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◆神戸大学大学院海事科学研究科の西岡俊久教授が「海洋エネルギーを活用した大規模発電装置の仕組みを発明した」と発表した。◆実現すればクリーンな自然エネルギーで国全体の必要量を賄える。和名は『海神』と命名。原子炉200基分(200GW)を発電できる。◆海洋発電を考えたきっかけは、英スコットランド行政府が創設した「サルタイヤ賞」。海洋エネルギーだけを利用した革新的発電技術の開発者に賞金1000万ポンド(約12億円)を贈る賞で、西岡教授は地球の端が滝になっている「地球平面説」の絵からヒントを得たという。◆装置は、大型船のような海上浮遊物と海中の発電機2基、海中の配管で構成。海水が海上浮遊物に付設した配管に入り、水の勢いでタービンを回して発電。海水はその後、潜水艦のような耐圧容器に入った海中に向けて配管内を落下し、発電機のタービンを回す。◆実にグッドタイミングで、原発に必要以上の資金投入するならば、こちらにまわす方が『夢』が広がる。

(3月29日号掲載)

◆女優の深津絵里さんが進行役を務めた、3月18日TBSテレビのTHE世界遺産「翼を広げた未来都市」を見た。非常に新しい世界遺産であり、成長の原点となった新首都「ブラジリア」建設の秘密を探った。◆50年前まで首都がおかれていたリオ・デ・ジャネイロは海岸線に。それをブラジル中央の高原地帯へと遷都。不毛な荒野にわずか3年で未来都市が造られた。ブラジリアの都市計画は20世紀最大といわれている。◆この新首都は歴史をもたない。クビチェック大統領が、ブラジル中央高原に新首都を建設することを決定し、コンペで採用されたルシオ・コスタの「パイロット・プラン」によって、高原の上をとぶ飛行機か翼を広げた鳥のような都市形態が決定。その上にオスカー・ニーマイアの設計によって大統領府や国会議事堂、最高裁判所、カテドラルなど主要建築物の設計を一手に手掛け、3年足らずの間に建設された。全期間が5年、まさに電光石火の勢いで計画が進められた。◆涼しいし室内気候が安定している地下室を積極的に使い、空調に頼らない建物で、曲線を駆使した独創的な発想は、衰えを知らない。◆オスカー・ニーマイヤーは健在で105歳、今でも現役として設計をしている。パワフルである。

(3月22・26日号掲載)

◆森ビル椛纒\取締役会長の森稔氏が3月8日逝去した。享年77歳。◆都心の一等地を再開発し、民間による日本初の大規模再開発事業「アークヒルズ」を手がけ、六本木ヒルズなど大規模プロジェクトを次々と実現した。◆また、世界自然保護基金ジャパン評議員を務めるなど環境問題にも造詣が深く、緑化など自然との共生にも積極的に取り組んだ。◆建築家ル・コルビュジエに傾倒。自ら考案した職住近接型の都市モデル「ヴァーティカル・ガーデンシティ(垂直庭園都市)」に基づく都市再生政策を提唱。◆著書『ヒルズ 挑戦する都市』によると、それは複合用途に適したエリアや都心部の再生を想定した都市モデルで、オフィス、学校、病院、住居などを、別々にではなくコンプレックス(複合的)にしてしまう。都市機能を縦に重ね合わせた、徒歩で暮らせる超高層コンパクトシティ。◆理想は、コンクリートジャングルのような街ではなく、緑園の中にタワー型の建物が建っているような街だそうだ。◆やはり、地方は「平面都市」。

(3月19日号掲載)

◆鎮魂の祈り、黙祷。東日本大震災から1年となる11日、県内各地で追悼式やイベントが催された。◆米沢市内では、伝国の杜で東日本大震災復興記念事業。午後2時から県内への避難者を迎えて追悼・復興祈念式典。◆山形市内では、東日本大震災復興祈念事業が市役所の「千年和鐘」前で。文翔館前広場では交流・支援のつどい。夕方からは心の灯、希望の灯がともされた。◆芸工大の「やまがた芸術学舎」では3・11追悼の輪。山形駅前のゆうキャンパス・ステーションでアカペラサークルなどがチャリティーコンサート。山形大小白川キャンパスで311星空プロジェクト@やまがた天文台。消灯を呼び掛け、亡くなった人々を追悼。◆鶴岡市内では、市ゆうあいプラザかたぐるまで追悼と交流の集い。鶴岡まちなかキネマでは親子防災教室。夕方から同所などで1千本キャンドル点灯。出羽三山神社では黙祷。祈願祭・慰霊祭。◆天童市内では、市総合文化センターで追悼と交流の集い。東根市内では、陸上自衛隊第6師団司令部が3・11師団防災の日と位置付け、神町駐屯地で初動対処訓練と黙祷。南陽市内では、法師柳の与次兵衛屋敷で東日本大震災復興支援コンサート。◆あの日からまだ1年。「普通」がどれだけ幸せかに気付けた出来事。安全と思った時から事故に繋がる。

(3月15日号掲載)

◆山形大学(結城章夫学長)は、東北初の重粒子線を活用した最先端がん治療施設の開設を目指し、大学、行政、医療、財界の関係者による検討組織を設置した。◆同大医学部によると、総事業費は約150億円、年間2000人程度の利用を見込んでいる。付属病院内に開設することで、病院の他部門との連携も期待できるという。◆重粒子線によるがん治療は、前立腺がんや体の深部にできたがんへの治療に効果的とされ、がん細胞の殺傷能力が高い理想の放射線。国内では3カ所で稼働している。◆重粒子線の特徴は、放射線の照射量と細胞の生存率を、一般的な放射線であるX線と比較してみると、細胞破壊力が強い。体内に入射した重粒子線は、ある深さまではあまりエネルギーを与えずに速い速度でかけぬけ、途中で急に速度を落として多くのエネルギーを与えて線量のピークを作り、その後は体内で停止する。がんのまわりの正常組織にはほとんど重粒子線を照射せずに、ねらった標的だけに高い線量を集中して照射することが可能となる。

(3月12日号掲載)

◆企業年金運用会社のAIJ投資顧問が企業から運用を受託している約2100億円の年金資金について、その9割が消失していることが、証券取引等監視委員会の検査で分かった。これを受けて金融庁は、異例の緊急点検に踏み切った。第2のAIJが浮上する可能性もある。◆AIJに委託していたのは中小企業が多いとみられ、年金資金の消失が確定すれば企業側に大きな損失が出るのは避けられない見通し。◆また、厚生労働省の調査では、AIJに委託残高があった厚生年金基金や確定給付企業年金は計84基金に上り、計約88万人に影響する可能性が出てきている。◆建設業界関連では、長野県建設業厚生年金基金が運用資産約188億円の約34%に当たる約64億円を委託。さらに、京都府建設業厚生年金基金は、計15億円を運用委託し、今年1月末で時価資産総額は19億円と報告を受けていた。◆リタイア後の生活をより豊かにするための年金だが、運用失敗では回収の見込みはほとんどなく、企業側は給付の不足分を補わなければならない。過去には基金の解散が「年金倒産」を招いたこともある。◆多くの企業で活用される年金だけに他人事ではない。

(3月8日号掲載)

◆日曜朝のテレビ「サンデーモーニング」を毎回見逃さずに見ているが、その中で「利他主義」の事を扱っていた。◆日本人は昔、みんなが持っていたもので、今も心の底に持っているという。しかし、なかなか表面に現れないと語っていた。◆ところが、一瞬のうちに多くの尊い命を奪い去った大震災を期に「利他主義」が現れたと表現していた。◆「自利利他」は 仏語で、自らの悟りのために修行し努力することと、他の人の救済のために尽くすこと。この二つを共に完全に行うことを大乗の理想とする。自益益他。自行化他。自他だそうだ。◆ボランティアの根本精神は「自利利他」であり、自らを生かし、他者を生かすということ。自分のことは、さておき人のためになにかをしなさい、ではなく、自分を生かすボランティアをやっている人は、他者も生かすことができる−と言う事になる。◆また、自分が行っていると思っている「利他」は本当に相手のためになっているのか?相手にとっては、独りよがりと捉えられていないか、己を疑ってみる必要もありそうだ。◆難しいですね。

(3月5日号掲載)

◆今年5月21日朝は金環日食。「金環日食帯」に含まれる九州南部、四国・本州の関東付近にかけての地域等で、身近な天体ショーが観測できる。◆山形県では全てのエリアで部分日食しか見られないが、県内では南東へ行くほど太陽が大きく欠ける。最も大きく欠けて見えるのは福島県との県境付近になる。最大食の頃には県内の全域で右下側が大きく欠け、食分が0・9という近年まれにみる大きな部分日食となる。◆国立天文台ホームページをみると、東京5分1秒、名古屋3分36秒、鹿児島4分12秒。◆日食とは地球から見た太陽の前に、月が重なってしまう現象。中でも金環日食は、月が太陽の中心部分だけを隠した日食を指す。月からはみ出して見える太陽が、金環(金でできた古代のイヤリング)のように見えるから金環日食という。◆日本で観測できるのは沖縄以来、実に25年ぶり。次に日本で観測できる機会は平成42年6月1日、北海道のみに限られるという。18年間起こらない。◆観察するには、太陽から放射される赤外線など有害な電磁波をカットする専用サングラスを使うのがベター。◆今回は絶対に見逃せない、千載一遇のチャンス。

(3月1日号掲載)

◆「建築家会館の本」の第4弾として、本気で建築家と地域のつながりを考える本間利雄氏の『建築家の使命・地域に生きる』が刊行された。◆著者は、純粋に地域と向き合い、未来につながる建築、まちを思い描き、地域に根差した建築家として約60年にわたって活動している。◆同書では、絵を描くのが好きだった少年時代から、職人、建築家へと続く道の要所で、多くの人との出会いが著者の人生をかたちづくっていく様子が描かれる。◆本間氏は、持続可能な建築を考えるには、生態学的な考えを取り入れており、風景や地域コミュニティなどの周辺環境も含めた精神的価値をも捉える事がコンセプト。形だけには留まらない“地域から考える建築”を、これまでの設計事例を通して紹介している。◆「地域に生きる、希望と喜び」のインタビューで始まり、松本純一郎、針生承一、清水公夫の各氏と「そのとき、建築家は<CODE NUM=00A5><CODE NUM=00A5><CODE NUM=00A5>東日本大震災と東北の未来を考える」の緊急座談会も修められ、そのほかエッセイ、年譜も収録。写真・図面も豊富に掲載されている。

(2月23日号掲載)

◆2月1日夜半から2日午前にかけて、県内は猛烈な雪となり、道路の通行規制やJRの運休など、県民生活に大きな影響を及ぼした。◆県では1月31日に「県豪雪災害対策本部」を立ち上げ、雪下ろしや除雪時における安全に関する呼びかけ、道路の除排雪、高齢者世帯等援護が必要な方に対する地域による除雪対策を推進している。◆また、建設業界に対し、雪下し作業の優先的な取組みを要請した。一方、国に対して、除雪経費確保などを緊急要望、本県は5億1600万円が追加配分された。◆気象庁が発表した2月4日から3月3日までの1カ月予報では、北・東・西日本では、気温がかなり低くなる地方があるとしている。一八豪雪の時は、2月中旬から気温が平年より高い日が多くなり、厳冬といわれた割には、桜の開花が遅れることはなかったようだ。◆雪に関する事故で亡くなった方はすでに60人以上。その3分の2が高齢者。屋根の雪おろしなど除雪中の事故死が全体の8割だ。高齢者を中心に広がる豪雪被害の背景には、地域の「過疎化」や「高齢化」など構造的な問題が。

(2月16・20日合併号掲載)

