的な名前)が損をするように」と言っていたのに、自分が損をしてしまった。

(6月11日号掲載)

◆安藤建設とハザマは5月24日、両社の取締役会で、来年4月1日合併することを決議、合併契約を締結した。ハザマを「吸収合併存続会社」とし、安藤建設を「吸収合併消滅会社」とする吸収合併方式。合併後の名称は「安藤・間」。◆ハザマは、古くからダム、トンネル工事の名門として知られており、日本国内では黒部ダムや御母衣ダムなど数多くの実績を持つ。一方建築分野でも、10年前まで世界一の高さを誇ったマレーシアのペトロナスツインタワーなどを手がけた安藤建設は、中高層ビル・工場建築に強みを持つ、プレハブ工法で先駆け、建築主力の中堅名門。◆売上高は約3500億円以上となり、上場ゼネコンでは7番目の規模となる。◆経営統合によって事業規模の拡大と経営の合理化・効率化などを図り、収益力を強化する。また、海外展開と新規事業への取り組みの基盤づくりを図る。◆震災復興による回復も期待されるが、建設市場の規模が小さくなる中で、今後も合併によって生き残りをかける動きはさらに増えると見る向きもある。

(6月7日号掲載)

◆国土交通省は、建築基準法などの建築法体系全体の目指すべき基本的方向について検討を進めるため、「建築法体系勉強会」を設置し、検討を進めてきたが、検討結果がまとまった。◆現状と課題では、法令改正を重ねてきた結果、複雑で判りにくい。行政庁の政策判断や地域住民の意向等、地域実情を建築規制に反映させる仕組みが不十分であるとの指摘があった。◆品質確保に向けた規制、資格制度では、発見困難な違反事項ほど罰則を重くすべきとの指摘や罰則よりも行政処分による制裁強化を通じた対応を求める指摘があった。◆建築基本法の検討では、民間の取組を基準体系に円滑に取り込める仕組みの構築に向け制定を期待する意見が提起された一方で、理念のみの規定となることを疑問視する意見や、現行法体系に屋上屋を重ねるような法制化はすべきではないとの意見も提起されたことも踏まえつつ、そのあり方について検討する。◆ハウスメーカーの規格化住宅などは、基準に対応しやすいが、日本の建築文化である「伝統構法の復活」はあるんだろうか。

(6月4日号掲載)

◆野田総理のブログで、5月2日に訪米で感じた日米の絆の深みが掲載されていた。◆「感謝の集い」では、東日本大震災の直後から、人員2万4千人あまりが投入された「トモダチ作戦」だけでなく、全米各地に広がった官民の支援の輪に、まず感謝の思いを伝えたかった・と述べている。◆特筆するのは、英語指導助手として石巻市で教えていたテイラー・アンダーソンさんの事。発災後も被災地で怯える子供たちを励まし続け、津波に飲まれ、亡くなられた。こうした悲しい出来事に見舞われながらも、ご両親は、石巻の子供たちのために本を寄贈され、「テイラー文庫」と名付けられた・と記している。◆震災当日は校庭で、子どもたちを保護者が迎えに来るまで励まし続け、避難所に送り出した後、自転車で自宅に向かう途中、津波にさらわれた。文庫は、本が大好きだったテイラーさんをしのんで設けられた。◆父親アンディ・アンダーソンさんは「テイラーからの夢を考える手段としての贈り物です」と話している。◆日本は震災で、何を学んだのか?

