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◆このたびの東北地方太平洋沖地震では多くの方々が被災され、わが国の経済・社会に多大な影響を与えている。改めて、被災された方々にお見舞い申し上げますとともに、救助・支援活動等に従事されている方々の御活躍と御無事を祈念します。◆政府・自治体はもとより、企業・団体や個人に至るまで、社会全体での支援の輪が広がっている。各県でも窓口で義援金・支援物資等を受け付けている他、県内市町等でも同様の動きが広がっている。◆自衛隊、医療関係、原発関係の皆さん、そして現地の皆さん、頑張ってください。また、被災地域周辺の土木建設関係者の皆様、復旧活動の最前線に立つと思いますが安全に注意し活動してください。◆一方、テレビも各局全て地震関連の報道。しかし、情報を本当に必要としている地域は停電で伝わり難くく、異常の無い地域は被災状況をつぶさに知る事が出来るのも皮肉な現象だ。◆また、大地震による甚大な被害を前に大規模な復興需要を先取りして関連株買いは、ゼネコンにとどまらず、住宅再建需要先取りの○○ハウス工業、○○ハウス。復興セメント特需期待の○○○○セメント、○○○セメント等が。これも現実なのか。

(3月31日号掲載)

◆観測史上最大の地震に直面した日本。世界から日本人の行動やモラルに賞賛の声が上がっている。助け合い、和の精神は、やはり日本人固有のもの。インターネットからの声は、感動する話がたくさんある。是非、紹介したい。◆先ず、国連からのメッセージでは、「日本は今まで世界中に援助をしてきた援助大国だ。今回は国連が全力で日本を援助する。」◆外国人から見た地震災害の反応では、物が散乱しているスーパーで、落ちているものを律儀に拾い、そして列に黙って並んでお金を払って買い物をする。運転再開した電車で混んでるのに妊婦に席を譲るお年寄り。この光景を見て外国人は絶句。◆BBCの報道では、地球最悪の地震が世界で一番準備され訓練された国を襲った。その力や政府が試される。犠牲は出たが他の国ではこんなに正しい行動はとれないだろう。日本人は文化的に感情を抑制する力がある。◆献血の列。大阪難波の献血施設は被災地の方の為に超満員の順番待ちでした。私欲の無い列を初めて見ました。感動しました。被災地の方々、全国でその辛さを受け止めます。諦めずに頑張って下さい。◆家屋に取り残され、42時間ぶりに救出された高齢の男性映像。「チリ津波も経験してきたから、だいじょうぶです。また、再建しましょう」と笑顔で答えていた。私たちが、これから何をするかが大事。◆まだまだたくさん掲載されている。

(3月24・28日合併号掲載)

◆25年にわたって破られることのなかった青函トンネル(53・85q)の世界記録が追い抜かれた。◆スイスの『ゴタードベーストンネル』57qは昨年10月15日に貫通、掘削は水平方向に8a、鉛直方向に1aの誤差だけ。縦坑や関連する連絡路を含めた総延長は153・4qに上り、道路および鉄道用のトンネルとしては世界最長となる。◆貫通時、スイス運輸相らがかけつけ、地元テレビで生中継され、工事会社は「世界記録の瞬間に立ち会えた。作業員全員の誇りだ」とコメントした。◆同トンネルは、アルプス山脈の地下深くを南北に貫き、最高時速250`。スイス・チューリヒとイタリア・ミラノ間の所要時間を現在の3時間半から1時間程度短縮する。◆日本では、JR東海が建設するリニア中央新幹線で、最長のトンネルは延長20q程度。2500b級のアルプスを貫くゴッタルドベーストンネルの建設は、国内でも多くの技術者が関心を寄せている。◆因みに、キャッツキルアケダクト(アメリカ)は、全長147・2qのトンネル構造の上水道導水路で、土木構造物として世界一長い地下トンネル。

(3月17日号掲載)

◆我が国は世界に例を見ないほどの水族館大国。海は日本人にとって不思議な世界や憧れの世界を見せてくれる。鴨川シーワールドの『シャチ』のショーは巨体だけではなく、美しさ、スピードと惚れ惚れさせてくれる。◆行政区域に海岸線を持たない都道府県でも立派な水族館が建設されている。◆公的な水族館が減少し、閉鎖する時代に民間の水族館が隆盛を誇っているのは何故なのか。それは複合的な経営戦略に加えて、訪れる人々の求めているものが多様化し、より新しい物に移っていっても、「飽きさせない」戦術がある。◆公的な水族館では、現在、殆どの水族館が、指定管理者制度の導入で民間企業が行なっている。独立採算制をとっているところは皆無に近い◆しかし、公的な水族館でも鶴岡市立加茂水族館は、独立採算制をとって運営され、クラゲの展示では世界有数の実績を誇り収益をあげている。設備も宣伝費もない貧乏水族館をここまで押し上げた館長の手腕は素晴らしい。◆総事業費30億円、26年度のオープンを目指して進めている新水族館建設の期待は高まってくる。

(3月14日号掲載)

◆巣林寺(尾花沢市)本堂欄間の「天女の漆喰鏝絵(こて絵)」写真を見る機会があった。素晴らしい。いつか見に行きたいと思う。◆鏝絵の作者は明治後期から昭和初期に活躍した大石田町の左官職人で後藤市蔵(玉舟)。市蔵の作品は県内各所に点在しており、銀山温泉の能登屋旅館の2階まで伸びたギリシャ・ローマ風の柱を主体とした空間設計も市蔵の作品。単に左官職人であっただけでなく、日本画家、彫刻家、建築家であり、橋の設計もしている。いわば総合芸術家。鏝絵では左官の神様と言われる「伊豆の入江長八」が有名だが、市蔵の作品は鏝絵と言うよりも彫刻とさえ言える程に立体的で見事な鏝絵。◆鏝絵は左官職人による漆喰技法。漆喰に顔料を混ぜ、風景や文字を表現する立体装飾法で、凹凸のある漆喰面を作った上に彩色している点が特徴だ。◆住宅様式の変化等により、斜陽化。近年、漆喰・珪藻土・土等の自然素材を使用した壁が見直されると共に、手仕事による仕上げの多様性や味わいを持つ、左官仕上げの良さが再認識されてきている。◆そして、鏝絵で忘れてならないのは、職人の職人による職人のための『長八美術館』。石山修武氏の設計で「吉田五十人賞」を受賞。

(3月10日号掲載)

◆世界の名だたる建設会社が困難だとして諦めた工事を双竜(サンヨン)建設が成し遂げた。予定よりも工事期間を短縮し、無事故無災害。それは、ラスベガス・サンズ社による東南アジア初の高級総合リゾート「マリーナ・ベイ・サンズ」。このほど、美術館、シアター、グラスパビリオンなどを含みグランドオープンした。◆一番の注目はなんといってもホテルタワーの頂上に位置する空中ガーデン「サンズ・スカイパーク」。55階建ての3つのホテルタワーの頂上を結んでひとつの大きなパークを作ってしまった。地上200bに浮かぶ天空の楽園。敷地は全長340b、幅38b。庭園エリア、レストラン、バー、プールなどを備え、実に3900人を収容する。200bの高さにある屋外プールとしては世界最大規模。さらに66・5bの片持ち梁は居住空間を有するものとしては世界最長。◆また、タワー内東側の建物は最高52度の傾斜で西側の建物と地上23階でつながる。イタリアのピサの斜塔(傾斜角5・5度)より10倍近く傾いている。◆サンズ社の次の狙いは日本?とか。