◆東日本大震災復興祈念事業(米沢会場)実行委員会設立総会が開催され、福島県からの避難者の支援活動をしている「ボランティア山形の井上肇代表が実行委員長に選任された。◆東日本大震災から、間もなく1年を経過しようとしており、犠牲者に対する追悼とともに、被災者(県)の復興・再生と本県を含む東北全体の発展を誓うため、3月11日(日)「伝国の杜」を主会場に復興記念式典や交流イベントなどを開催する。◆米沢市に拠点を置く「ボランティア山形」は、阪神大震災を機に発足、災害時の物資供給などに取り組んできた。震災時は県外のボランティアが被災地救援に入る際の拠点となり、原発事故による福島県からの避難者支援にいち早く動いた。◆県内には、福島県各地から約1万4千人の自主避難者を迎え、受入れ数としては全国最大。その内の4割以上が「逆単身赴任型」と見られている。◆自主避難は、放射線量の推移や除染の進行具合によって滞在期間が異なることから、転居先の地域に馴染めない母子の孤立化が懸念されている。

(2月13日号掲載)

◆バレンタインデーまであとわずか。バレンタインデーは、セントバレンタインデーとも言われ、毎年2月14日に祝う。世界的に男女の愛の誓いの日とされているが、その起源は269年にローマ皇帝の迫害下で殉教した聖バレンティヌスに由来する記念日であるとされ、長〜い歴史がある。◆現在、この日は、男女が愛を告白したり、誓ったりする記念日とされている。◆さらに、本当の恋人同士の日として4月14日をオレンジデーとしているが、まだ定着はしていないようだ。どちらかと言うと4月14日までに何ももらえなかった人が麺などを食べるブラックデーが面白さもあって盛り上がっているようだ。◆このブラックデーは、韓国生まれらしく、バレンタインデー・ホワイトデーのどちらも何ももらえず恋人ができなかった者同士が黒い服を着て集まり、チャジャン麺やコーヒーなど黒い物を飲食する日だそうだ。◆因みに、“本命”チョコの人気では、チョコ界のエルメス、高級チョコの代名詞的なラ・メゾン・デュ・ショコラと雑誌に。日本では表参道や丸の内に店舗があるようだ。◆私は、今年も例年通り、妻と娘が恵んでくれる義理チョコくらいだろうけど。

(2月9日号掲載)

◆平成23年度「省エネ大賞」の受賞者が決定した。本年度より省エネルギーセンターの主催事業として新たにスタート。最終的に42件の受賞者が決定。「省エネ大賞」は「省エネ事例部門」22件と「製品・ビジネスモデル部門」20件。◆家庭分野では、シャープのAQUOS・L5シリーズなどが経済産業大臣賞を受賞。省エネルギーセンター会長賞として、三菱電機ホーム機器のレンジグリルZITANGなどが選ばれた。◆一方、半導体メーカーのローム京都駅前ビルが資源エネルギー庁長官賞を受賞。JR京都駅前に建つ築33年のオフィスビルの全面リニューアル。自社製LED照明を導入、また、ダブルスキンカーテンウォール、高効率型空調機器、太陽光発電設備、雨水の再利用装置など、様々な環境対策設備を導入。1次エネルギー原単位▲44%を達成した。◆ライトアップのデザインは石井幹子氏によるもので、季節によって色温度を変化させるなど、京都の街並に調和する優しく柔らかな光となっている。また、設計施工は竹中工務店。

(2月6日号掲載)

◆東京お台場の商業施設「デックス東京ビーチ」に、期間限定オープンした体験型アトラクション施設「マダム・タッソー東京」が、マーリン・エンターテイメンツ社の予想を遙かに上回るものだったことから、来年春、約3倍の常設大型アトラクション施設として再オープンする。再オープン時には、スポーツ、映画、テレビなどで最も人気のある日本人や、国際的な有名人など、60体以上の本人公認の等身大フィギュアが登場する。◆「マダム・タッソー」は世界8か国、12か所で展開している人気のアトラクション施設。これまでに計5億5000万人以上が足を運んできた。◆一体の蝋人形を制作するには、3〜6ヵ月、モデルとなる人物を細部に至るまで精巧に再現するためには、500以上の厳密な体格測定と約200枚の写真が必要。こうして完成までには800時間を要する高価なもの。◆蝋人形はすでに150年、人々を魅了し続けており、「マダム」は蝋人形制作のルーツとなったフランスのタッソー夫人にちなんで付けられた名称−とのこと。デスマスクで有名。◆日本初上陸では、坂本龍一、葉加瀬太郎、AKB48の大島優子など、日本人フィギュアも続々と登場した。

(2月2日号掲載)

◆庄内には『亡霊供養』の山があるという。それが鶴岡市清水の「三森山」。◆昭和初期頃まで、8月の決められた日に山に登れば、肉親の仏の声を聞くことが出来、死に別れた親兄弟とそっくりの人と会うことが出来る・といわれ、仏のある家からは一人が必ず登らなければならない。親が生存中の者は登ってはならない・という風習。◆死者の山として知られる青森の恐山などは、イタコという仲介者を通じて死者と出会う訳だが、この山では死者そのものと出会うことができる・という。◆庄内のモリ供養の習俗は、「里山に近い山などで行われる死者供養の典型であり、わが国の民間信仰や人生儀礼を理解するうえで貴重」などとして、国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選択されている。◆昔から庄内では、魂は浄化されると山の高みへと昇っていくと考えられてきた。最終的には、出羽三山の頂きへと昇っていくというのだが、魂といえども一気に空を駆け上がることは難しい。そこで、少しだけ高い場所で鋭気を養うのだという。◆遺族は山の高みを目指そうとする魂の背中を押してやるために向かう。

(1月30日号掲載)

◆福島を襲った原発事故の直後、ゼネコンが東京電力の依頼で、収束に向けた対応策を練り1号機の原子炉建屋の原発カバー工事が昨年10月完了した。◆建屋カバー計画の立案から竣工までを担ったのは清水建設生産技術本部の印藤正裕本部長。◆大学で建築構造を専攻し、清水建設に入社。シンガポールのチャンギ国際空港第3ターミナルの現場所長などを務めた経歴を持つ。◆苦心の末に印藤氏がたどり着いたのが、「人が近づかなくても組み立てられる構造を考えればいい」という逆転の発想。◆柱側に角すい状の“突起”を設け、梁の端部に空けた穴を落とし込んで接合する。梁の位置が多少ずれていても、突起に沿って正しい位置に滑り落ちるように工夫されている。容易には抜けず、回転にも抵抗する。専用の機材でクレーンも玉掛けも無人化を計画。◆原発事故の収束へ大きく前進したと高く評価されている。◆「廃炉」に向けて最長40年で作業終了を目指す課題を、いかに速やかに進められるかが問われる1年となる。

(1月26日号掲載)

◆故黒川紀章氏の代表作として知られる「中銀カプセルタワービル」の1室が1月16日、東京・六本木の森美術館から搬入され、さいたま市浦和区の北浦和公園彫刻広場に設置された。東北大大学院の五十嵐太郎教授が仲立ちして、中銀ビルディングから贈られたもの。同公園内には黒川氏が設計した埼玉県立近代美術館がある。◆中銀カプセルタワーは、昭和47年に大成建設の施工で完成、工場製作の住居カプセルをタワーにボルトで固定している。規模は、SRC一部S造地下1階で、地上は11階建てと13階建ての2棟構成、延べ床面積は3091u。◆ビルに使用されたカプセルは滋賀県の工場で作られ、中心の柱からの取り外しと交換を想定したデザイン。◆同氏はメタボリズム・グループ(川添登、菊竹清訓、槇文彦、大高正人など)の活動中にカプセルというキーワードをよく使った。1ユニットを細胞の1つに喩えて、その細胞が衰えたり壊れたりした場合その部分だけ取り替えれば母体は生命を維持し続ける。◆保存か解体かで揺れ動き、カプセルタワービルの先行きは不透明だったが、ほっとしている。

(1月23日号掲載)

◆鶴岡市では、行財政改革大綱に基づく実施計画をまとめた。この中で、合併特例期間終了後を見据えた財政の健全化で、公共施設の統廃合、民間への譲渡・委託の推進を図るべく、24年度廃止とされているのが「森敦文庫」など。◆文学界の仙人であった森敦は、昭和14年に初めて庄内を訪れ、吹浦、狩川、酒田、大山、湯野浜、加茂に住み、庄内平野の町や村をわがふるさとのごとく転々として歩いた。昭和26年に朝日地区七五三掛の注連寺にやってきて、冬籠もった体験が、小説『月山』。宗教小説の開拓者と目される由縁だ。◆計画の推進にあたっては、市民、地域などの関係者に十分説明するとともに、関係機関とも調整を図って進める・としているが、真なのだろうか。◆また、旧黄金村役場も。藤沢周平が青年期の3年間「書記補」として勤務した役場で、ゆかりのある建物。市は移築して再利用を希望する個人、団体に解体した部材を無償譲渡することを決めた。◆鶴岡公園内の文化的に価値のあったとされる旧図書館は今は無い。

(1月19日号掲載)

◆政府の地域主権戦略会議(議長:野田佳彦首相)は昨年12月26日、第15回会合で、国土交通省の地方整備局など国の出先機関を廃止した後の受け皿となる広域組織の枠組みをまとめた。◆国の出先機関の業務を地方へ移管する「出先機関改革」は、地方自治法に基づく広域的な地方組織である「広域連合」を業務の受け皿となる組織として具体的な検討を行い、組織のトップについては、関係する自治体の長の兼務のほか、自治体の利害を調整する観点から、それ以外の人材も認めるとしている。そのうえで、関西・九州両地域を念頭に区域の在り方を検討、北海道と沖縄県については、それぞれ道と県で業務の移管を受けられるようにする。◆出先機関原則廃止については、今後、詳細な制度設計に入り、通常国会への法案提出に向け最大限努力。直轄道路、河川については、今後は具体的に動かす模様。◆また、ハローワークについては、国・地方の一体的取組を全国に進めると同時に、特区制度も活用、取組を更に加速する。既に山形県でもアクションプランを提案している。◆二重行政の打破に繋がるのかが注目だ。


(1月12・16日号合併掲載)

◆「子どもシェルター」という言葉を知っていますか?今、虐待などで家庭に居場所を失った子どもたちを受け入れるシェルターが各地に生まれ、全国的に広がることが期待されている。◆子どもには、自分で自分の衣食住を賄うだけの経済力も社会的な交渉力もない。安全に眠ることができ、食べることができ、親身に話を聞いてくれる人間がおり、保護されている場所が必要になる。それを実現しようとするのが,子どもシェルター。◆子どもシェルターは、衛生的で、一般の家庭の雰囲気に近い小規模な住環境を提供できるように設備を整えている。そこは、プライベート空間が保たれ、安全に休息し睡眠をとることのできるよう個室を備え、手作りの食事と清潔な衣服や下着を無償で提供している。◆現行の児童福祉法、少年法、更生保護法、生活保護法などに基づく諸制度には、子どもたちの危機を救う役割を担うべき制度が一応はあるが、不十分な現状。児童相談所の一時保護所は基本的に18歳未満。すぐ部屋を提供することなども難しい。そうした狭間に陥り、行き場を失っている子どものために、やむなく生まれてきた活動。◆子どもを現実に受け入れ、他機関連携をコーディネートし、生存の危機にある子どもの権利回復の重責を担う子どもシェルターは、やはり相応の法的根拠を持つ制度・施設として、位置付けられるべきでは。

(12月22日号掲載)

◆23年度第3次補正予算歳出総額は12兆1025億円の大型補正。復興関係経費は9兆2438億円で、被災自治体の災害復旧費負担分を国が実質肩代わりする「震災復興特別交付税」の創設で、地方交付税を1兆6635億円加算した。◆しかし、東日本大震災の復旧・復興工事の発注が本格化してきたが、応札者不在の入札不調が急増。技術者・技能者不足に加えて、コストアップ要因を見据えて応札しないとか、利益が上がらない工事には参加しないという企業意識が働き、入札不参加となっていると聞く。◆国交省は、この様な事態に対処、復旧・復興工事の発注が本格化するのに備え、被災3県を中心に工事に対応可能な現場配置技術者の数を把握する調査に入る。◆一方、宮城県建設業青年会は、復旧復興は地元の建設業が行うことが一番。ただ、被災地では地元の職人や重機などの不足が問題となっている。沿岸部は忙しいが、山間部は暇とならないように、先ずは県内企業に協力を求め、続いて山形、秋田など他県に応援を求めていくなど、東北一体となった協力体制を構築していく考え。