(5月31日号掲載)


◆「地域鉄道の再生・活性化等研究会」(第1回)の開催結果がまとまった。◆意見交換では、地域鉄道のゴール、なりたい姿はどういうものなのか。収益性だけでなく、公益性をどう評価していくか。地域鉄道の収支の議論だけでなく地域を訪れた人による経済波及効果も確認していくことが必要。マイカーから電車を使用してもらうよう切り替えるには、CO2の削減といった他の意義付けも必要。高速移動(新幹線など)の利便性とスロー移動(地域鉄道)は相反するものでない・など。◆9月には第3回の研究会を開催し、モデル事業候補者の検討を進め、4回目の12月には事業者を決定、翌年1月から3月に地方説明会を開く。◆しかし、従来から、国の交通政策は、経済効率性の観点から高速輸送手段を中心とし、輸送需要の少ない路線ではバスを中心とした交通体系に移行してきた。◆地方鉄道は、明治・大正時代に開業したものが多く、老朽化が進んでいる。◆全国91の地域鉄道に「夢」を乗せて貰いたいものだ。

(5月28日号掲載)

◆日本は、国土の3分の2が森林であり、フィンランド、スウェーデンと並ぶ世界有数の森林国。◆日本は、古くから身の回りの生活用品、住宅、大規模建築物など様々な所で木材を利用する「木の文化」を育んできた。例えば、現存する世界最古の木造建築物といわれる法隆寺や、世界最大の木造建築物といわれる東大寺のように、日本には世界に誇る木造建築物が多くあり、木の良さを活かす知恵と技術が長い年月にわたり伝承されている。◆一方、森林は光合成により二酸化炭素を吸収し、炭素を固定して、地球の温暖化防止に重要な役割を果たしている。日本の森林が、光合成によって吸収する二酸化炭素は年間約1億トン。これは国内の二酸化炭素排出量の8%、国内の全自家用乗用車の排出する量の7割に相当する。◆更に、我が国の平均的な木造住宅は、木材を約24立方b使用、炭素の量は約6d。これは、RCやSプレハブ住宅の約4倍。◆木造住宅を推進し、木材を活用したまちづくりを行うことは、街に第2の森林を作ることと同じ働きが期待される。

(5月24日号掲載)

◆5月12日のBSプレミアムで「東京スカイツリー」の5時間生放送特集を見た。◆デザイン監修者の澄川喜一氏(彫刻家・元東京芸術大学学長)が東京スカイツリーに込められた造形的魅力を語った。◆同氏は、「そりのある形」をテーマにして作品をたくさん作っており、スカイツリーはこの「そり」に加え、「起(む)くり」という形も取り入れている。日本刀のようにわずかにそった形というものは、厳しさが出てまた美しい、また、むくりの屋根は、町並みを非常に暖かい感じにする−と言う。◆底部はカメラの三脚のように3角形をしているのに、上に行くに従って徐々に円形になる形。◆足元の一番太いパイプは直径2b30a。厚さ10aという板材をプレスして徐々に丸めていく。パイプとパイプは溶接。こちらの方が強度が出るという。◆634mという前人未到の建設を可能にしたのは、日本の技術力と日本の伝統文化という事になる。◆設計・監理は日建設計、施工を大林組というタワーや高層ビル建築で十分な実績を持つ企業が担った。◆何時かは、拝見したい。

(5月21日号掲載)

◆日本と朝鮮半島南部間220`を海底トンネルで結ぶ「日韓トンネル」は、佐賀県鎮西町で確認することが出来る。1期(200bの掘削工事を終えた調査斜坑は、第2期工事に入り、410bまで掘削された。日韓海底トンネル構想は、20年を超えて研究されてきており、最近の技術発展で 新しい局面を迎えている。◆韓国では釜山−巨済島間8・2`が開通、沈埋トンネル区間の加徳海底トンネル3・7`は、世界で最も深い海底40bに建設、最長180bのコンクリート構造物を海中で連結、特殊ゴム「二重防水」処理されたもので世界記録。◆日韓トンネルの工費はおよそ10兆円で、最新技術なら10年以下で建設可能との見方もある。◆新幹線なら福岡・釜山間が約1時間となり、福岡と釜山が通勤圏内になるという。経済効果は計り知れない。◆しかし、巨額の建設費、維持費、災害リスク、国防上の問題、貿易関税の問題などの外、日韓両国間の歴史感情が最も大きな困難としてのしかかっているが、あえてやってみる価値が十分にあるように思える。