(3月7日号掲載)

◆国交省では、国土審議会政策部会に「長期展望委員会」を設置、人口減少の進行、急速な高齢化等を踏まえた国土の長期展望を行い、将来的な国土の重要課題について、調査審議を行っていたが「中間とりまとめ」が公表された。◆これによると、日本の総人口は2050年に9515万人と約3300万人減少(約25・5%減少)。65歳以上人口は約1200万人増加するのに対し、生産年齢人口(15〜64歳)は約3500万人、若年人口(0〜14歳)は約900万人減少する\としている。◆また、全国を1平方`毎の地点でみると、全国的な人口減少率を上回って人口が減少する(人口が疎になる)地点が多数。特に人口が半分以下になる地点が現在の居住地域の6割以上を占めるという。さらに、規模が10万人以下の市区町村では、平均の人口減少率が全国平均を上回る市区町村が多く、特に現在人口6000〜1万人の市区町村では、人口がおよそ半分に減少するとしている。◆今更驚かないが、「夫婦と子」世帯が少数派となり、高齢者単独世帯数が主流を占めるようになるなど、これまで経験したことがない新たな現象が進行する事は間違いなさそうだ。人口が少ない県において将来1人当たりの維持管理・更新費が大きくなり、費用の確保、効率的な維持管理・更新の方策などの検討が必要となる。◆やはり、子どもは国民の宝であり、後手に回ってはいけない。

(3月3日号掲載)

◆山をくり抜いて地下空洞を造り、岩盤そのものを構造体にした美術館。そんな試みが20世紀末、飛島建設の手によって行われた。◆岐阜県高山市の『高山祭りミュージアム』は、直径40・5m、高さ20mのドーム状展示ホール。日本でも珍しいNATM、ロックアンカー+吹付けコンクリート造のシングルシェル構造。人工地下空間としては日本最大級、不特定多数の人々が利用する岩盤内の施設としては国内初の“建築物”となった。◆また、東京湾アクアライン、青函トンネルと並んで日本三大地下空間に選出されている。◆ミュージアムの入口からアプローチトンネルを通って70mほど進むと、地中ドームに到着。入ってすぐに、巨大な屋台が展示されている。そこには、彫刻、緞帳、金物、漆塗りや、からくり人形など匠の技を結集。◆施主は飛騨の富豪、飛騨庭石社長の中田金太氏。小学生の頃から丁稚奉公で苦労を重ねた立志伝中の人で、社会に感謝したいという思いから、高山ランドを設立し、世界の昆虫館や茶の湯の森など、100億以上の費用を投じてプロジェクトを推し進めた。

(2月24日号掲載)

◆11年連続で低下している設計労務単価。公共工事設計労務単価は、公共工事の発注金額を計算する基であり、建設工事に必要な様々な技術・技能によって細かく決められている。しかし、労働者に実際に支払われる賃金は、この労務単価とは大きくかけ離れ低く抑えられており、また、労働者でありながら「一人親方」として働かざるを得ない実態もある。◆民主党国土交通部門会議の建設技能者賃金対策ワーキングチームは、23年度の公共工事設計労務単価に関する提言をまとめ、同省政務三役に提出した。提言では、労務単価が「市場価格」だけに重点を置いたシステムであり、建設技能労働者の賃金低下を招く一因になっていると指摘。予定価格の設定方法を規定する会計法予決令に、労務単価の上値補正が行える規定を追加することを検討するよう求めている。◆首都圏がそれほど変わっていないのに比べ、本県の単価は年々下がってきている。建設業の状況が厳しいため、実勢単価が下がっているのは事実だが、それをまた、積算単価に反映させると、さらに低下に拍車を掛けることになってしまう。負のスパイラルともいうべき状況。これを断ち切る改善策となるか、期待したいのだが?

(2月21日号掲載)

◆山口県は、県道のガードレールが県特産の「夏みかん」のオレンジ色。◆昭和38年の山口国体が開催されるにあたって、当時の県知事のもと、ガードレールを山口県特産の夏みかんの色に塗り替えることが提案されたといわれ、現在でも山口県管理の道路は黄色のガードレールが標準となっている。◆因みに、夏みかんを日本で最初に経済栽培したのが山口県萩市だそうだ。◆ガードレールの標準色は、『景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン』が平成16年3月に策定され、防護柵の設置基準が「白を標準とする」から「良好な景観形成に配慮した適切な色彩とする」と改訂された。そのため、グレーベージュやダークブラウンのガードレールが全国的に多くなってきている。◆一方、長野県は平成15年度に自治体としては全国で初めて、木製ガードレールの開発に着手。3タイプを「信州型木製ガードレール」として認定し、さっそく県内各地で使用を開始している。◆本県は標準色の白が殆どだが、降雪、霧が発生した状況などでは見分けがつきにくい。景観にもマッチし安全な「山形の色」を考えても。

(2月17日号掲載)

◆山形県の「母なる川」と言われる最上川。広き野を 流れゆけども 最上川 最上川 海に入るまで 濁らざりけり 濁らざりけり。これは県民の歌ですが、作詞者は昭和天皇。◆和歌の中に最上川が最初に出てくるのは『古今和歌集』。最上川は古くから多くの歌に詠まれているが、歌枕として詠まれているものがほとんどで、最上川を見て詠んだものではないとされている。しかし、遠い出羽の地に思いを馳せながら、実に多くの人々に詠まれていた。その風景の美しさは全国に伝わっていたことが伺える。古今和歌集、義経記、おくのほそ道の時代から、時は遙かに移っても、流れ続ける最上川は、文学や芸術のモチーフとして変わらぬ素材を与えてくれている。◆一方、世界三大舟歌と言えばボルガの舟歌、ローレライと最上川舟歌。◆また、全国唯一の水駅などが置かれ、母なる河は古代においても他にかえがえたい貴重な連絡路であった。◆最上川の名前の由来についてはいろいろな説がある。和名類聚抄には「毛賀美」と書かれており、珍しい岩石の多いところという意味。また、アイヌ語で「もがみ」は静かなる神を意味。その他には「モモカミ」と呼ばれたことから等々。◆『世界遺産』は残念だったが、「誇り」にできるのでは。

(2月10・14日合併号掲載)

◆日本列島は大寒波に覆われ、前代未聞の大豪雪。大寒波の猛威は、その後も弱まるどころか勢力を増大し、従来は積雪とは縁の薄かった九州、四国までが積雪に見舞われ、都市交通機能は麻痺した。◆道路管理者の道路維持管理体制だが、露骨な建設業壊滅政策により、22年度予算はおよそ19%、23年度予算案では実質20%に届く予算カット。現場対策に当たる各部所が、いかに躍起となったところで追いつかないのは無理からぬところ。◆マスコミも美味しいところには群がり、弱った獲物は集中的に排斥する。その効果はてき面。◆一方、除雪機械の保有維持について、民間請負業者においては、今の経済状況で体力低下が著しいことから、また自治体においては逼迫した財政事情から、双方共に機械の自前保有が困難となる傾向が増大。さらに、機械オペレーターは、高齢化が進展し、深夜労働等から若者に敬遠され、熟練労働力の確保が困難となり、建設業の厳しい経済環境により、地域によっては民間請負業者の撤退も懸念されている。◆このため、新たな体制を検討する必要がある。