(12月19日号掲載)

◆政府・民主党は、民間の資金を活用して空港や下水道などの建設を進めるための「官民連携インフラファンド」を、来年にも創設する方針を固めた。◆ファンドは、独立採算型の事業のインフラ経営を民間に任せ、コスト効率化や付加価値の向上を図り、運営を民間にゆだねるPFIの資金調達の手段。規模は政府が数百億円の資金を投入し、 これを呼び水として民間資金の導入を促進することにより、 全体で250億円の規模で設立予定。◆来年度予算案に人件費や準備費などを計上、PFI法改正案を来年の通常国会に提出する方針。◆震災復興に関して、公的な資金のみでは財政に対する負担がかかりすぎ、民間資金をいかに活用するかが課題。◆これまでPFI事業においては、事業者の負担リスクを限定、事業立ち上げを容易にするマーケットの整備が行われてきていないだけに、再生可能エネルギーの導入促進など、新しい分野での成長を後押し出来るかが鍵となる。

(12月15日号掲載)

◆「メタボリズムの未来都市展 戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」が、来年1月15日まで森美術館で開催されている。◆この中で、故黒川紀章が設計した「山形ハワイドリームランド」模型もその一つ。細胞をイメージした直線のほとんどない不定形の大規模建築で「メタボリズム」の美学の傑作。◆震災の影響で予定よりも開催が2ヶ月遅れでスタート。戦後の廃虚から立ち上がった日本の牽引力となったメタボリズム運動を振り返ることで、現在も多く残る震災の余波も含め考える新たなテーマも加わっている。◆日本固有の建築様式である「メタボリズム」を、500超の作品、約80のプロジェクトをダイナミックなCG、映像、デザイン、アート、音楽といった多角的な方面から包括的に捉える大規模な展覧会。◆「メタボリズム」とは、東京で行われた世界デザイン会議で発表されたマニフェスト。大高正人、菊竹清訓、黒川紀章、粟津潔、栄久庵憲司がメタボリズム・グループを結成。日本独自の建築理論として世界に向けて発表した。◆作品は、実現に至らず、計画案だけで終わったものもたくさん展示されている。

(12月12日号掲載)

◆地域住宅計画推進協会では、「第6回地域住宅計画賞」の審査結果を発表した。◆その中で、地域住宅計画賞に「三春町復興住宅をつくる会による木造応急仮設住宅建設」が選定された。◆震災避難者に対応するため、福島県では応急仮設住宅建設業者を公募。三春町復興住宅をつくる会では、三春町における100戸の木造による応急仮設住宅建設の特定を受け、この建設活動が表彰となった。◆地元の大工、工務店が集まり、地元の人材、地元の資源を活用して、これら避難者のための、地域の気候風土に合った応急仮設住宅の建設を実施した。◆仮設住宅でありながら、省エネで、被災生活の疲れを癒す木の香のする住宅づくりを目指した。一般的な在来工法で、今後の地元の資源を生かした仮設住宅建設に広く応用でき、プレハブとは違った地域に根ざした仮設住宅が実現。個別に設計するため、地形や既存の植栽、施設配置に合わせた細かい設計が可能なシステム。◆災害では学ぶ事が多く、進化が進む。

(12月8日号掲載)

◆日本建築学会東北支部では、東日本大震災により被災したマルグリット・ブールジョワ・センター(旧ノートルダム修道院)を取り壊し、撤去が決定されたと聞き、「文化的価値が高い」として、同センターの保存について、宗教法人コングレガシオン・ド・ノートルダム修道会に要望していた。◆同建築は、福島市花園町、桜の聖母短期大学内にあり、チェコ系建築家故ヤン・ヨゼフ・スワガーの設計で、福島県の近代を物語る上で欠かせない貴重な歴史的建造物。◆カナダから木材が運ばれ建てられ、白の壁と赤の屋根のコントラストが鮮やかな木造2階建て、切妻、瓦葺、の建物で縦長の上げ下げ窓やドーマなどの洋風建築。玄関部分は外壁面より前に出し、屋根の妻面を正面にすることで正面性を演出、細かな意匠が施されている。◆大震災によって、壁や屋根が壊れる被害を受け、雨漏りによる傷みこそ認められるものの、建物の基礎部分には大きな損傷がないことなどを挙げ、保存できる余地は大いにあるといが、修復費10億円。◆ヘレンケラーも訪れ、時代に翻弄された修道院は14日解体作業に入った。地域遺産が一つ消える。

(12月5日号掲載)

◆国土交通省は一丸となって、「持続可能で活力ある国土・地域づくり」を進める必要があると考え、「4つの実現すべき価値、8つの新たな政策展開の方向性」からなる基本方針を定めた。◆省内横断的な体制で推進、関係部局の課長14名で組織する政務三役政策審議室が中心となって今後、具体的な施策を検討。政府の国家戦略会議が12月に示す「日本再生の基本戦略」に国交省の施策を盛り込むことが当面の目標。◆被災地における復興に求められる社会基盤のあり方、今回の震災を教訓とした国土・地域づくりのあり方、とりわけ、低炭素・循環型社会に向けた住宅・建物、交通体系、まちづくりなど、持続可能で活力ある国土・地域づくりのあり方、官民連携や広域連携等、幅広い連携による国土・地域づくりのあり方など、今後の国土交通行政へ反映させる。◆特に目新しいメニューは見当たらず、これまでの新成長戦略とどう違うのかどうかよくわからないが、「構造改革」路線を益々進化させていくかのようだ。安全・安心がなくては「持続」もない。◆国土を形成する主体が経済至上時代のようにモノではなく「人」であるとの観点に立つことか。


(12月1日号掲載)

◆フランス産ワインの新酒ボージョレー・ヌヴォーの販売が17日午前0時、解禁された。今年は色が濃く、繊細でなめらかな味わいという。ドン・キホーテは解禁直前の16日深夜、750_g入りで474円という低価格を発表した。◆ワイン業界関係者がその年のブドウの出来を確認するための試飲用のワインだったが、80年代のバブル以降「ボジョレー」が大ブーム、年に一度楽しめるワインの代表のような存在になった。しかし、実はワイン好きや業界の人は試飲はしても一晩中楽しむわけでもないらしい。◆ボジョレーは、フランス南東部・リヨンの北に位置する土地で、特にワインの産地として知られる。◆試飲酒だけに、通常のワインが出来上がるより早く試飲できなければ意味がないために、ヌヴォー用のボジョレーは、ブドウを収穫したら速やかに醸造してボトルへ詰め、収穫したその年の11月に出荷を済ませる。◆フレッシュさが特徴のボージョレ・ヌーボーは、少し冷やしたほうがすっきりと楽める。購入後はなるべく早いうちに。

(11月24・28日合併号掲載)

◆渇、祇建設(鶴岡市)では、耕作放棄地の再生利用を図ることにより、農業が抱える諸問題の一助なればと一大決起し、農業法人有限会社米作を平成2年に設立。平成18年度に認定農業者となり、耕作放棄地化していた64fで特産品の開発、園芸作物の契約栽培、生産物の加工、金融機関の仲介による全国的な販路の開拓・確保など、先進的な取り組みを行っている。◆月山山麓の海抜600mにある広大な畑で育った野菜は、ミネラル分豊富な山の土と水によって、味わいがちがうという。寒暖の差が大きいことから、害虫も少なく、有機・無農薬の栽培を可能にしている。◆平成22年にはさらに22・6fの再生を進め、自ら伐採・抜根、重機による表土のはぎ取り等を実施し、今後、石礫除去、整地、深耕及び土壌改良を行っていく。◆農業に参入するにあたって「技術の習得」、「販路の確保」、「資金の調達」に苦慮する農業生産法人が多い。とりわけ、苦戦している法人は、「技術の習得」、「設備投資のための資金調達」、「事業計画のための情報不足」といった参入初期の課題を解消しきれていないことに問題があるようだ。

(11月21日号掲載)

◆建設業は技術を提供するサービス業であり、最近の北京や上海の建設ラッシュの報道を見聞きして、少ない資本で容易に海外進出できると思われる中小企業も多い。◆その反面、中国進出後の現地でのトラブルや経営的にダメージを受ける例も数多くある。◆日本は最近まで全就労人口の約8%が建設業に携わってたが、中国ではその比率は20%に達し、建設労働者の大部分は、中国労働者の中で最も多いという。◆さらに、日本のJASやJISのような品質規格や、建築基準法による不燃材・準不燃材の規格、各種協会による品質保証認定制度が整備されていない。◆また、中国を含めた海外では、日本的な一括請負のシステムはない。技術的問題などについては、設計会社が工事業者以上に権限を持っている。◆中国進出で経営が順調にいっている企業は、特別な技術を有する場合を除いて、技術よりマネジメントを優先。中国の地元建設企業経営者に技術畑の出身者は少なく、マネジメントが優れている人物が多いという。

(11月17日号掲載)

◆国による「平成23年度豊かなむらづくり全国表彰事業」において、「大鳥タキタロウ村」が東北農政局長賞を受賞した。◆鶴岡市大鳥地域は、かつて、地域内には大泉鉱山があり、炭鉱で働く大勢の人たちで栄えていたが、閉山されると、多くの住民が働く場を求めて町外に移住。平均年齢は65歳を超え、過疎化、高齢化が進んでいる。◆このままでは、地域の農地は次第に廃れてしまうと危ぐ。「大鳥タキタロウ村」では、耕作放棄地を無くし、活用できる土地は全て耕作するという考えのもと、観光ワラビ園、なめこ園、野菜農園の運営等を行っている。春の山菜祭り、秋のきのこ祭りなどのイベントの開催や、農業・農村体験の受入等により、年間4000人から5000人が「村」を訪れるようになった。また、「村」の誕生により、市街地に転居しようと考えていた高齢者が、地元に留まろうとする意識が高まっている。◆息を凝らして暮らしている老人。病める現代山村の偽らざる姿が限界集落。いまや国民総意で山村の問題を考えなければならない段階にきている。

(11月14日号掲載)

◆第28回日本の自然作品展示会が7月から朝日新聞2階ギャラリーを皮切りに全国で巡回開催されているが、偶然に鑑賞する機会があった。◆最優秀賞は秋田県の加藤明見さんの「クルミを運ぶリス」。自分の頭より大きいクルミを口にくわえた様子が可愛らしい。埼玉県の戸田利一さんの「しぶき」は圧巻。やはり水越武賞を受賞していた。海水を飲みに来たアオバトが波しぶきを浴びているという設定だが、迫力がものすごい。◆都道府県の1位も設定されており、山形県1賞は「モンスター大王」。青空の下、樹氷が日光に照らされ、微妙な明暗がモンスターを創りだしている。長崎県1賞の「夜霧の長崎」もグッと来るものがあった。◆28回目になる今回は「いつまでも守り続けたい日本の自然」をストレートに表現した作品を全国公募し、3460点から81点が入賞した。◆写真を生業にしている私も、早朝からあちらこちらに出かけ挑戦しているが、我慢が足りぬらしい。今回の展示会を見て、今更ながら力の無さを痛感した。がんばろう。

(11月10日号掲載)

◆東日本大震災によるストックは約16兆円〜約25兆円。◆今後の復旧・復興過程において、被災地における一時的な建設需要の増加が見込まれることから、地域の建設企業では十分に対応できない地域又は業種が生じ、供給不足となる可能性を指摘する声もある。◆ただし、被災地以外の地域における建設投資等の現状や、震災復興の進捗後に需要が急減した阪神・淡路大震災の例を踏まえれば、被災地の一時的な需要増が、産業全体としての過剰供給構造等に大きな変化を及ぼすことにはならない。◆また、地域要件等を設定した災害復旧事業の発注が進み、被災者雇用の観点から地域の建設企業の受注機会の確保が推進されているが、地域の建設企業の手持ち工事量が過大となると、十分な施工体制が確保されず、品質等に影響が生じる可能性がある。◆さらに、当面の災害復旧事業については、短期集中的に行う必要があることから、早期に事業着手が可能な入札契約方式の活用を推進すべきである。◆このような復旧・復興需要が一巡した後は、被災地の建設投資が大きく減少する可能性もあり、そのような状況への対応の検討も求められる。