(5月17日号掲載)

◆ゴールデンウィークの前半に、夫婦して秋田市内に建築物ツァー。◆今年は、重要文化財である旧秋田銀行本店本館(赤れんが館)が明治45年に竣工して100年を迎え、「洋風建築inあきた」が開催されており、歴史的建造物の魅力にどっぷりと触れてきた。◆一方、第2の目的は安藤忠雄氏設計の新秋田県立美術館。丁度足場が外され、大広場に面し千秋公園に向いて現県立美術館に対面して配置。三角形のコンクリート外観がクッキリ。◆千秋公園の入口にあった秋田県立美術館が耐震補強のための大規模改修が必要なことから、僅か200bしか離れていない再開発地区に移転するもの。◆芸術文化活動の発表の場、そして新しい街の文化のシンボルとして、 安藤忠雄氏の設計により生まれ変わる。新美術館は来年秋に本オープンする。施工は清水建設。◆しかし、観光客は少ない。竿灯祭りが主体の民俗芸能伝承館では、職員が付ききりで案内、実演、体験も出来た。此処だけ家内は大はしゃぎ。夜は旭川沿いの川反で郷土料理をつまみ。

(5月14日号掲載)

◆馬場正尊氏(建築家、東北芸術工科大学准教授)の本「新しい郊外の家」。同書は、「R不動産」の仕掛け人。いかにして房総に自宅を建てたかという、その顛末を中心に、氏独自の都市論・建築論を語っている。◆「新しい郊外」というコンセプトを、一般大衆に向かって広めることが、新世代の建築家としての自分の役割だと、そう自負している。◆また、都市は便利で合理的なもの。しかし、合理的なものが正しいというのは近代が作った概念。そこでもう一回、脳だけではなく身体で考えてみる。身体に素直になると郊外という選択肢は自動的に浮かび上がってくる・という。◆都会のインフラを享受しつつ、同時に喧噪を離れた田舎の空気も味わっていたい。そこで選ばれたのが「新しい郊外の家」。◆何かを犠牲にする訳でもなく、すべてをバランスよく手に入れる。その力の適当な抜け具合が心地よく見えるという。こんなエリアを「新しい郊外」と呼ぶ。◆馬場氏は、古い建物や街をリノベーションして再生する仕事に加え、都市の空地を発見するサイトを運営。◆佐賀県生まれ。早稲田大学大学院建築学科修士課程。株歯堂、雑誌『A』編集長を経て、OpenAを設立。

(5月10日号掲載)

◆京都の龍安寺石庭を囲む塀などの「築地塀」は、古代から中世の寺院建築や邸宅建築に使用されている。築地塀は、両側に板型枠を置き、その間に壁土を数センチずつ敷き込みながら棒で突き固める作業を繰り返して作られる(版築)。型枠を外すと横じま模様の塀となる。◆この「築地塀」をさらに強固にするために、粘土に「菜種油」や「もち米の研ぎ汁」を混入して防水性を高め、さらに接着性をも高めたのが「油土塀」とよばれる。◆姫路城は、殆どが白漆喰だが、1つだけ白くない壁があり、「油壁」と云われている。高さ2・2b、幅5b、厚さはなんと約1・24bもある。鉄壁ディフェンス壁で、コンクリートほどの強度を持ち、鉄砲の弾もはじき返すと言われている。しかし、大変な労力がいる。◆世界に目を向けると、マリ共和国に、ユネスコ世界遺産で「泥のモスク」と呼ばれる世界最大の泥の建造物がある。100年後には見られない可能性が一番高い世界遺産にも選定。◆また、中国の客家(ハッカ)の土楼は、ぶ厚い土壁が陽射しを遮り、冬は風と冷気をブロック。雨期には、土壁が湿気を吸い取る。◆賢者は過去の歴史から学ぶか。

(4月26・30日合併号掲載)