(2月7日号掲載)

◆記録的な豪雪となり、雪害がクローズアップされているが、松岡俊三生誕130周年記念展が新庄市の『雪の里情報館』で開催されている。◆松岡俊三は楯岡出身の国会議員。大正15年の冬、肺炎になり山形の済生館に入院。病室にいると、次々と子供が運ばれてくるのが聞こえ、そして若い母親のすすり泣く声が聞こえる。その惨状の原因はなんだと考え、そして叫んだ。「それは、この長い寒い冬のせいだ、雪のせいだ!」と。◆それから、リュックサック一つで飛び回る。昭和5年11月から半年だけで訴えてきた講演の回数は83回。雪国の暮らしを自分の足で調査し、積雪地と雪のない地方との比較、雪害の実態について訴え歩いた。そして東北の不平等を主張し「雪害調査機関設置に関する建議案」を国会に提出可決。続いて、税制上の措置など雪害に対する救済措置がなされるようになった。◆浅草浅草寺の大わらじは村山市の奉賛会が奉納しているが、そもそも昭和16年、松岡俊三が雪害問題が解決したお礼に奉納するようにしたのが始まりとされている。◆郷土の発展に命をかける政治家を持ったことを誇りに思う。

(2月3日号掲載)

◆故白洲次郎が東北電力会長時代に、建てた別荘が蔵王温泉に残っている。上の台ゲレンデに向かい坂道を上ると、木造2階建て延べ約70平方bの白壁に黒い三角屋根、灰色の煙突の山小屋が姿を現す。今は、所有者が替わり内部は公開されていない。住まいとしては「武相荘」が有名だが、この別荘も白洲の人柄を偲ばせる。2階が玄関という斬新な造りで、外階段を上がると木のドア。別荘名はヒュッテヤレン。◆県と蔵王温泉観光協会では、案内看板、ベンチを設置、道路から建物に通じる坂道に階段を整備した。道路に面した看板には白洲氏が蔵王のゲレンデに立つ写真を添えている。◆「日本一カッコいい男」と呼ばれ、「敗戦」「占領」から「独立」と激動の昭和史を駆け抜けた一人の「侍」。東北電力会長時代は、ゴム長を履きレンジ・ローバーを運転、各地のダム建設現場を回り、土産持参で飯場に泊まり込んで土木作業員やその家族と親しく酒を酌み交わしたという。◆サンフランシスコ講和会議に主席全権顧問として出席した際、受諾演説の草稿を全文日本語による毛筆で書き直させた。◆一人の人間でも歴史は変わる。

(1月31日号掲載)

◆新年がスタートして早一ヶ月。正月休みの余韻を楽しむ暇もなく、慌しく毎日が過ぎ去る。◆実は、小さなしめ飾りをつけている車が見あたらなくなった。1年間の無事故への祈りを込め、安全運転で走ることを心に誓うものだが、様変わりしている。◆また、おせち料理も、手作りのものが少なくなり、店やインターネットで購入する家庭が増えているようだ。こちらも様変わりしている。◆一方、家に表札を出すのは常識だと思っていたが、現実にはそうでない。様変わりしている。時代の流れといえばそれまでだが。◆もともと日本人は農耕民族。自然と共存し、そこから受ける恩恵に感謝の念をもちながら、その土地土地の伝統と文化を育んできた。◆現代は急速な進歩を遂げ、どんどん便利な生活になってきている。と同時に、人と人とのかかわりが希薄になってきた。こんな時代だからこそ、もう一度日本人としてそれぞれが生まれ育った地域の伝統を学び直し、受け継いでいくことが大切。その意味で、たくさんの伝統行事が行われる年末年始は絶好の機会かと思う。

(1月27日号掲載)

◆今シーズンは、1911年1月12日オーストリアの軍人レルヒ少佐が現在の上越市において、日本で初めてスキーの指導をしてから100年。山形蔵王温泉スキー場では、「日本スキー発祥100周年委員会」の企画に呼応したイベントを予定している。◆ノルウェーで生まれた近代スキーだが、スキー導入には軍事的要因が強く、1902年に約200人が凍死する大惨事となった「八甲田山雪中行軍遭難事件」が起きると、ノルウェー国王から明治天皇にスキー板が贈られた。◆蔵王温泉スキー場は、温泉街と共に発展、単独のスキー場としては日本最大の面積を誇り、変化に富むコースが数多くあり、日本スキーのメッカ。最上部の樹氷原コースでは樹氷が見られることで世界的に有名である。◆しかし、近年はレジャーの多様化、温暖化、不景気もあってスキー離れが進行。スキー場にとって“冬の時代”。◆関係者は子ども層の取り込みを狙う。これは家族連れが期待でき、将来の顧客になるからだが、外国製の競技型スキー道具が多く、子どもの用途に合ったスキー道具が手に入りにくく高額。国産や地場産の安いスキー道具がもっと普及すれば、よい効果があると思うが。

(1月24日号掲載)

◆久しぶりに明るいニュースが昨年末に発表された。1g50円以下で石油を作れる藻類が発見された。筑波大の渡邉信教授、彼谷邦光特任教授らの研究チームは工業利用に向けて特許を申請している。◆将来は燃料油としての利用が期待され、資源小国の日本にとって朗報となりそうだ。◆渡邉信教授は「大規模なプラントで大量培養すれば、自動車の燃料用に1リットル50円以下で供給できるようになるだろう。10年先位を目処に実用化にこぎ着けたい」と話している。▼近い将来、藻類でガソリンの代替燃料が生成できるようになったら、現在の石油を取り巻く世界が一変する。◆国内の耕作放棄地などを利用して生産施設を約2万fにすれば、日本の石油輸入量に匹敵する生産量になる│としている。また、この藻類は水中の有機物を吸収して増殖するため、生活排水などを浄化しながら油を生産するプラントをつくる一石二鳥の構想もある。◆食糧需要と競合し、森林破壊などが生じるバイオエタノールの新たな問題も解決する。

(1月20日号掲載)

◆世知辛いニュースが多すぎるご時勢だが、「伊達直人」を名乗る差出人からの文房具やランドセルなどの寄付が相次いで届けられ、善意の連鎖が止まらない。決して人間の本質である“思いやり”はなくなってはいないとホッとする。◆子供達に何かしてあげたかったけど、どうしたらイイか分からない。どうすればきちんと受け取ってくれるのか分からなかった。そんな人達が「これなら受け取って貰える」と、一斉に堰を切った。◆全国各地でタイガーマスクからのプレゼントが相次いでいるが、新庄市の児童養護施設「双葉荘」にも、「みんなで食べてください。強くなってね」と田舎「伊達直人」を名乗る人物から米150`とねぎ20本、白菜11個、現金1万円が届けられた。自分が出来る範囲の“気持ち”が一番嬉しい。◆♪白い〜マットの〜ジャ〜ングルに〜♪1960年代後半から70年代にかけて少年たちを魅了したアニメ「タイガーマスク」の主題歌。孤児院育ちの伊達直人が、悪役レスラー養成機関「虎の穴」にスカウト、日本人初の悪役レスラー「タイガーマスク」となるところから物語はスタート。ファイトマネーの半分を虎の穴に、素性を隠しながら残りを育った孤児院に寄付する物語。