(11月7日号掲載)

◆住友商事鰍ニ住商アーバン開発鰍ヘ、神奈川県藤沢市、JR辻堂駅北口駅前において、湘南地域最大級の大型商業施設「テラスモール湘南」を11月11日にオープンする。◆湘南エリアの幅広い世代をターゲットに、全281店舗が集積、商業施設の施設規模は延床面積約17万平米。◆JR辻堂駅北口周辺地区都市再生事業である湘南C・Xの複合都市機能ゾーンで開発している大型商業施設。約25fの広大な土地に商業、産業拠点、住宅、医療施設等を一体的に整備する大規模複合都市整備事業。◆言わば大型商業施設は、飲食、娯楽施設など集客に関する全ての機能を内部化、1日中滞在できる「時間消費型」の施設として、それ自体が一つの街を形成する。◆しかし、その街は、本来商業が持つべき発展を閉ざした独立した王国=B◆捻くれた見方をすれば、公有地をわざわざ民間に売却する事業。大型商業施設を誘導、土地利用計画を公共団体が作り、都市計画決定をする。◆なぜ税金が使われて、税金を納めている既存商店の売上げに悪影響を及ぶような計画がつくられなければならないのか。◆歓声と悲鳴が同時に聞こえてくる。


(11月3日号掲載)

◆政府は10月25日、平成23年度の文化勲章受章者5人と文化功労者15人を発表した。文化勲章を受章するのは県出身の丸谷才一さん他4人。◆文化勲章は日本の学術・芸術・文化に偉大な貢献をした方々に贈られるもので、その文化勲章の制度は昭和12年に制定されている。文化勲章の受章者は基本的には文化功労者の中から選ばれる。◆丸谷さんは、大正14年、鶴岡市生れ。東大英文科卒。昭和42年『笹まくら』で河出文化賞、昭和43年『年の残り』で芥川賞を受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳と幅広い文筆活動を展開、長編小説に主力を注ぎ、旧かなづかいを用いた独特な文体で知られ、自分で自己流の小説の書き方を考え出した。また、村上春樹さんの才能を早くから見いだした。◆県内で文化勲章を受章しているのは、法律学者の我妻栄さん、ドイツ語学者・文学者でもある相良守峯さん、建築界ではじめての伊東忠太さん、日本画家の福王寺法林さん、日本洋画界重鎮の森田茂さん、発がんと突然変異原性との関連性などの研究した杉村隆さん、アララギ派を代表する歌人の齋藤茂吉さんなど。

(10月31日号掲載)

◆我が国の近現代建築家による図面や建築模型等の資料は、学術的・歴史的・芸術的価値が評価され、海外の美術館や大学等から譲渡の要請がある一方で、国内における資料の保存体制は未整備であり、貴重な資料が散逸する危機に瀕している。◆そこで文化庁は、湯島合同庁舎の一部を改修し、近現代建造物の学術的・歴史的・芸術的価値を次世代に確実に継承して行くための機能を整備、作品、資料等の所在情報の収集や所蔵作品の目録(資料台帳)の整備が可能な分野から早急に着手、平成24年11月以降入居予定。◆収集する資料は、主に明治期以降の図面などを想定。日本の建築家が設計した海外の物件や、海外の建築家が手掛けた国内物件などについても収集する予定。◆日本建築学会では、既に建築博物館を開館、伊東忠太、山田守、清家清など資料3万点余を受け入れ、そのデータベース作成に取り組んでいる。◆しかし、経済的など様々な理由から建物が取り壊され、保存すべき建物からは悲鳴が聞こえる。

(10月27日号掲載)

◆メンソレータム(現メンターム)を日本にもたらたのがW.メレル・ヴォーリズ(一柳米来留)であるとは知らなかった。◆建築家でありながら、メンタームを広く日本に普及させた実業家。そして信徒の立場でプロテスタントの伝道に従事。讃美歌などの作詞作曲を手がけ、ハモンドオルガンを日本に紹介、音楽についての造詣も深かった・とされている。◆また、近江八幡を「神の国」の拠点として創ろうとした「青い目の近江商人」と称され、近江八幡をこよなく愛した。自宅で7年間の闘病生活の後昭和39年5月7日に他界した。享年83歳。◆ヴォーリズが設計を手がけた建物は学校、図書館、病院、郵便局、銀行、デパート、ホテル、教会、個人住宅など1600にものぼる。様式のない建築と言われているが、美しく、機能的であり、コストパフォーマンスに優れていた。◆昭和36年に活齬ア社ヴォーリズ建築事務所が設立されたが、ヴォーリズから直接指導を受けた若い技師達で、ヴォーリズ建築の魅力と伝統を受け継いでいる。◆しかし、全てが一流、マルチな手腕に驚く。

(10月24日号掲載)

◆東北6県の県庁所在地の中で、山形市が最もスポーツ施設が少ないとされている。また、山形市は市議会議決により『スポーツ都市宣言』も行っている。◆平成20年3月に策定された山形市スポーツ振興実施計画において、野球場の建設については、霞城公園整備との連携で行う整備として位置付けられ、総合スポーツセンターの後期施設計画は、策定後に相当な時間を経過し、取り巻く環境に大きな変化が生じ、市の財政状況が厳くなっている。◆市長は、計画を尊重しながらも、霞城公園整備計画の変更に伴い、新たな野球場の整備に関しては、実施計画におる期間の前半である平成24年度までに建設計画の策定に着手するとしている。◆今回の選挙でも、公約に屋内型競技場の建設を掲げ、雪でも利用できるドーム型で、市民が多用途に使える競技場にしたい・と語たり、臨時財政対策債なども活用しながら財源計画を立てる・としている。◆知事の一声で県民会館建設も凍結が解除されようとしており、県都の二大スター誕生を祈りたい。

(10月20日号掲載)

◆TPP(環太平洋戦略的経済連携)について日本の報道は、農業問題にしか触れない事がほとんど。しかし、TPPの問題点は農業よりもサービス。TPPには、関税分野の他に「政府調達」が含まれている。つまり簡単に言うと政府調達=公共事業のこと。◆政府調達分野とは、政府の公共事業に外国資本を自由に参加させるという問題である。東日本復興の大規模な公共事業に、外国資本が、地元の企業を押しのけて参加したいと狙っている。それをその国の政府が後押ししている。◆TPPに参加し新たにP4基準が適用された場合、地方自治体発注の公共工事はWTO基準では23億円以上から7億6500万円以上に国際競争入札基準が緩和。特に公共工事の設計をコンサルに委託する場合は2・3億円から750万円以上と大幅に緩和され、設計委託の多くは国際入札ということになる。◆旗を振って煽っている財界・大企業が求める工業輸出のための犠牲になるのではなく、地域建設業にとって最も良い選択をしなければならない。

(10月17日号掲載)

◆スティーブン・ポール・ジョブズ氏が他界した。満56歳。アップル社の共同設立者の一人で、カリスマ性の高さから常に注目を集め続けた。◆アップル社設立後には、2億ドルもの巨額を手中にし、20代でフォーブスの長者番付に載った。◆しかし、アップルの役員達から社内でのすべての職を剥奪されたが、業績不振に陥っていたアップル社にNeXTを売却することで復帰、CEOとなった。◆スタンフォード大学の卒業式に招かれたそのスピーチは、多くの共感を持って迎えられた。その時の語録が『常にハングリーであれ。常に愚かであれ』である。◆スピーチの一部を拾うと、『時々、人生は、あなたの頭を煉瓦で殴るようなことをする。だけど、信念を失ってはいけない。私が続けてこれたたった一つのことは、私のやったことが好きだからと断言する。』また、『みなさんも、自分の好きなことを見つけなきゃいけない。偉大な仕事をする唯一の方法は、あなたのする仕事を愛すること。大きな恋愛関係と一緒で、年をとるほど良くなっていくもの。だから見つかるまで探し続けること、止めてはいけません。』と。ご冥福を祈ります。

(10月10・13日合併号掲載)

◆政府は、「富士山」と「武家の古都・鎌倉」を世界文化遺産として推薦することを決めた。来年2月1日までに推薦書の正式版をユネスコに提出。夏から秋にイコモスによる現地調査が行われ、25年5月頃イコモスによる評価結果の勧告、夏の第37回世界遺産委員会で登録の可否が審議される。◆富士山は、山頂や登山道からなる山域、白糸ノ滝、三保松原など25資産で構成し、総面積は約2万f。日本一3776bの高さを誇る独立峰として信仰を集めた文化的伝統の証拠と位置づけ、葛飾北斎らの浮世絵など芸術作品との関連もアピールする。◆鎌倉は、鶴岡八幡宮や鎌倉大仏など鎌倉、横浜、逗子3市にまたがる10資産で構成。切り通しなどが造成された山稜部と一体となった政権の所在地は珍しいとしている。◆世界遺産の登録件数は936件に達し、新規登録は抑制傾向。富士山はごみやし尿汚染問題で国内選考落選経緯が、鎌倉は“SAMURAI”武家文化が国際社会で説得できるかが登録達成への鍵となる。

(10月6日号掲載)

◆選挙期間中。がむしゃらに拡声器で名前の連呼だけよびかけるスタイルは、非常に原始的で野蛮な印象である。進駐軍の占領下。食料も、衣服も、すべてが不足していた時代は原始的な方法に頼るしかなかった。しかし、21世紀になっても、完全に同じことがおこなわれているのだから驚く。◆公職選挙法では“連呼”を禁止している。しかし、午前8時から午後8時までの12時間は例外。ただし選挙運動のための連呼行為をする者は、学校及び病院等の周辺においては、静穏を保持しなければならない。因みに、拡声器の音量制限は無いそうだ。本来はもっと自由に有権者に訴えられる方法があると、選挙への関心も深まって、棄権率も下がると思うのだが◆イギリス、ドイツ等の先進国は選挙カー無しで、静かな選挙をしているのに、日本は一体いつまで拡声器を使い続けるのだろうか。◆良くも悪くも政治は、主権者である私たちの生活と命に密接に関わっており、無関心や棄権はいけないのだが、名前の連呼は迷惑極まりない。◆パチンコ店等から漏れる大音量、携帯電話の音やベル音が街中に溢れている。日本人は騒音の海の中で日々生活していると言っても過言ではない。

(10月3日号掲載)

◆パソコンのシステム全体を管理するソフトウェアをOSと呼ぶが、OSとして広く利用されているものにはマイクロソフト社のWindowsやアップル社のMac・OS・Xなどがある。◆マイクロソフト社は9月13日、次期OS「Windows8」を発表した。第1世代のタッチ対応タブレット端末となり、約1年後に市場に投入される見通しだ。◆マイクロソフト社によると、OSは従来型のPCからノートPC、タブレット端末に至る各種の端末で動作。電源を投入すると、壁紙をバックに日付や時間、直近の予定やシステムのステータスなどが簡単に把握できる。また、マルチタッチによるピンチズームイン/アウトなど、タッチパネル主体のデバイスと同様の操作体系に対応。既存のタブレットデバイスやスマートフォンと一緒。◆しかし、デスクトップPCからタブレット端末やスマートフォンへの移行は予想よりも急速に進んでいる。iPadは既に2900万台を販売。またGoogleのAndroidOSを搭載するタブレット端末も、その頃には更に支持を拡大しているだろう。◆マイクロソフトがタッチスクリーン革命を起こせるのか・・・気になる。

(9月29日号掲載)