◆県内ではここ数年、特別支援学校や小中学校の特別支援教室に在籍する児童生徒が増え続けている。◆同校は当初80名規模で開校し、児童生徒は想定を超え現在120名以上。今年度はさらに聾学校の4教室を使用する。◆県では、24年度予算に楯岡校の大規模な増築を計画。普通教室、体育館、プール、職員室を整備する。◆さらに、山形聾学校と村山特別支援学校本校のあり方など、再編整備について検討を進め、特別支援学校がない西村山地区と西置賜地区に設置すべきとの意見があり、高等養護学校についても、高校や特別支援学校高等部に進学する知的障がいがある生徒に係る一般就労に向けた対応のあり方を含め、特別支援学校の再編整備計画を6月までにまとめたい意向だ。◆また、天童市内からは30名の児童・生徒が遠距離通学しているため、特別支援学校の分教室又は分校を天童市に設置するよう訴えている。◆子どもがクールダウンするスペースも取れなくなっている現状をみると「辛い」。

(4月23日号掲載)

◆水田地帯より下流の市街地を洪水から守る「田んぼダム」。大雨の際、河川の急な増水を防ぐため、排水口に板を取り付けることによりダムの役割を果たす田んぼ。日本各地の稲作地帯で取り組みが始まっている。◆水害を防ぐために河川改修や多目的ダム、貯水池、遊水池などがあるが、これらに比べて田んぼダムは、時間と費用がかからないという利点がある。◆県農林水産部では、24年度に飽海地区の月光川で、田川地区では藤島川、大山川を予定している。◆昨年8月意見交換を行い、庄内総合支庁農村計画課と河川砂防課による勉強会を開催し現地調査も行った。役割分担として農林水産部では事業実施を、県土整備部では効果の検証を行う。河川課で湯尻川における田んぼダムの効果検証を行った結果、現状の田んぼでも浸水面積を16%減らす効果があり、対策後はそれに加えて14%減らす効果があることがわかった。◆しかし、多くの田んぼで取組まなければ洪水を抑制する効果が発揮できない。また、水位が上がるため畦畔が壊れる可能性が考えられる。田んぼの状況によっては畦畔を強化する必要がある。

(4月19日号掲載)

◆県では、大規模な公共施設には効果的な取組みであることから、ESCO事業導入を、フルサイズの事業ではなく、本県の身の丈にあった検討を進めている。◆ESCO事業とは、ESCO事業者がビルオーナーに対し、工場やビルの省エネルギーに関する診断をはじめ、方策導入のための設計・施工、導入設備の保守・運転管理、事業資金の調達などの包括的なサービスを提供し、それまでの環境を損なうことなく省エネルギー改修工事を実現し、その結果得られる省エネルギー効果を保証する。その報酬として、省エネ効果の一部を受取る。◆財政難に苦しむ自治体にとっては魅力的な事業。しかし、事業採算性の低い中小規模施設は敬遠されがちで、民間の事業と比較して自治体事業は魅力に乏しく、受注できるかどうかわからない公募の参加に多大な労力がかかる。◆提案書作成の負担、資産保有リスク、計測検証の後年度長期負担等の軽減を図り、“事業者が”参入しやすい環境づくりが必要なのでは。

(4月16日号掲載)

◆4月初めに山形大学発のベンチャーが設立された。◆これは、山形大学の有機エレクトロニクス、流体力学の技術力及び地元企業の職人技を結集し農業の六次産業化のため、食品を製造・販売することを目的に設立されたもの。◆城戸淳二山形大学教授、鹿野一郎准教授、嶋貫昭一(有)サント電業社長は、有機EL光源を用いる植物工場、常温乾燥技術を用いた食品加工の研究開発および乾燥機の製造販売会社「ナチュラルプロセスファクトリー梶i米沢市窪田町)」を設立。新会社はまず、常温乾燥機及び常温乾燥技術を用いた食品の製造販売を計画。◆具体的には、有機ELなどの人工光源を用い、光ダクトや将来的には太陽電池を用いて太陽光をも利用し、さらに流体力学的に計算された工場内の環境を均一に保つ技術を駆使して徹底的に省エネ化された植物工場を設計、開発し、販売する。◆その際、県内企業より部品を調達、さらに県内企業にて加工、組み立てを行い県内企業のものづくり技術を最大限利用する。◆有機EL植物工場が開発されれば世界初。雪国や酷暑の土地でも農業が可能になる。