(1月13・17日合併号掲載)

◆有紀(福島県会津若松市、橋本保社長)の電源不要の自動ドア「オートドオZero」が注目されている。電気工事費、ランニング電気コストが一切不要、立ち止まってもはさまれない、ゆっくり通っても、確実に開く、電磁波を一切出さない、漏電、感電の可能性がない、メンテナンスフリーなどの点が評価され、病院や福祉施設、半導体工場などから問い合わせが相次ぐ。◆昨年2月に商標登録・特許を取得、東山温泉駅バスターミナル、東名高速道路・浜名湖サービスエリアに採用されている。◆ドア前に人が立つと体重が踏み板にかかり、てこの原理でドアが開閉する仕組みで、ドアの開閉速度も毎秒0・2〜0・4bとゆっくり。価格は従来の2割増程度。◆また、地元の会津桐を育てることからはじめ、新たな桐製品の展開を図っており、桐材による木製防火ドア(20分耐火試験に合格し、現在大臣認定申請中)や木製サッシなどの製品バリエーションも揃えている。◆橋本社長は、桐不燃材としての認定も取得し、更に防火ドアの試験にも合格した。これからも、町・地元・県などと一緒に地域産業の振興を図っていきたい−としている。

(12月20日号掲載)

◆総務省の統計および「国立社会保障・人口問題研究所」が作成した推計によると、人口のピークは2004年12月の1億2783万人。その後は年々減り続け、2009年で1億2751万人。これが2030年には1億1522万人、2050年にはついに1億人を切り、2070年代に日本の人口は7000万人を割ると推計されている。◆現在の山形県の人口は117万人で、25年後には92万人に。隣の秋田県は109万人から78万人。何と鳥取県は59万人から49万人。数十万人単位で人口が減っていく。◆病院、銀行、ガソリンスタンドも、交通手段もない町。たとえば、普段何の気なしに使っているインフラも、「当たり前」のものではなくなっているかもしれない。水道もそのひとつだ。水道業界では漏水や濁水で「2040年問題」が首をもたげている。◆ハウスメーカーをみると、住宅を買う層の中心は30〜44歳で、現状、新築物件の約半分はこの層が買っている。しかし、この層は今後10年のうちに15%減少すると予測されている。従来どおりの営業をやっていたのでは、ジリ貧になるのは確実。福島県の建設業者は東京にシフト、拠点を移した。

(12月16日号掲載)

◆尾花沢市出身で「なでしこジャパン」の佐々木則夫監督は、既に北京五輪で4強入りを果たし、アジアの女王に。その視線はさらに上を見据え「世界一」を。◆国際サッカー連盟(FIFA)は10月末に、今年の世界年間最優秀賞4部門の候補者を発表し、佐々木監督らをノミネートした。男子の候補には、メッシ、シャビ、イニエスタ、ロナルド、フォルランら23人が名を連ねている。来年1月10日に受賞者が決まる。期待大と思っている。◆一方、来年6月26日に開幕するサッカー女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会の1次リーグ組み合わせが決まった。6大会連続出場となる日本はイングランド、メキシコ、ニュージーランドと同じB組に入り、各組上位2チームによる準々決勝進出を目指す。決勝戦は7月17日に行われる。◆佐々木監督体制となって約3年。海外でプレーする選手が増えるなど、現在の日本は充実している。◆佐々木監督のビジョンは、派手さはなくとも、ひたむきに、明るく、協調性のある「なでしこの花」のように日本らしいサッカー。海外遠征での『礼儀正さ!』に驚かれる。

(12月13日号掲載)

◆「日本人は妖精の子孫」。かつて明治時代に日本をこよなく愛した小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーンの言葉である。これほどに純朴で心の美しい人たちは、きっと妖精の子孫に違いないと彼は言った。また、初めて日本の土を踏んだハーンは、「小さな妖精の国c人も物も、みな小さく風変わりで神秘をたたえている。この日の朝がことのほか愉しく感じられたのは、人々のまなざしが異常なほどやさしく思われたせいであろう。不快なものが何もない」と。◆ギリシアとアイルランドの古代神話に囲まれ育ち、その後は異郷をめぐった経歴をもつ。近代の繁栄に酔いつつあったアメリカを捨てて日本の松江に落ち着き、その数年後には明治37年に急逝するまで東京牛込に住んだ。◆最近、悪い事件多いよねと皆、口をそろえて言う。「怖い」ねって。犯罪者は「なぜこの人を」と問えば、「ただ金が欲しかった、別に誰でもよかった」と顔色一つ変えずに言う。◆日本一の石倉オープンセットを目指す宇生社長は「庄内は日本人の心の残る最後の場所」と言う。庄内には、「私」ではなく「公」のために尽くしている人が多いと。もしかしたら、ハーンの言う「小さな妖精の国」?

(12月9日号掲載)

◆大学から「土木」が消える?今や「絶滅危惧種」との声も。◆日本の土木系大学が大きな転換期を迎え、この10年ほどの間で学科名を「土木工学科」から「社会基盤工学科」や「環境建設工学科」などに変更する大学が急増。土木系学科を持つ大学のうち、学科名に「土木」の文字が付くものは既に1割ほどに減っており、日本の高等教育機関から土木の名称が消えつつある。◆土木学会発行の「2007年版全国土木系教員名簿」に掲載されているのは約130大学。これに短大、高専を加え、日本には約160の土木系高等教育機関がある。このうち、土木の2文字が付いているのは20校に満たない。◆受験生に良い印象を与え、学問的な役割の広がりに対応するためなどの理由で、「土木」の文字を学科名称から廃し、代わりに社会、都市、環境などの文字を入れる動きが、全国的に進んでいる。◆「土木」は「築土構木」から来た由緒ある語彙だ。建設産業は土木の重要性を国民に理解してもらうために、日々地道な努力で「負のイメージ」を払拭していくしかない。

(12月6日号掲載)

◆最近耳にする言葉でコーポラティブハウスがある。入居希望者が集まり組合を結成し、その組合が事業主となって、土地取得から設計者や建設業者の手配まで、建設行為の全てを行う集合住宅のこと。コーポラティブ住宅、コープ住宅とも呼ばれるている。◆利点はというと、メーカーが設計した住宅よりも設計の自由度が大きい。設計を決めていくプロセスで居住者のコミュニティが必然的に形成される為、誰が隣に住んでいるのかわからないという不安が無いなど。欠点はというと、建て売り住宅やマンションを購入するよりも遙かに手間がかかる。マンション型の場合は確実に割高になる。物件を転売する際には安い値段でしか売れないことが多いなど。◆デメリットや問題点を軽視し、いいところだけが強調される傾向にあるのも事実らしい。◆また、同じ仕組みだが、建物を支える構造躯体を分譲、住宅の間取りや内装は購入者が自由に決められる方式の「スケルトン方式住宅」もある。◆ヨーロッパでは2世紀にわたる歴史があり、旧西ドイツで約100万戸、スウェーデンでは約50万戸の実績があるというというが、山形ではどうだろう。