◆東北芸術工科大学と瓜生山学園が法人統合に向けて協議することで合意したが、創設にかかる施設整備費としての補助金は山形市と県とで149億円。大学院開設、学科増設など、平成13年までの補助金を全て合計すると約200億円にのぼる。◆8月には文科省への認可申請提出、来年4月1日に統合する。大学院生などを含む学生数は計1万人を超す見込みで、芸術系大学としては国内最大規模の在学生を擁する学校法人になる。両法人の理事長はいずれも徳山詳直氏。◆大学側は、超少子化が予測される激動の日本の中で、両大学を統合することで、「藝術立国」を目指して、東北、日本の再生に寄与するため、一本の道を歩んでいく・とした。◆徳山詳直氏の美術館大学構想は、芸術とデザインの大学が美術館の中にあるという設定。日本の文化をどう生き生きと蘇らせて、新しい時代に残っていけるかというのが大学の使命−としている。◆やはり、誤解を招いたなら政治と同じで、知事の言っている通り「きちんと説明」する事が大事かと。

(9月22・26日合併号掲載)

◆野田内閣で第16代国土交通大臣に就任した前田武志氏は、奈良県吉野郡十津川村出身。京都大学工学部を卒業、同大学大学院修了後、建設省に入省。三重工事事務所所長、建設省河川局建設専門官などを歴任した。◆所信表明では、時代はまさしく更新・維持管理という時代になってきて、そこに実は低炭素循環型社会という、世界共通の認識になってきた。そういう事態に追い込まれたというのは、3・11が大きなきっかけではなかったのかなと思うと述べている。◆第3次補正予算では、インフラを整備をしなければ経済活動そのものが復興しない。東北に持続する地域、国土のモデルをつくる。その肝となるのが『低炭素循環型社会』。7月末で終了した住宅エコポイントは、東北の復興に限ってむしろ拡充して実現していく。と歯切れがよい。◆東北の高速道路無料化については予算を要求しないとする3党合意があるが、拡大する方法を検討。◆国政進出への原点は、外交官としてベトナム大使館在勤中、サイゴン陥落によって、国家の存亡にとって政府としての統治能力が如何に大切であるかを身をもって知ったから・と伝えられている。◆今が『国家の存亡』の時だ。

(9月19日号掲載)

◆カジノを含む「特定複合観光施設」の整備を総合的・集中的に推進する体制の構築を規定した「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」が8月末に、超党派の国際観光産業振興議員連盟(会長・古賀一成民主党衆院議員)の総会で決定、同法案を今秋に開会予定の臨時国会に提出する構えだ。◆同整備法案は、カジノを含む研修・視察・会議・展示会機能を備えた観光施設を「特定複合観光施設」に位置付け、「特定複合観光区域」を国内に最大10カ所限定整備。国が基本方針を示し、自治体による申し出や提案を募り、当面は2カ所を指定する考え。◆一方、震災対応案が急浮上し、震災復興を優先して仙台市を候補地とする案も急浮上している。従来は東京・お台場、沖縄県で開設する案が有力だったが。◆カジノ合法化に向けて大きな第一歩。しかし、カジノを設置する都市には外国人の受入れができるだけのインフラと社会的な環境が整っている必要があり、治安は勿論、如何に地域経済に貢献するかが「鍵」となる。

(9月15日号掲載)

◆世界の建築家たちが「デザイン2050」をテーマに東京に集結するUIA第24回世界建築会議の開催まであと少し、参加者の募集も8月末で修了、9月25日から10月1日まで開催される。世界128カ国の加盟国を束ねるUIAの国際会議であり、約1万人の建築家が一堂に会する日本建築史上最大のイベント。◆この大会を象徴する展覧会として、世界の建築家のメッセージを1枚のプロジェクト画像に添えて伝える、「10000 world architects exhibition 一万人の世界建築家展」を開催しており、広く世界の建築家を対象としたオープンな展覧会。日本国内のさまざまな場所で大会に先駆けて展示、ポスターはインターネットでいつでも見られる。◆一方、震災特別企画展示「大森晃彦氏による震災と建築家」も同時に開催。その中には、岩手県山田町の避難所に3体寄付した建築家の森みわさんが代表理事を務めるパッシブハウス・ジャパンの易間仕切りシステム「ニコニコフレーム」も覗くことが出来る。◆一方、本県の潟Vェルターが主催する「シェルターインターナショナル学生設計競技」も大詰め。

(9月12日号掲載)

◆災害ボランティアセンター住田町基地。これは、ゆっくり休める場をと、岩手県住田町が廃校校舎を使った公民館を開放しているボランティアのための活動基地。陸前高田市や大船渡市へボランティアに行かれる方の宿泊を支援するため、住田町が好意で宿泊施設を開放している。キャッチフレーズは「被災地に光を! 戦士に活力を!」。◆一方、住田町の多田欣一町長は、震災3日後、第三セクター・住田住宅産業に木造の戸建仮設住宅建設を指示。目標の93戸すべてが完成。5月31日から入居が始まった。◆床や壁に使う資材は町内の木材加工工場であらかじめ処理済みで、1戸あたり約250万円と、コスト面でもプレハブと遜色がない。ミュージシャンの坂本龍一さんが代表の森林保護団体モア・トゥリーズ(東京都)が募金でまかなうという。◆自己完結がボランティアの基本だが、矢張りありがたいと思う。一方、行政のリーダーシップとがうまくかみ合った姿は美しい。

(9月8日号掲載)

◆県内には地域の生活や歴史、風土との関わりの強い伝統野菜が数多くある。これらの野菜は、限られた地域の中で長年にわたり受け継がれて栽培され、大切に食され、地域の食文化と密接につながる山形の貴重な地域資源。◆置賜地域には、上杉家米沢藩時代に由来する魅力的な伝統野菜が数多く残っており、「うこぎ」や「雪菜」など「山形おきたま伝統野菜」として認定されている。◆村山地域には、食用菊の「もってのほか」や独特の甘さや味の濃さのある「山形赤根ほうれんそう」など。最上地域では、さやのまま干し、さやのまま食べることができるという「漆野いんげん」など、昔から伝わる野菜・作物の発掘を行い、「最上伝承野菜」として指定。庄内地域では、「だだちゃ豆」を始め、「平田赤ねぎ」など。◆播種に始まり、栽培、収穫、採種までの一連の作業を毎年行わなければ種が絶えてしまう野菜。親から子、姑から嫁へと何世代にも渡って絶やすことなく栽培が続けられてきた。◆そして現在、「特徴のありすぎる野菜」は時代に対応できず、種が絶滅してしまったり、またその危機に瀕している。逆に、「最上伝承野菜」などは推進協議会を設立し、力強い活動を行っている。


(9月5日号掲載)

◆建材・住宅設備機器業界最大手と言ったら、CMでお馴染みの「リクシルって知ッテル!」。◆今年4月、トステム鰍存続会社として、鰍hNAX、新日軽梶A東洋エクステリア梶A(初代)鰍kIXILの4社を吸収合併して、商号を(2代目)鰍kIXILに変更。さらに、サンウエーブ工業鰍フ開発・管理部門も統合したことで、売上高1兆円以上、社員約6万人を抱える業界最大規模の企業が誕生した。◆LIXILでは、全てのプロユーザーに、あらゆる建築資材を一箇所で提供できるワンストップショッピングの場を提供する、建材マート「建デポプロ」の全国展開を進めている。「建デポプロ」は、予め会員登録し来店、商品の選定後、会員カードを提示してレジで支払う、店舗引取り方式。年中無休で、営業時間が早朝6時30分から夜19時30分のため、現場に向かう途中や帰りがけ、緊急に部材が必要になった場合などでも、立ち寄って直接購入することもできる。◆大きければいいことだ?・・・世界の潮流なのか。


(9月1日号掲載)

◆地方自治体の公務員給与を国家公務員給与と比較するラスパイレス指数の数値自体は、財政危機のなかで着実に低下している。その意味では、地方公務員の給与水準の是正が進んできた。しかし、指数が技能労務職等の給与水準を含まず、一般行政職に限った比較を行っている。この結果、指数のカバー範囲は地方公務員の約30%程度。技術労務職、教育職、警察職等に従事する対象外の給与水準が特に高い。◆地方公務員の担っていた業務を、民間へ順次移行することは、より多くの民間所得を生み出す要因ともなり、活性化にも繋がるのだが。◆一方、「22年地方公務員給与実態調査」の状況をみると、何と、東北6県で山形県は平均給料月額+諸手当月額の平均給与月額がトップの42万6347円。岩手県は40万円に達しておらず、沖縄県は35万8315円。因みに、県内市町村で平均給与月額トップは戸沢村の41万3034円、次いで山形市の41万392円。低かったのは遊佐町の33万2855円。今後も行く末を注視したい。

(8月29日号掲載)

◆認知症とはいろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヵ月以上継続)を指す。◆認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気。続いて多いのが、脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症。◆認知症の症状は、記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害、計画を立て按配することができなくなる実行機能障害など。◆認知症の予防法は、多くの病気と同様に、適切な睡眠や食生活、適度な運動を行うことで発病の確率を下げられる。また、早期発見・早期治療が大切。「おかしい」と思ったら、年齢のせいと考えて放置することなく、出来るだけ早い時期に、近くの医療機関に相談する。◆「おかしい」と気づいてから医療機関に相談するまでに、約7割の家族が2年以上かかっているとの報告がある。

(8月25日号掲載)

◆多額の損失を抱える第3セクター。それは各自治体の財政を圧迫し、全国各地で問題となっている。そんな中、釧路市は「釧路市土地開発公社」と「釧路振興公社」の解散を決めた。2公社の損失補償額は計130億円余り。国の「第3セクター等改革推進債」を利用する見込みだ。他の自治体にも同様の問題があり、釧路市は先行ケースとして注目されている。◆同推進債は、地方財政法に規定されている第3セクターなどの抜本的な改革に必要な一定の経費の財務処理に充てる地方債の特例規定に基づいて、「地方公共団体の将来における財政の健全な運営に資すると認められる場合」に発行が認められる地方債。発行可能期間は21年度から25年度までの5年間の時限措置。◆釧路市の返済は、単純計算で返済期限が10年の場合、年間約14億円。バブルの「塩漬け」で、厳しい財政運営が延々と続くことになる。また、第3セクターの解散はこれからの流れになりつつある。

(8月22日号掲載)

◆「世界の総人口は今年中に70億人を突破する」と米ハーバード大学のデービッド・ブルーム教授が論文を発表した。世界人口は1999年に60億人を記録してから、わずか12年で70億人に到達する見通し。国連の予想では、2100年には101億人まで増えるとされる。◆人類の歴史300万年のうち、ほとんどは人口が安定していたと考えられる。ところが、約1万年前に農耕を覚え徐々に人口が増え、産業革命以降さらに加速した。◆人口増加にはさまざまな要因があるが、栄養の向上、医療技術の進歩による乳幼児死亡率の低下、さらには農業生産技術の発達による食糧生産の増加などが挙げられる。このように人口増加の多くをアジア、アフリカなどの開発途上国が占めていることによって、貧困の増加、食糧不足問題などが発生。アジア地域では今後も経済成長が続くと推測されているが、一人当たりのGNPは依然低い状態であり、貧困問題は解決されずに残ると考えられている。◆一方、先進国の人口に目立った増減はないとみられるが、年金制度などを支える労働人口の減少が懸念されるという。

(8月11日号掲載)

◆東北加速器基礎科学研究会は、政府・関係機関等に対し、国際リニアコライダーの北上高地(岩手県)への誘致について要望活動を行っている。◆国際リニアコライダーは、宇宙誕生の瞬間のビッグバンを再現する次世代加速器建設構想で、地下に全長30〜50キロ程度のトンネルを掘り建設する研究施設。電子と陽電子をほぼ光速まで加速させた状態で衝突させ、宇宙誕生直後の状態を再現し、宇宙誕生や物質の起源などの解明を目指す。◆世界に1カ所だけ建設する計画で、50キロにもおよぶ堅い岩盤がある北上高地は、世界的にも有力な候補地の一つとされている。◆また、建設は約5000億円の巨大プロジェクトで、21世紀の科学をリードする国際科学都市が誕生することになる。施設建設等により多くの雇用が生まれ、震災により甚大な被害を受けた東北の復興と国際化に大きく寄与する。◆しかし、建設場所をめぐっては、日本、ドイツ、米国が競争。国内では、脊振山系(佐賀、福岡)も有力候補地。◆北上高地が素粒子物理学者のメッカになるか。