(4月12日号掲載)

◆農林水産省「限界集落における集落機能の実態等に関する調査」によると、農村の地域社会は、過疎化・高齢化の進行により従来のコミュニティ機能を維持することが一層困難となってきている。農村地域全体では過去20年間に人口の約10%が流出。高齢化比率は32%と全国平均の20%に比べてはるかに高い。◆こうした中で、全国約14万の農業集落のうち、平成13年以降に無住化が危惧される集落(北海道・沖縄除く)を推計したところによれば、その数は約1400集落となり、コミュニティ機能の存続が危ぶまれている。◆こうした生産基盤の脆弱化が農業の衰退、農村の魅力や地域力の減退を招くように、農業とそれを支えるコミュニティや社会全体は相互に連関し、影響し合う。◆さらに、食料生産と国土保全の基礎をなす「水と土」について社会的共通資本として整備していくことは、忍び寄る危機に対処する上で不可欠の課題。「水と土」なくしては、1億2千万人の国民に供給する食料を生産することはできない。

(4月9日号掲載)

◆3月3日に447名の全国の市町村長で構成する「地方を守る会」の設立総会が東京の都市センターホテルで開催された。◆地方を守る会は、国の出先機関の廃止や地方移譲には慎重に対応すべきであり、事を拙速に進めるべきでないと決議した。◆総会には、民主党、自民党、公明党の国会議員本人又は代理を含めて25名が出席、みんなと力を合わせて頑張って行くことを確認した。◆国の出先機関とは、都道府県に設置されている中央省庁の地方組織で、国家公務員約30万人のうちおよそ19万人が配置されている。業務は自治体の仕事と重なり、二重行政の弊害、ムダ遣いとして行政改革の目玉に挙げられてきた。◆しかし、東日本大震災でも、東北地方整備局が果たした役割は、くしの歯作戦として被災地の災害を最小限に食い止めたと高く評価されている。◆また、全国知事会は従前から二重行政の解消や行政の簡素、効率化の観点から強く国に求めてきた。◆改革の重要性は大きいが?慎重な制度設計が求められる事になりそうだ。

(4月5日号掲載)

◆県指定無形文化財の深山和紙を地域ぐるみで伝承保存している白鷹町深山地区の「いきいき深山郷づくり推進協議会」が平成23年度地域づくり総務大臣表彰に輝いた。◆米沢藩の名君「上杉鷹山」も奨励し、県指定無形文化財になっている深山和紙は、かつて数十軒もの紙漉き場が存在していたが、和紙の需要減少や生産の手間、経済的な問題から現在ではたった2ヶ所まで激減、その技法を守る後継者の育成が課題であった。◆そこで、協議会は、耕作放棄地を有効活用し原材料となる楮(こうぞ)の畑を整備。楮の栽培・管理から収穫、加工、和紙生産まで技術継承を含めてほとんどの工程を地域ぐるみで行い、深山和紙を保全・維持する取り組みを行っている。◆衰退していく伝統工芸を、単純に復活させるだけではなく、集落全体が産地を通じて世代を越え、地域を越えてネットワークを強めており、コミュニティービジネスとしての役割も高い。◆都会では、地域コミュニティーが崩壊し、会社というコミュニティーも崩壊しつつあるが、深山地区には、過疎地域ならではのコミュニティーが凝縮されている。◆チープで金太郎飴的な寂れた街だけはゴメンだ。

(4月2日号掲載)