(12月2日号掲載)

◆「高品質低価格のMOX燃料を製造する世界一の工場を造ろう」と国内で初めて一般の原発用のプルトニウム燃料工場が青森県六ケ所村で着工した。建設費約1900億円で平成28年3月の完成を目指している。◆今回、認可を受けたのは加工施設と粉末やペレット一時保管などの設備。工場は地上2階、地下3階建てで、使用済み核燃料再処理工場の南側に建設される。最大加工能力はウランとプルトニウム合計で年間130トンとなる。沸騰水型軽水炉用の燃料集合体にして約1000本が生産可能で、青森県内消費電力の約5年分に相当するという。◆プルサーマルは既に九州電力の玄海原発(佐賀県)を皮切りに、四国電力の伊方原発(愛媛県)及び東京電力・福島第1原発で営業が始まっているが、使用しているのはいずれも海外で造られたMOX燃料だ。六ケ所村の工場着工は燃料国産化への第一歩を踏みだしたもので、平和利用に徹する姿勢を国際社会にアピールする。◆しかし、国は安全性は確保できるとしているが、プルトニウムはウランよりも放射能が10万倍強いため、安全性が気になる。周辺住民や作業員の被ばく対策などが極めて重要だ。

(11月25・29日合併号掲載)

◆一代の規格外宮大工が78歳で他界した。“ダイフミ(大工の文)さん”などの愛称で呼ばれていた田中文男さんだ。磯崎新さんを「いそ」とよぶ怪物大工。◆14歳で大工の修行を始め、東大の研究室にも足を運んで建築学をも習得したため「学者棟梁」とも呼ばれ、時代に沿って変化する建物の構造を調べ、学問として体系化した。◆佐賀県の吉野ケ里遺跡・北内郭の“めり込み設計式”による構造設計を行った建築群を「復元」したほか、「泉福寺薬師堂」(千葉県)など多くの国指定重要文化財の修復に携わり、日本伝統の木造建築の継承に貢献した。◆実務者として体得した伝統構法に対する深い知見と技術に多くの建築家が助けられ、影響を受けた。◆今でこそ、地球温暖化防止で間伐など山の手入れを重視するが、その重要性を20年以上前に実感、住宅建築に間伐材を使った。◆亡くなる直前、家族に「日本の政治、経済、社会のすべてを憂えている」と話したという。弟子には「時間が欲しかったら、一度でやれ」「世の中変わるから、教わったことだけで食えると思ったら違うぞ」・と。

(11月22日号掲載)

◆公共工事において、請負者が倒産した場合のリスクを回避するためのボンド制度の整備が進んでいる。◆わが国では長い間、工事完成保証人がこれを代替してきた。ところが、公共工事の受注をめぐる不祥事などから、中建審が履行保証制度の見直しを求め、これを受けて工事完成保証人制度に代わる新たな履行保証体系を示し、その中で履行ボンドの導入を打ち出した。◆この制度の採用によって、健全な経営を行っている企業を適切に評価し、ダンピングを繰り返す企業は与信されないため、ダンピング受注に対する一定の抑止などの効果が期待できるとしている。◆入札ボンドの導入・拡大に向けた国交省の取り組みを踏まえ、青森、岩手、宮城、埼玉、福井、滋賀、兵庫、奈良、徳島の9県が既に導入。本年度以降の導入を検討している団体が1県、他の発注機関の動向を踏まえて検討または導入を予定している団体も34団体あり、導入予定のない団体は3団体にとどまった。◆また、元請企業が倒産したときの下請代金債権保全策として支払ボンド、信託方式の検討が進められており、23年度にも試行される見通しだ。

(11月18日号掲載)

◆今年4月に仙台国際ホテルで東北州政治家連盟が結成。東北6県の地方議員が、道州制の実現を目指し、超党派で「東北州政治家連盟」を設立。◆明治維新は、南からだが、平成維新は北からという熱さ。◆この「仮想東北州」構想推進者は「地域主権型道州制国民協議会」の村橋孝嶺理事長。また、副代表には本県真室川町議の小松伸也氏、連盟事務局長には佐藤丈晴氏(酒田市議)が座った。◆今日の日本を憂い、このままの中央集権体制の日本では、もう、衰退するばかり。自分で出来ることを、命賭けて取り組む−と訴える。◆11月6日の仙台国際ホテルでの東北州政治家連盟研修会では、村井嘉浩宮城県知事が講師に招かれ地域主権型道州制の実現をテーマに基調講演、「国からの大幅な権限移譲を伴う道州制が必要」と訴えた。今後は、東北州が取り組む政策の検討を始め、来年4月の統一地方選前に中間報告を行う。◆しかし、時間軸の中で「生みの親」など多数が特定政党の色が付き、またもや結束に亀裂が生じなければよいが。また、県知事主導の広域連携も進む。

(11月15日号掲載)

◆国土交通省は、地域建設業などを対象とした海外展開支援アドバイザー事業をスタートした。海外展開に意欲がある建設業者を対象として、海外での現地法人設立や営業活動、契約制度などに関する無料相談を来年3月24日まで受け付ける。相談には、海外プロジェクトに詳しい弁護士や中小企業診断士などが対応する。◆この事業は、海外事業の経験が乏しい地方・中小建設業者(専門工事業者を含む)が海外展開への第一歩を踏み出すことを支援するのが狙い。しかし、今月から始まる「海外展開セミナー」は福岡、高松、名古屋、大阪、東京だけ。◆早速、隣県の福島県郡山市に本社を有する陰山建設(陰山正弘社長)が中国のマンション系内装工事の技術指導に乗り出し、建設業界から注目されている。◆遅れている中国の建築技術をレベルアップするためのもので、10月から上海に有資格者を派遣し、塾などの形式で指導している。◆建設業の新分野進出が促進される中で、同社の取り組みは、新分野開拓に拍車がかかるかどうか注目して見ていきたい。◆しかし、中国進出後の現地でのトラブルや経営的にダメージを受ける例などもあり、そう生やさしいものではなさそうだ。

(11月11日号掲載)

◆就職活動の「就活」、結婚するための活動の「婚活」が言葉として定着しているが、これからの時代、終末期をどう過ごすか考え準備する「終活」が注目されている。自分の老い方、死後の諸問題を元気なうちに考えましょう、という風潮が高まってきたもの。◆長い間、自分の死や葬儀を「事前に考えておく」ということはタブー視されてきた。しかし近年、少子高齢化や核家族化、地域社会の崩壊等により、死を他人任せに出来ない時代になってきたという事なのだろう。◆映画「おくりびと」や「千の風になって」等の大ヒットにより、今まで「縁起でもない」と言って考えることすら忌み嫌われていた葬儀や墓という葬送分野にも「元気なうちから準備しておかなければ」と考える人が徐々に増えてきている。◆また、自分の最期を他人任せではなく、自分でデザインする時代と言うことで、「エンディングノート」が売れている。万一の時に備えて、自分や家族が困らないための「メッセージ」として残しておくものだ。◆今後も、「終活」のニーズに応え商品は今後ますます増える傾向にある。これはいろんな意味で、高齢化社会における「老い方」というものを考える時代になったという事なのか。