(8月8日号掲載)

◆2度目の挑戦で「平泉−仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群−」が記念工作物・遺跡の世界遺産に選定され、平泉の理念を胸に、復興に向けた希望の光となった。◆マルコポーロが「黄金の国」と日本を言ったのは「平泉」とも言われ、金色堂には「アフリカ象」の象牙が使われるなど、平安時代では想像もつかない様な「世界的交流」も見受けられる都市。◆11世紀から12世紀にかけて約100年もの間、奥州藤原氏が都の文化を取り入れつつ独自に発展させた平泉。初代清衡は、主要堂塔が完成した時の大法要で、戦争のない平等な理想郷を造りたい、という主旨の願文を読み上げたという。中尊寺や毛越寺に代表される数々の仏教寺院や浄土庭園などの黄金文化。華麗な建造物が、周囲の豊かな自然環境と一体となった、浄土思想を基調とした文化的景観。これらは世界でも珍しい貴重な遺産として、評価されている。◆中でも特別史跡の中尊寺は、奥州藤原氏の初代清衡が12世紀始めから四半世紀をかけて造営した寺院。境内には、金色堂、金色堂覆堂、経蔵等の国宝及び重要文化財がある。◆精神的な拠り所は復興のシンボルへ。

(8月4日号掲載)

◆つい数年前までテレビといえば「娯楽の花形」だったはずが、「若者のテレビ離れ」「質の低下」「インターネット」などで、テレビ局は軒並み苦戦を強いられている。◆勿論、一口にテレビといってもその番組内容は様々だ。良いドキュメンタリー、ドラマ、ニュース番組など、私に新たな知識を与えてくれるから、そういう時には選んで見る。しかし、今のテレビ番組の多くは、あまり上等でないギャグなど内容が変わりばえしないし、私にはさっぱり面白くない。いつも同じようなことを繰り返し放送している。人生という貴重な時間のムダづかいとしか思えない。◆だからといって、テレビの役割を過小評価するつもりは毛頭無い。ワールドカップを衛星放送通じて見た人の数は合計22億人にのぼり、世界的規模での情報の共有は、世界の相互理解、そして平和の維持に役立ったと言われている。◆こうした中、「スマートTV」が大きな注目を集める。次世代のネット・テレビだ。テレビ番組を楽しむだけでなく、インターネットで自分の好きな動画を検索して再生したり、ゲームなどのアプリケーションをテレビにダウンロードして使ったりできる。◆しかし、ブラウン管時代の者にとっては、変革の流れが速すぎる。

(8月1日号掲載)

◆Facebookの友人から絶対読めと新聞記事の「お墓にひなんします 南相馬の93歳自殺」を紹介された。テレビのニュースで流れていたのを記憶しているような気がしたのだが、文字を辿っていくと涙が滲んできた。◆家族に宛てた遺書(原文のまま)を掲載します。『このたび3月11日のじしんとつなみでたいへんなのに 原発事故でちかくの人達がひなんめいれいで 3月18日家のかぞくも群馬の方につれてゆかれました 私は相馬市の○○(娘)いるので3月17日にひなんさせられました たいちょうくずし入院させられてけんこうになり2ケ月位せわになり 5月3日家に帰った ひとりで一ケ月位いた 毎日テレビで原発のニュースみてるといつよくなるかわからないやうだ またひなんするやうになったら老人はあしでまといになるから 家の家ぞくは6月6日に帰ってきましたので私も安心しました 毎日原発のことばかりでいきたここちしません こうするよりしかたありません さようなら 私はお墓にひなんします ごめんなさい』◆一人の女性をここまで追い込んだ原発事故。この方と同じ辛さを抱えながらなんとか生き抜いて居られる方がきっと大勢います。◆何も出来ていない自分にも腹が立ちます。

(7月28日号掲載)

◆世界遺産委員会における審議で、「ル・コルビュジエの建築作品・近代建築運動への顕著な貢献・」については、「記載延期」と決定された。◆6月29日まで、フランスのパリで開催されていた第35回ユネスコ世界遺産委員会において、日本、フランスなど6カ国が世界遺産に推薦していた国立西洋美術館を含む建築作品についての審議が行われていたもの。◆世界遺産委員会の決議は記載、情報照会、記載延期、不記載に分かれており、記載延期は、より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要なもの。推薦書を再提出した後、約1年半をかけて再度諮問機関の審査を受ける必要がある・とされている。◆ル・コルビュジエ(本名シャルル・エドゥアール・ジャンヌレ)はスイスの山あいの小都市ラ・ショー・ド・フォン生まれ。スイスで活動した後パリに出て、ピュリスム(純粋主義)の画家として活動しながら、35歳で従兄弟のピエールと共同で建築事務所を設立。「新しい建築の5つの要点」を提唱。「サヴォワ邸」に代表される。第2次世界大戦後、独自の尺度「モデュロール」を発表、日本の「国立西洋美術館」の基本設計はル<CODE NUM=00A5>コルビュジエによるもの。◆推薦書の再提出で活路を。

(7月21・25日合併号掲載)

◆3月11日の地震、津波、そして福島原発の不祥事、連鎖的に災いを大きくすると言うのが世界的に確認された。4ヶ月経ち、未だ「福島」は現実である。◆そんな中、本県と滋賀県の女性知事が段階的に「脱原発」を実施すると言う意味で「卒原発」を共同提言。ソフトバンクの孫正義社長が提唱する、自然エネルギー協議会への参画も表明している。◆また、城南信用金庫の吉原毅理事長が、自社のホームページに「原発に頼らない安全な社会へ」というメッセージを掲載。金融機関が「脱原発宣言」ともとれるメッセージを発信したことが、大きな話題となっている。得意先に親原発の会社もあるはずだが、ハッキリ意見を言う吉原理事長の下で働く行員のモチベーションは高い事であろう。そして、多くが発言の「勇気」を讃えている。◆経済産業省の家庭の節電宣言による15%の節電を達成すると、達成賞として協賛企業からのプレゼントがもらえる。ホテルペア宿泊券、テレビ等。東北電力については7月下旬以降から開始される。わが家も連日の猛暑に耐えて節電中。

(7月18日号掲載)

◆NPO法人・山形国際ドキュメンタリー映画祭(大久保義彦理事長)が日本映画の発展に貢献した個人や団体に贈られる第29回川喜多賞を受賞した。贈呈式は27日、東京丸の内の東京会館で行われ、宝塔と賞金100万円が贈られる。◆「国際映画祭中のトップクラスに成長した」と審査委員も太鼓判を押す。ロケ地としては脚光を浴びていたが、これで本物の映画の県になった。◆川喜多賞は国際的な映画人として知られる故川喜多長政氏とかしこ夫妻の功績を讃え、日本映画に発展に尽くした個人や団体に贈られる賞。これまで黒澤明、大島渚、山田洋次監督など著名な映画人が受賞しているが、団体では初。◆山形国際ドキュメンタリー映画祭は、これまで市民有志が中心となって、2年ごとに11回にわたって開催。日本では鑑賞する機会が少ない、世界の優れたドキュメンタリー映画を多くの人に鑑賞してもらい、その魅力を浸透させ映画の「現在」をプレゼンテーションする。大衆娯楽として定着している映画表現に新しいフィールドと可能性を提示し続けている。

(7月14日号掲載)

◆わが国を代表する伊東豊雄、山本理顕、隈研吾、妹島和世、内藤廣の5人の建築家が、東日本大震災からの復興を考えるために「帰心会」を結成、多くの注目を集めている。◆第1回の伊東建築塾「震災復興シンポジウム」では、建築家が為すべきことをそれぞれの立場から語った。妹島氏は、そこに住む人たちと専門家がいろんな形で話し合うことが大切と自然との関係性を改めて問い直した。隈氏は、欲望と建築が結びつくところに経済が回るという前提の再考の必要性を語り、山本氏は、横浜国大の学生たちと考えた仮設住宅の配置方法などを紹介。伊東氏は、身近にできることから行動を起こす事などを挙げた。内藤氏は、「ゆるやかな死」について考える必要性を述べた。◆5月27日には、第2回のシンポジウムがせんだいメディアテークで開かれ、「美しく和む場をまち中に」を語った。◆後手後手に回る政府と東電、震災に何を学ぶのか大きな疑問符がつくが、復興のスピードが命だ。世界のモデルになるような「街」を目指してもらいたい。

(7月11日号掲載)

◆佐治敬三サントリー会長が首都機能移転論議との関連で、「東北は熊襲の産地。文化的程度も極めて低い」と発言、東北地方からの猛反発、不買運動まで起きた。あれからだいぶ時が流れた。◆このほど、サントリーは、東日本大震災の被災地復興のため、義捐金として、清涼飲料・ビール類の缶製品の売上1本につき1円を積み立て合計約40億円の拠出を決定し、義捐金の使途概要についても決定した。◆用途は、漁船の取得に際し、漁業者の負担を軽減すべく岩手県・宮城県に10億円ずつ計20億円の支援を行う。また、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと共同で、奨学金プログラムや子どもの遊ぶ機会・場所の提供などを行う「サントリー東北子ども応援プロジェクト」を実施。さらに、震災遺児学資支援を行う。未来の漁業の担い手の支援として、青森、岩手、宮城、福島県の水産高校および水産学科の被災生徒を対象に奨学金の給付を行う。一方、子どもの遊ぶ機会・場所の提供(約9億円)。これは、福島県を中心に、子どもたちが遊ぶ機会や場所を提供する。◆角飲んで『見上げてごらん夜の星を・・・』を歌うか。

(7月7日号掲載)

◆夏のボーナスの時期が近づいてきました。大企業、中小企業、零細企業のサラリーマンや国家公務員や地方公務員にとって、ボーナスの支給日や時期、平均金額などについて気になるところ。◆このボーナスは、そもそも収益に応じて配分されるものですが、県の23年6月期末手当・勤勉手当が支給され、収益に応じて配分されると無理矢理解釈した支給総額は125億5597万円。1人当たり平均支給額は70万8776円。昨年同期と比べて、支給総額は▲1億5837万円(▲1・25%)、1人当たりの平均支給額は▲3952円(▲0・55%)となったようです。平成23年度における年間の支給割合は3・75月分であり、国家公務員と比べて0・2月分低く、全国で最も低い割合となっているそうだ。◆公務員に対してのボーナスには賛否両論があります。労働者に対して報酬があるのは当然、という意見や、税金から支払われているのだからもっと削るべき、という意見など。◆しかし、今の日本のシステムの中で「ボーナス払い」というローンも組めない、大勢の人達がいます。私は他のことに集中したいと思います。日々、コツコツです。


(7月4日号掲載)

◆NHKの「たけしアート」で日本を代表する宮大工・小川三夫が紹介された。小川が再建に携わった薬師寺では、ふだん見られない塔の内部に足を踏み入れる。1300年前の職人たちの美意識と“ものづくりへの執念”に息をのむ。斑鳩の工房では、日本独自の木造建築を作り出す“神業的鉋(かんな)がけ”を目の当たりにする。◆まさしく宮大工の棟梁然とした風貌であった。決して流暢に話す訳でもなく、木訥とただ自然体で話す。奈良法隆寺五重塔を解体修理したことで知られている西岡常一が、生涯でただ一人弟子を取った人。◆小川は言う。仕事は、単に伝統を引き継ぐことではない、仕事を読み取り、学び取ること。また、刃物研ぎは、研ぎ澄まされた精神を養うと話す。◆鍛え抜かれた技と心をもって職人集団を束ね、数百年の風雪に耐える寺院や神社を築きあげる。千年の伝統を受け継ぎ、信念を持って立ち向かうその姿は、実に魅力的に映った。◆斑鳩の工房では、若い宮大工が刃物を一生懸命研ぐ。木材の表面が鏡になるまで。

(6月30日号掲載)