(11月8日号掲載)

◆黄金比(1:1・618…)をもつ長方形は古くから、もっとも調和のとれた長方形といわれている。古代ギリシアの建造物や美術・工芸品には、黄金比や黄金比長方形に近似する比や形をもつものが見受けられる。アテネのパルテノン神殿の輪郭は黄金比長方形に近い。また、レオナルド・ダ・ビンチは黄金比の長方形を活用して絵を描いたともいわれている。身近には名刺、キャッシュカード、タバコのパッケージは、ほぼ縦横比が1・6。卵ひとつとっても、その形状は黄金分割でできているのだそうだ。◆そして、黄金分割で家を建てたのがル・コルビュジェ。彼はモジュロール+ヒューマンスケールの寸法尺を考案した。マルセイユのアパートはバランスがよく、古さを感じさせない記念碑的な建築と讃えられている。◆しかし、日本人は黄金比よりも白銀比(1:1・414…)が好まれているという。わが国の仏教寺院建築、たとえば法隆寺は白銀比長方形の区画の上に建てられている。黄金比は西洋人に愛され、白銀比は東洋人に好まれる形といわれる。アンパンマンとハローキティも白銀比らしい。◆しかし、フィボナッチのウサギなど、難しい数列が絡んでくると、頭の中が真っ白になる。

(11月4日号掲載)

◆県の調査によると、地球温暖化の原因の二酸化炭素など温室効果ガス20年度県内総排出量は972・8万dで、19年度より30・1万dと3%減少したことが分かった。しかし、京都議定書基準年度の総排出量825・3万dと比べ147・5万d、17・9%増加している。◆県内の二酸化炭素総排出量は3年連続で減少したものの、県の目標基準年度比7%削減となる22年度767万d達成までは、新エネ・省エネ対策41万d、森林吸収源対策165万dの合計206万dの削減が求められる。県は排出量削減対策の取組みを強化すれば目標に近づくと話している。◆東京大学のスーパーコンピューター「地球シミュレータ」を用いた2100年までの気候変化を予測した結果、日本の夏の日平均気温は4・2℃上昇し、真夏日の日数も約70日増加、日本の夏の降水量は約20%増加し、大雨の頻度も増加すると予測。この気温変化は既に生態系に影響を及ぼし始めている。◆私たちにできることと言えば、当たり前であるが、生活の中でできるかぎり資源・エネルギーの無駄使いを排除し、再利用やリサイクルを推進していくことが、循環型社会を構築し地球温暖化を防止する基本となる。

(11月1日号掲載)

◆ちょっと前になるが、全国紙の見出しに「86日間連日就労、清掃車で追突死亡」とあった。◆労基署は、清掃業者と同社社長2人を労働基準法違反容疑で書類送検した。容疑となった4週間を含め86日間、休日なしで働いていたという。◆一方、12年連続で自殺者が3万人を超え、追い打ちをかけるように「死にたい」との失業者は8割近くいるとの統計もある。◆過労や、職場のいじめなどで心を病んで自殺し、20年度に労災認定された人は66人、うつ病などの精神疾患になって労災認定を受けた人は269人、3年連続で増えて過去最多となった。◆だが、労災が認定されるのは氷山の一角。長時間労働による過労やいじめ、ストレス、深夜労働など働く環境が自殺につながり、特に若年者の過労自殺が急増している。◆厚生労働省は重い腰を上げ今年4月1日、ガイドラインを改正した。しかし、みんなに迷惑がかかる、後で多忙になる、職場の取りづらい雰囲気など、強制力のないガイドラインで有休取得が増えるかは疑問符が付く。過重労働を防止するには、もっともっと強制力が必要では。

(10月28日号掲載)

◆今後ますます公共工事の減少が予想されるなかで、公共工事に依存してきた建設企業では、そのランク維持のため経営事項審査の重要性は増すことになる。◆わが国では、公共工事の発注において、競争入札の応募者を事前に選別し、経営状態が健全とみなされる建設会社にのみ入札を認める制度が採用されている。「経営事項審査」により建設業者の総合評点を決め、この総合評点によって取引相手を篩にかけて選別している。◆経営事項審査において、財務的に健全かどうかだけでなく、有資格者の技術職員数、工事安全実績、労働福祉実績なども考慮される。◆しかし、会計数値が総合評点にリンクし、この総合評点が入札資格にリンクしているのである。◆経営事項審査では売上高のウェートが高く、この篩い落としのメカニズムが建設会社を売上至上主義に駆り立て、少しでも売上数値を多くみせようとする。◆一方、全国的な公共工事発注金額は前年度に比較して減少しているにもかかわらず、経営事項審査に記入されている公共工事の請負金額の全会社の合計金額はかわっていないという現状がある。何故、このような結果になるのか。

(10月25日号掲載)

◆世界の自動車や数多くの工業デザインを手がける奥山清行氏がデザイン、100人乗っても大丈夫でおなじみの物置で有名なイナバが製作した『Xair』チェアが注目されている。◆奥山氏とイナバの職人が2年以上の期間をかけて「ものづくり」にこだわり、クルマの開発思想から生まれたという大変美しいチェア。チェアの背後にあるXフレームが元に「あたかも椅子が体を空中で支えているような働きをする」という。◆ランバーサポートをエアで送り込んだり、座のスライドを座の横で操作したり。今までの車では当たり前の発想がなぜかオフィスチェアにはなかった新しい発見。高級車のプレミアムシートの心地よさをオフィスで体感できる。◆長時間座っていても疲れず、またクリエイティビティを刺激するデザインという特長から、ハーマンミラーのアーロンチェアを使っているエンジニアやクリエイターはかなり多いが、価格帯もほぼ同じで、そのアーロンチェアのライバルとなり得るのでは。◆Xairは山形市の御殿堰ショップで、両方揃っては天童木工で体験できる。

(10月21日号掲載)

◆実りの秋。新米や野菜が食卓を賑わせ、様々な料理を日常において味わえる日本社会だが、日本の食料自給率の低さや輸入食品も含めた「食の安全」の問題が取り沙汰され、消費者の「国産回帰」の傾向が鮮明なものに。◆若者が農家を捨てて都会へ出て農村の高齢化が進む。ますます農業が弱くなり、悪循環が政府の過剰な保護政策によって起きている。日本の農業は長年、多額の補助金が投入、関税等で外国産品から守られてきたが、競争力は低下するばかり。◆政党は農家を選挙の票田としてしか考えない。耳障りのいいことしか言わず、国としてのあるべき農業政策を打ち出してこなかった。◆製造業は、世界企業との競争の中で、常に市場や顧客を意識し、自己変革している。農業では、こうした緊張感が皆無。◆そんな中で注目されているのが農業ファンドの設立。イトーヨーカ堂が、地域直営の農場経営に乗り出し、三井物産はブラジルの農場に出資、クボタも進出している。◆食糧不足や価格高騰はあったが、カネさえ出せばどこかから必ず手に入るというのがこれまでの常識。しかし、そんな日本の常識が通じなくなってきた。各国が禁輸措置を打ち出すなど、調達自体が困難になり始めている。

(10月18日号掲載)

◆茨城県住宅供給公社は9月28日水戸地裁へ自己破産を申請した。全国で51ある地方住宅供給公社の破産処理は今回が初めてで、第三セクターでは今年最大の倒産。住宅公社をめぐっては、青森、秋田、岩手、福島、富山、岡山の6県は自主整理して解散。神奈川県では民間への移行が決まっている。◆同公社は、高度経済成長を背景に、ピーク時には約154億余の事業収益を計上。しかし、諸々の借入金がピーク時に800億円を超え、金利負担が経営を圧迫。事業収益は漸減の一途を辿り、平成17年度決算で債務超過に。そのため県は平成18年度に向こう10年間のうちに保有土地を全部売却して平成27年度に自主解散する支援策を打ち出したが、もはや遅く、今年9月28日の公社理事会で破産方針を決議し今回の申請に至った。◆殆ど戦後の住宅難は解消され、全国的には空き家が総住宅戸数の1割、500万戸以上あるという統計がある。◆各自治体は財政難の折、地方自治体における天下り先の団体の改廃を急ぐべきでは。県民の血税が尻ぬぐいでは済まされない。

(10月11・14日合併号掲載)

◆島根県安来市の足立美術館は年間50万人の入館者を誇る庭園美術館(横山大観、平山郁夫、北大路魯山人、林義雄等)。米国の日本庭園専門誌が今年の日本庭園ランキングを発表、同館の庭園を初回から8年連続で「庭園日本一」に選んだ。2位に桂離宮、3位養浩館、4位栗林公園、5位無鄰菴。◆このランキングは、日・米・豪の専門家たちが全国800ヶ所以上の名所旧跡を対象に、庭そのものの質、建物との調和などを総合的に判断し順位がつけられる。◆手入れをするアカマツは約800本。京都・倉吉から延べ200人役の応援。松は館内から見て近いところのものほど手間をかけ、素手で古葉を摘む。仕上げに、小さな竹箒を手に、松の幹を力強く擦っていく。その下から幹肌のきれいな赤が現れる。◆また、茶室寿楽庵の壁をくりぬいて作られた「生の掛軸」も見逃せない。庭園絵画は、よく見るとあたかも一枚の掛け軸のように見える。主庭の枯山水庭は、日本庭園の作庭で知られる、故中根金作氏によるもの。◆裸一貫で創設者の足立全康が90年の生涯をかけた夢とロマン。自らの人生を“男おしん”と振り返る。◆回遊できないのが残念。

(10月7日号掲載)

◆編集者にとって意外と縁が深いのがタバコ。机に向かってモクモクと作業を続ける仕事だけについタバコの煙もモクモクしてしまう。で、私はというとタバコ大好きである。1日1箱〜1箱半、もう30年近く吸っている。その間に多くの人から禁煙を勧められたが、本人にその気が全くないので当然やめる訳がない。あのタバコのもたらすふくよかな香り、ニコチンとタールがもたらす至高のリラックス。贅沢で豊潤な時間と味わいを楽しんでいる。◆しかし、タバコを吸う以上、マナーにはそれなりに気を使っている。当たり前のことですが。歩きタバコやポイ捨ては絶対にしません。誇り高き愛煙家です。◆現在の世の中では我々愛煙家にとって、とても不自由する事になっている。逆に言えば嫌煙家の皆さんにとっては良い時代になった。これはよい事だと思う。昔から“百害あって一利なし”などと揶揄されるほど喫煙は害が多いらしい。◆話は変わるが、今は本当に贅沢品になった。たしか始めてタバコを吸った頃、セブンスターが120円だった気がする。現在は440円。牛丼、ラーメン、弁当も買えておつりが来る。昔は買えるはずもない。◆10月1日からはコンビニで「わかばを一つください」。価格に勝るサービスは無し。

(10月4日号掲載)

◆国土交通省では、建設技能労働者を取り巻く状況について9月7日の「建設技能労働者の人材確保のあり方に係る検討会」に示した。◆それによると、20年後に建設業就業者数は44%減の278万人にまで落ち込み、同じく建設技能労働者は38%減の212万人減となる。また、建設業就業者は、55歳以上が33%、29歳以下が13%と高齢化が進行しており、次世代への技能継承が大きな課題となっている。◆若年層の入職、離職状況等では、建設業の入職率は低下傾向。特に24歳以下の若年入職者が減少し、その割合は、近年、製造業と比較して、低い傾向にある。◆若手の建設技能労働者が入職しない原因では、断トツが収入の低さ。次いで仕事のきつさ、休日の少なさ、作業環境の厳しさと続く。離職の理由も全く同じ結果となっている。◆以上の結果から、就業者の高齢化、若年入職者の減少が進行。建設産業の持続的な発展を図るためには、将来を担う中核的な建設技能労働者を確保し、次世代への技能承継を図っていくことが喫緊の課題だ。

(9月30日号掲載)

◆くまもとアートポリス(略称:KAP)は、建築や都市計画を通して文化の向上を図ろうというコンセプトで実施されている熊本県の事業で、現在まで約20年もの間続いている。◆当時知事を務めていた細川護煕氏は、西ドイツで開催されていたベルリンIBA(国際建築展、国際建設展覧会)を視察したことにヒントを得て始めた。高度経済成長によって画一的になってしまった日本の町並みを反省し「熊本らしい田園文化圏の創造」を目標として掲げ、後世に残し得る文化を熊本県で実現させることを目指した。◆名称は細川氏とポストモダンの代表的な建築家の磯崎新氏が会談で決定したとされる。◆公共建築は競争入札により設計者を決めるのが常であるのに対し、KAPではその選定についてコミッショナーに全権が与えられる。そのため、著名な建築家への依頼が実現したり、一方で新進気鋭の建築家が公共建築に携わるチャンスが与えられたりと、若手の登竜門的な役割も含めて、国内外から注目される建築デザイン都市となった。◆海外メディアでは「県全体が建築博物館である世界にも類をみない地域」として紹介され、高い評価を受けている。◆地方の主体性と創意工夫、そして、持続で変わる。

(9月23・27日合併号掲載)

◆明治14年の栗子隧道開通から来年で130周年。節目の年であり、旧万世大路を土木遺産に、さらに130周年の催しも実施すべきとの声。◆明治9年、初代山形県令となった三島通庸は山形の発展には中央への交通体系の整備が必要とし、もっとも力を注いだのが米沢・福島間の道路整備。栗子山隧道の開削工事は、エッセール(オランダ出身)の調査測量、米国から最新鋭の蒸気式穿孔機を取り寄せ、東西から掘削された隧道は少しもずれることなく合わさり、測量と設計技術の高さを証明する工事ともなった。明治13年10月19日に貫通、当時日本で最長のトンネル(約870b)。◆翌年10月3日には明治天皇を迎え開通式が行われ、万世の長きにわたって この道路が人々の役に立つようにと「万世大路(ばんせいたいろ)」の名を賜った。◆しかし、13号線栗子峠が完成、その役目を終え、現在は自然の中にひっそりと眠っている。◆当時のトンネル掘削技術を駆使して、日本人技術者たちが自力でつくったトンネルとして、日本土木史において特筆すべき土木遺産。後世に残したいものだ。

(9月20日号掲載)