◆日本建築家協会と大光電機では、「建築家のあかりコンペ」を開催する。今年は募集を世界に広げた。テーマはLEDを利用した照明器具。省エネ、長寿命で今後の光源として期待されるとして、LEDを使って量産を目的とした照明器具の提案を求める。◆しかし、LEDは特有のギラギラ感で店舗向きでスポットライトのような指向性の高い光。家庭の主照明には向かない。◆一方、有機ELの照明は、ガラスやプラスチック、フィルムの上などに発光体としての有機体を吹付け、軽量で薄い面状の発光体を作れるのが特徴。天井全体を照明にして明るくしたり、壁紙の様な照明を作ったり、全体がカーブして光っているオブジェの様な照明等、これまでにないような面白い照明を作ることが可能。◆その光は太陽光と大変似ており、より自然に物が見え目に優しい。だが普及するためには、価格、製造技術の開発などいくつもの関門が。◆国をあげてのサポートが不可欠。ドイツでは、国をあげてプロジェクトを推進、韓国、台湾、中国も開発に参入。そうした中、日本が他国に遅れをとらないためには、国をあげての取り組みが絶対に必要だ。

(6月23・27日合併号掲載)

◇平成23年版の自殺対策白書がまとまった。◇我が国の自殺者数は、警察庁の自殺統計資料によれば、平成10年以降、13年連続して3万人を超える状態が続いている。昭和58年及び61年に2万5千人を超えたものの、平成3年には2万1084人まで減少し、その後2万人台前半で推移していた。しかし、10年に9年の2万4391人から8472人(34・7%)増加して3万2863人。その後、15年には統計を取り始めた昭和53年以降で最多の3万4427人。22年は3万1690人で前年に比べ1155人(3・5%)減少した。◇22年の自殺状況については、総数では「首つり」が最も多く、6割を超えている。次いで「練炭等」、「飛降り」となっている。また、男女別・年齢階級別でみると、男女とも全ての階級で「首つり」が最も多い。◇個人が暮らしのなかで孤立化する状況がますます進んでいるといわれている。心の病気は、早期発見、早期治療が大切であり、家族などが異変に気付いて早期の治療に結びつけることができるようにしたいものだ。

(6月20日号掲載)

◆「聞き書き甲子園」?勉強が足らなかったのか始めて聞く言葉だ。もう、10回も重ねているという。◆趣旨は、全国の高校生が、森や海、川と共に生きる知恵や技を持つ「森の名手・名人」、「海・川の名人」を訪ね、その知恵や技術、人となりを聞き書き、記録する活動。その成果をフォーラムや作品集で発表する。◆取材内容をレポートとしてまとめる米国の教育プログラム「FOXFIRE BOOK」の手法をモデルとしている。◆森の名手・名人とは、きこり、造林手、かぐら面づくり、草木染め、しめ縄づくりなど、様々な経験や優れた技術を先人たちから引き継いでいる人たち。また、海・川名人は漁師や海女、船大工や釣竿づくり職人、海辺の環境保護や藻場の再生などに取り組む人々など◆名人の知恵や技を丁寧に取材し、その語り口や人柄がよく感じられる作品に対して、優秀作品賞が贈られる。◆人生そのものの話に耳を傾けながら、その言葉を録音し、一言一句を文字に書き起こし、文章にまとめる。未だ私は至難の業である。◆森や川、海の自然と、私たち日本人の暮らしのつながりを、そこに生きる人から直接学ぶことができる貴重な機会。

(6月16日号掲載)

◆ついに国がJR東海に建設を指示。リニア中央新幹線が南アルプスを貫通する直線ルートで、まずは東京と名古屋、そして大阪を結ぶ事になった。◆計画によると、時速は505`で、甲府市や名古屋市、奈良市付近を経由。最短で東京と名古屋の間を40分で、東京と大阪の間を67分で結ぶ。建設費は9兆300億円。今年12月までに環境アセスメント開始し、アセス終了後工事実施計画の申請・認可を経て3年後には本格的に着工したい考え。16年後に東京から名古屋、34年後の全線開業を目指す。◆リニアは東京・大阪間438`のうち、南アルプス直下の深さ1400bなど約7割の区間で、地表より地震の揺れが小さい地中を走るため、地震に強いとされた。また、国交省は開業による沿線企業への経済効果を年間8700億円と試算。三大都市圏の結び付きに期待する声は大きい。◆開業時の料金は幾ら位になるのか分からないが、天に召されるまでに1度は乗ってみたいものです。

(6月13日号掲載)

◆米建築家協会(AIA)ゴールドメダルの2011年の受賞者が発表された。建築家槙文彦が受賞した。日本人としては、丹下健三、安藤忠雄に続く3人目の受賞。約100年に及ぶ歴史を持ち、優れた建築家に対して与えられる賞。理事会による最終的な投票によって受賞者が決定するが、4分の3以上の票を得る者がいなかった場合該当者なしとなる。過去に受賞者の出なかった年は約40回ほどある。授賞式で槇氏は『オリンピックの金メダルみたいだ』と言って会場の笑いをとったそうだ。◆また、世界的に有名な建築家の賞はプリツカー賞。1979年に、ハイアットホテルアンドリゾーツのジェイ・プリツカーが設立した。建築界のノーベル賞ともたとえられるほど権威のある賞で、ここでも槙文彦と安藤忠雄、丹下健三が受賞。◆UIAゴールドメダルは、国際建築家連合が表彰している賞で、3年に1回受賞者が決定、UIA世界大会で表彰される。またまた、槙文彦と安藤忠雄が受賞している。◆槙文彦は、旧山手通り沿いで数次にかけて実施したヒルサイドテラスが有名で、30年の歳月をかけて建てられてきた。元倉眞琴、栗生明、高谷時彦などは槇総合計画事務所の出身だ。

(6月9日号掲載)

◆近年、地球環境保全などを背景に、スマートシティが求められており、その市場規模は今後20年間の累計で3100兆円に達するとも予測されている。◆今年4月から「スマートシティプロジェクト」に新たなリーディング企業の国際航業グループ、三井ホームが参加、技術・ノウハウが補完・強化され!日本発スマートシティの展開に向けて活動を加速している。◆同プロジェクトには、伊藤忠商事、SAPAG、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ、LGCNS、JX日鉱日石エネルギー、清水建設、シャープ、日建設計、日本電信電話、日本ヒューレット・パッカード、日立製作所、三井不動産梶A山武、イーソリューションズが参加するモンスター集団。◆フラッグシップとなる「柏の葉キャンパスシティプロジェクト」が目に見える形で進行。家庭でのCO2削減、氷蓄熱空調システムやNAS電池による電力のピークカットなど、先駆的な取組みが進められている。更に、NEDOの「蓄電複合システム化技術開発」事業を受託、自動最適運転制御や複合的なエネルギー貯蔵が可能な次世代型BEMSの開発に着手している。

(6月6日号掲載)

◆サクランボは、正月の初出荷時30粒5万円と高価な値がつくことから『赤い宝石』と呼ばれる。一般には「初夏の味覚」。◆今年もサクランボの季節になりました。サクランボという名称は、もともと桜の実を指す「桜ん坊」からきたといわれている。正式には「セイヨウミザクラ(西洋実桜)」というが、今ではサクランボのほうが一般的になった。◆一般的な品種を見ると、佐藤錦は今やサクランボの代名詞ともなった一番人気の品種。親は「ナポレオン」×「黄玉」で、本県の佐藤栄助氏によって育成され、大正3年に命名された。ナポレオンは粒がやや大きめでハート形。ヨーロッパでは古くから栽培されていた品種で、果肉はクリーム色で果汁が多く、それでいて歯ごたえのある濃厚な味わい。紅秀峰は「佐藤錦」と「天香錦」を交配したもので、平成3年に品種登録された。糖度が高いため、甘いサクランボとして人気。高砂はアメリカ生まれで、日本へは明治5年に伝わった。酸味とほどよい甘さの人気。◆あまり聞き慣れない品種では、北光(水門)、南陽、香夏錦、紅さやか、豊錦、大将錦、月山錦など。◆生産地の本県は、全国の収穫量の7割を占めており、近年は北海道でも生産が進んでいる。世界では、トルコ、アメリカ、イランの順で、日本は20位。


(6月2日号掲載)

◆近頃、中国の話題が国際ニュースに登場する回数が飛躍的に増えた印象が否めない。◆中国で超高層ビルが競い合うようにできている。特筆するのは江蘇省華西村の横浜ランドマークタワーより高い超高層ビル。地下2階、地上72階の328m高さで、6月の完成時には中国で8番目の「のっぽビル」になる。村によると、ビルの大半を村営ホテルとし、アジア最大級の回転展望台と商業施設を整備。さらに200戸の村民が1千万元ずつ出資し、一部を区分所有するという。◆村は、工業・農業・商業・観光業・建築業と産業の多角化を行い大きな利益をあげ、村全体が近代化に転換された。現在では人口3万5000人、村の年間経営収入500億元(約6000億円)、税収8億元(約110億円)、一人当たりの平均資産額は日本円で1億円に達するという超富裕村になった。まさに、日本の高度成長期に至るスピードで発展してきた中国の近代化農村。◆いまや世界経済を牽引する中国の成長は、一部で言われるように、脆弱な基盤の上に成り立つ一時的なバブルなのか、それとも、欧米に替わって経済の主役を担う実体ある成長か。

(5月30日号掲載)

◆土佐くろしお鉄道中村駅リノベーションは、第14回木材活用コンクールで最優秀賞となる「林野庁長官賞」を受賞した。SDA賞入選、JCD新人賞、グッドデザイン特別賞・中小企業庁長官賞受賞、公共の色彩賞10選入選など、これで受賞は9つ目。◆リノベーションを手掛けた建築家グループnextstations(川西康之+栗田祥弘+柳辰太郎)は、構内のサイン計画や、時刻表、グラフィックから売店の紙バックやスタッフのエプロンまでトータルデザインを行い、コンコース内の広告類は視線を遮らないように床面から高さ1500o以下に抑えるなど、徹底的な考察から導き出した、きめ細やかな視角操作を試みている。正に都会の人々が羨ましがるような「地方都市復権の時代」を具象化した物となった。◆待合室は、勉強用カウンターと机があり、パソコン用の電源や無線LANも装備、さながら図書館の自習室のようだ。また、改札口をなくし、駅のプラットホームには入場券なしで、自由な出入りが可能となっている。◆今後は、我が山形県の駅作りの1つの模範になっていってほしいものだ。

(5月26日号掲載)

◆紅茶の香りはすご〜くデリケートで、高温、光、湿気にすごくすごく弱い飲み物と言われている。◆ところで、おいしい紅茶を容れる五箇条の『英国式ゴールデンルール』がある。最も正統的な容れかた。ポイントを抑えるだけで「美味しい紅茶」に大変身する。◆先ず、良質な茶葉を使用しカップやティーポットをお湯で温める。茶葉の量を正確にティースプーンで量る。ティーカップにティースプーン1杯(茶葉2・5g〜3g)が基本。汲みたての空気を含んだ新鮮な水を100度まで沸かしてからティーポットに注ぐ。3分間大切に蒸らす。蒸らし時間がとっても大切らしい。レモンティーの場合は1分短く、ミルクティーの場合は1分長くするそうだ。この5つのポイントを抑えるだけで、美味しさだけじゃなく水色も綺麗で鮮やかになってくれるという。是非、お試し下さい。◆ティーバッグだって美味しく淹れる裏技がある。お湯は100度で、カップに先にお湯を入れておく。そしてカップの脇からティーバッグをそーっと入れて、ソーサーで1分間フタをする。時間が来たら軽く1、2回ふったら出来上がり。◆何でも手間をかけてやらないと良いものが生まれないらしい。

(5月23日号掲載)

◆県が単独で建設費160億円を投じ、「新県民文化施設(仮称)」を山形駅西地区に建設する計画を立てたが、県財政が逼迫したため、県は平成17年度補正予算発表時に計画の凍結を表明した。同施設は、地上7階地下1階にオペラハウス風の4層バルコニーを設けた大ホール(2000人収容)やリハーサル室、練習室など。◆取得した用地は約3・2ヘクタールもあるが、文化施設の建設が凍結されてからは「塩漬け」状態。◆一方、現県民会館は、老朽化に対処するため耐震補強工事を実施し、以前と比べホール内の雰囲気が明るくなり、音響面で多少の改善は見られたが、音楽向きのホールとは未だ言えないのが現状。そのため、音楽関係者からは新県民会館建設の声が相次いでいる。◆東北地方では山形県以外の県の会場で音楽大会や演奏会等が開催されやすいという状況が続いている。◆吉村知事は3月、県民会館の代替施設の整備を視野に改めて検証するよう担当部局に指示したが、良い結果を望みたい。◆広大な県有地は財政難を理由に何年間も「塩漬け」、実にもったいない。

(5月19日号掲載)

◆群馬県前橋市に本拠を置く群馬県林業公社は、4月15日付で前橋地方裁判所へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。◆昭和41年に造林を目的として設立された同公社は、県や市町村などが発注する治山・林道・保安林整備事業の調査・測量を手掛けるほか、分収林事業や森林公園の管理などを行っていた。しかし、安価な海外木材の台頭により木材価格が下落すると、収益は悪化し債務超過に転落したため、事業継続は困難と判断し22年に解散を決議、26年をめどに解散する。負債は約166億円。民事再生法の適用申請は全国初という。◆(財)山形県林業公社の20年3月末現在の長期借入金残高(元金残高)は281億円。◆公社や基金の形で全国都道府県に存在するこの事業体はいずれも厳しい経営環境に置かれている様である。◆自治体の財務状況がひっ迫する今後、林業公社は、もはや放置できない問題として解決を迫られる喫緊の課題である。過去設立時においては合理的合目的であったことが時代の変化に対応できずそのまま非効率に温存継続されてしまう日本の典型事例の一つでは。

(5月16日号掲載)

◆海外の主流メディアは、福島原発で、決死の覚悟で高濃度の放射能を浴びながらの作業を志願した男たちのことを、「Fukushima50」と名付けた。そして、彼らの魂をカミカゼ(KAMIKAZE)と呼んで賛美している。◆米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、高濃度の放射性物質が漏れた恐れのある福島第1原発で、炉心を冷却するため原子炉に海水を注入する作業を続けた人々の献身ぶりを伝えた。記事は「何千トンもの放射性のちりが上空に飛んで自国の数百万人もの人々を危険にさらすことを防ぐため」の作業であることを詳しく説明した。また、中国では、「退去命令が出た後も、50人は戻ってきた」「彼等だけでなく、180人が、現場に携わっている」とも伝える。◆最前線で危険な作業を担うのは、東京電力のほか、東電工業、東電環境エンジニアリングといった子会社、原子炉を製造した東芝、日立製作所などメーカーの社員たちだ。◆なぜ、当事者である日本で、詳細が明らかにされなかったのかが不思議である。◆矢張り、ニュースは現場でなくて東京発なのか。また、不眠不休で働く建設業者に日が当たらないのは何故か。


(5月12日号掲載)

◆建設業情報管理センターと建設業技術者センターは、今後の地域建設業のあり方に関する提言をまとめた。注目したいのは、地方自治体の入札契約制度をめぐって、国に対し「一定の客観性・透明性のある指名競争入札が合理的な場合は、厳格な説明責任を果たした上で、その運用体制を指導する」ことが必要と指摘したことである。◆また、地域社会の存続に必要な地域貢献の意欲とその実施能力が高い企業の名簿を創設し、一部の建設工事を名簿に記載された業者に発注することや、人材育成に積極的な企業を存続させる政策を強めることなども求めている。これは、災害対応や雇用面などでの地域建設業の存在意義を踏まえ、その事業活動をより多面的に評価し優遇策を積極的に講じると同時に、業者側には自助努力も必要だと指摘している。◆一方、特に公共投資への依存度が高い地域などでは、建設企業の共倒れにより地域に必要な建設企業の倒産や廃業を防ぐため、必要な誘導策を実施することを要請。合併については「引き続き行政が合併促進を支援していく」こととし、入札契約制度などで一層の優遇措置を講じるよう提案した。

(4月28日・5月2日合併号掲載)

◆竃村総合研究所(東京都)は、東日本大震災による宮城県の震災復興計画づくりを支援すると発表、研究員4〜5人が無償で加わる。災害に強い市街地計画や新たな産業振興策の作成で協力する。◆提言では、先ず第一に早期に「東北復興」のビジョン。二つ目は地域の雇用と成長を支える産業の再生。三つ目は漁業・水産加工業や農林業の基盤を再生すると共に、新しい産業を創造していく事が必要\とした。◆また、被災地域の産業の再生・活性化にあたっては、「地域主権による地域づくり」「広域自治体連携」や「PPP」など、新しい制度・枠組みを活用する事が重要とした。◆復興を具体的に推進していくためには、「東北地域再生機構」の創設が必要と考え、官民が出資する連携組織とし、被災地域の復興事業や産業・企業の再生事業に投資を行って、東北地域全体の復興を迅速に行う事としている。◆復興事業は単に壊れたり失ったりしたものを元に戻すことではない。町や産業を新しく興す事。

(4月25日号掲載)

◆国土学アナリストの大石久和氏(早稲田大学公共経営研究科・客員教授)が「調達」の再考について述べている。非常に興味深い話である。◆明治の昔、一般競争が公共調達に導入、大きな混乱の結果、明治33年指名競争になった経緯。それは、収拾のつかない騒動になったこともあるが、「調達の内容によって調達の方法が異なるべき」との原則がわかったからではないか。つまり、市場に流通していること自体が品質を保証している自動車などの物品調達と異なり、市場の評価を受ける前にいわば仮の検査で購入しなければならない橋などの公共調達では、事業者側が「よりよいものをつくろう」というプラスインセンティブが働くメカニズムが、調達の仕組みの中に埋め込まれていなければならないことに、明治の人たちが気づいた。◆端的にいえば、一般競争による公共調達では、むしろ逆に「手を抜けるところはできるだけ抜いて、見つからないようにする」マイナスインセンティブが働く仕組みだということが、今の我々のように理解できていたということなのではないか。と言う文面。◆この国は至る所で傷み始めているが、不祥事の可能性に過剰反応してしまい「契約内容に応じて契約方法があるという本質」に目を閉じる姿勢もその兆候の一つだ。と結んでいる。

(4月21日号掲載)

◆お年寄りが集まると、病気の話が多い。ここで気になる語句が。◆ヒタヒタと足音も無く近づき、生命力を奪ってゆく『サイレントキラー』。殺し屋の名は、糖尿病。◆自覚症状が無いまま合併症などが知らぬうちに進行し、後に死に至るような破壊的な症状を呼び起こす病を指して、まさに静かに殺していくようにみえることからサイレントキラーと呼ばれている由縁。◆その代表的な病が高血圧。それに続くのが糖尿病、腎不全など。血圧値は脳卒中や心筋梗塞の発症リスクを評価できる重要なバロメーター。人間は30歳を過ぎると健康面では下降領域に入り、加齢とともに血管は老化して硬くなり、誰でも血圧は徐々に上昇していく。◆また、診察室で測ると血圧が高いのに、家庭で測ると正常な人、逆に、診察室で測ると正常なのに、家庭血圧が高い人がいる。前者は白衣高血圧、後者は仮面高血圧と呼ばれている。白衣高血圧は病気ではないが、将来的には高血圧になる可能性が高いと言われている。一方、仮面高血圧は心筋梗塞や脳卒中を起こす危険性がかなり高いことが分かってる。

(4月18日号掲載)

◆宮古市田老地区(旧田老町)の防潮堤を『万里の長城』と呼んだ。◆昭和8年の大津波被害を契機に、各地で本格的な防浪堤の建設や、港湾、漁港の整備が始まり、近年二度に渡る激甚被災地となった田老町では、全国に先駆けて町を取り囲むように「万里の長城」と呼ばれる長大な防潮堤が建設された。防潮堤は海面から10・45bの高さで、総延長が約2500b。また、二重三重に整備された消波堤や防波堤が、高波や津波への備えを一層確かなものにしていた。悲惨な歴史を繰り返すことのないよう、人々が穏やかに生活できるように見守っていたはず。◆しかし、絶大な信頼を置いてきた『万里の長城』は、自然の猛威、津波によって一部の土台や水門を残し、粉々に破壊された。80年前の昭和の大津波で受けた田老の姿に戻ってしまった。◆防潮堤は、高潮による災害を防止するため設置された堤体、壁体、水門等の構造物、及び護岸、取付道路等の附属物をいう。高潮堤とも呼ばれる。◆今もなお、懸命な復旧活動が続けられている。防災大国『日本』をもう一度。

(4月14日号掲載)

◆阪神・淡路大震災では、ビルや家屋が大量に倒壊するなど甚大な被害を受けた。電気やガスなどのライフラインの復旧にも時間を要した。しかし、関西電力の発電設備の被害は小さく、ライフライン復旧後の電力供給能力そのものには、大きな不安がなかった。◆これに対して今回は、東京電力と東北電力の発電設備が、大きな被害を受けた。特に東京電力の場合は、福島原子力発電所が甚大な被害を受けたため、安全性の確保に向けて必死の努力を続けている。そして、家に帰れない帰宅難民という新語も出来た。◆しかし、福島原子力発電所の安全性が確保されたとしても、通常の需要水準をカバーできるだけの供給能力に達することは難しい。さらに、地震発生前の発電能力に回復するには、数年の時間を要する可能性も考えられるだけに、今後の日本経済に与える影響は計り知れない。◆電力供給不足の状況が続けば、人々の日常生活や、通常の経済活動はもちろん、被災地の復旧工事などに影響が出る可能性もあるだろう。◆競争原理が働かない東電不倒神話の行方が注目される。

(4月11日号掲載)

◆「UIA2011東京大会(第24回世界建築会議)」が、9月26日から約1週間に渡って開催される。およそ130の世界の国や地域から約1万人の建築関係者が結集する国際的な一大イベント。1948年のローザンヌ大会(スイス)以来、ほぼ3年ごとに世界の各都市をリレーしてきたUIA大会が、初めて日本で開かれる。◆“建築界のオリンピック”とも呼ばれる世界最大級の建築イベントで、講演やセミナー、プレゼンテーション、ワークショップ、展覧会、ツアーなど、大会テーマに基づく多彩なプログラムが開かれ、これからの建築や都市のあり方を探っていく。◆注目したいのは、コミュニティアーキテクトシンポジウムの中で、『金山町のまちづくり』が片山和俊氏(東京藝術大学名誉教授)によって全世界に紹介されることである。◆同氏は、住宅を中心に設計活動を行う傍ら各地の町並みや景観計画に係わり、金山町町並み整備計画との係わりが長く、金山町「街並みづくり100年運動」で日本建築学会賞(業績・共同)を受賞している。◆100年運動は、大工を表彰する「住宅コンクール」はじめ、まちなみガイドラインを助成で根付かせ、質の良い建物という「点」が増え、「線」となり美しい街並みとなり、今後も続けられる。

(4月7日号掲載)

◆ポンピドー・センター・メスやノマディック美術館も手がけた建築家の坂茂さんが、被害が甚大な東北地方太平洋沖地震の被災者の方のために、緊急プロジェクトを立ち上げた。◆坂さんは「今後、避難所での生活を強いられる人々にとってはプライバシーもなく、より精神的な苦痛が増すことを避けることが必要」と。◆26日、山形市の避難所の一つ同市総合スポーツセンターを訪れ、設置のデモンストレーションでは、東北芸工大学生らと紙パイプの間仕切りを紹介、希望者に無償での提供を申し出た。◆間仕切りは、厚みのある再生紙製で直径約10a×長さ約2bのパイプを柱に、約5×約4bのパイプを梁として組む。梁に布をかければ部屋のような空間になる。再生紙で作られた芯は木に通じる温かみがあり、コストが安く加工も簡単。強度は木に劣るが、構造で補っており、建築材としての認可を得ている。◆地震で被災した神戸ではペーパードームが大勢のボランティア達の手で組み上がり、素晴らしいシンボルとなった。◆坂さんは、紙管のサンプルを持って世界中説いて回る。

(4月4日号掲載)