◆亡くなった井上ひさしさんが寄贈した本を集めた「遅筆堂文庫山形館」北側に「井上ひさし未来館」が、来年5月5日に開館する。隣接する「シベールアリーナ」とあわせ「公益財団法人弦地域文化支援財団」が運営する。◆計画では、左にシベールアリーナ、右に遅筆堂文庫山形館、正面の階段25段を登り切ると未来館の入口となり「井上ひさしの仕事場」と繋がる。新たに書架を開設して蔵書を6万冊に増やし、井上さんの肉声が聞けるブースなどを備えた展示室を設ける。設計は本間利雄氏。館長には井上さんの三女で劇団「こまつ座」社長の麻矢さんが就任する。◆財団の熊谷真一代表理事は、間口一間半のパン屋を始め、シベールを創業。今はジャスダックに上場している。熊谷氏の哲学である「利益が生まれたときはその一部を社会に提供する。それが社会によって生かされてもいる企業の責務。どのような会社であれ一人ぽっちで立っているわけではなく、社会といっしょに生きている。」。井上さんの有名な自戒の言葉「むずかしいことを やさしく やさしいことを ふかく ふかいことを ゆかいに ゆかいなことを まじめに書く」が複合施設を誕生させることになった。

(9月16日号掲載)

◆NHK教育テレビ史上最高記録を達成、有識者間で社会現象化等をもたらした『ハーバード白熱教室』。◆哲学を題材にして、4月から毎週日曜放送され視聴回数が教育テレビでは史上最高を記録するなど、異例のヒットをした。難解なこの番組はなぜヒットをしたのか、その理由は。◆テレビはこれまで平易さ、わかりやすさが求められてきた。テレビ番組へのニーズが多様化する中で、こうした知的刺激に満ちた番組が今こそ求められているのでは。また、ハーバードのブランド、対話型講義の魅力、日本の大衆文化の中での鮮烈さ、政治哲学の新鮮さ等がブレンドされたのが反響の理由では。◆マイケル・サンデル教授のハーヴァード大学公開講義番組は、正義、公正をテーマに、学生に難題を投げかけ議論を引き出し哲学論が進められる。授業がメディアに公開されるのは初。◆ミニョネット号事件。食料が尽きる/見習い船員が衰弱、船長と航海士は1人を食料にしようと考える、船長と航海士が見習いを殺害、3人は遺体を食べ24日目に救出された、船長と航海士は起訴された。道徳的に許されるか?

(9月13日号掲載)

◆山形駅西口のイベントゾーン・芝生ゾーンがもったいない。県の土地は眠ったまま。スタジアム、物産館、文化施設等へとの県民の声も。◆しかし、新県民文化施設については、駅西口地区への建設に向けて検討を重ねてきたが、県の厳しい財政事情から、建設計画は凍結。今後は、厳しい財政状況を脱却したと誰もが判断できるようになった段階で、建設について検討する方針\との県の答え。◆外部監査で、土地の含み損が16億9600万円に上り、年間の機会損失は1億5400万円との意見がなされた。毎年毎年県民の損失が拡大していく。◆県都山形市の山形駅西口の土地は、平成13年2月までに67億5700万円で土地開発基金により先行取得。平成12年3月には新文化施設の基本設計が策定、2000席のオペラハウス風仕様の客席を持つ最新の施設概要案が提示。事業費総額約228億円という大プロジェクトだった。◆現在、マンション・ホテル群が立ち並び、駅の東側と西側を連結する駅環状道路の中央幹線として位置付けられた十日町双葉町線のアンダーが完成すると、駅周辺の流れが変わり、駅の玄関口へと早変わりする可能性が。◆悩むのも結構、決断はなお結構。

(9月9日号掲載)

◆落札率が95%を超えたら談合を疑えとの説があると言われるが、予定価格設定の方法を理解すれば、落札率を談合の判断基準とすることに無理のあることが自ずと分かる。◆そもそも予定価格とは官が積算した見込み価格である。本来的には仮に落札率100%だったとしても、問題はなく、むしろ近似の落札価格のほうが優れた積算能力を発揮しているはずだ。◆今は、大手建設業者を中心にかなり勉強し、国土交通省の歩掛りも公表、パソコンの予定価格算出のソフトも発売されており、95%以上の算出は難しいことではない。◆近年の下級審判例において、落札率が極めて高率であることを根拠に談合が行われたとする判決がいくつかみられる。◆上尾市のごみ焼却施設工事の落札率が100%であったことから、損害賠償を求める住民訴訟が起こされ、 判決は談合の存在を認めた。しかし、東京高等裁判所の控訴審において、談合を証明する証拠がないとして一審判決を破棄した。◆発注者と最も近い価格思想を持った企業が優位になる必要があるのでは。

(9月6日号掲載)

◆南アフリカでのサッカー・ワールドカップ。沸きに沸いた男子日本代表に注目が集まるが、その傍らで女子代表の「なでしこジャパン」の健闘ぶりが目立つ。現在、世界で活躍する選手も多く、世界ランキングは確か5位。◆なでしこジャパンが、今年5月にAFC女子アジアカップで中国を破って見事3位になり、来年ドイツで開催される「FIFA女子ワールドカップドイツ2011」に6年連続で出場する。来年6月16日から7月17日まで開催されるもので、出場国枠は16チーム、組み合わせ抽選は12月2日。その前売りチケットが早くも10月29日に発売される。◆でも、ここに来ても「なでしこジャパン」を取りあげるメディアはさほど多くない。◆女子ワールドカップの初代チャンピオンはアメリカで、ノルウェー、ドイツの名もあがる。日本は第1回大会から第5回大会まですべて出場し、第2回大会で準々決勝進出を果たした。◆女子は、五輪にも年齢制限のないフル代表が参加しているため、男子とは対照的に、W杯より五輪のほうが注目されているのが実情。◆もっと、皆で応援してあげましょう。頑張れ、なでしこジャパン!

(9月2日号掲載)

◆不動産大手の森トラストは8月1日、仙台市青葉区の東北学院中・高跡地で開発を進めてきた複合商業施設「仙台トラストシティ」をグランドオープンした。設計は松田平田設計で、施工は大成建設。県内からは金属・内装工事としてヤマムラ(新庄市)が参加している。◆仙台の新たなランドマークとして誕生した仙台トラストタワーは、仙台が国際都市として発展をしていく為に必要な機能を提供、地上37階・地下2階建て、延べ床面積は約12万5000平米、高さは約180m。札幌市のJRタワーを抜いて北関東以北で最も高いビル。◆ホテルは、東北地方初の外資系高級ホテルのウェスティンホテル仙台。地上110bの天空に浮かぶチャペルを備えている。◆オフィスは仙台最大級の整形無柱フロアの構成で天井高さが2・9mと開放的で高機能執務空間が形成。◆「六本木ヒルズ」の様なオフィスや店舗、居住棟を併せた大規模再開発は、仙台でも成功するかどうか注目が集まっている。

(8月30日号掲載)

◆故井上ひさし氏(本名:井上廈)へ県民栄誉賞が贈呈された。◆同賞は、県民に希望と活力を与える顕著な功績があり、広く県民が敬愛する方に、県民栄誉賞を贈り、その功績を顕彰している。◆過去には第47代横綱の柏戸剛氏(本名‥富樫剛)、作家の藤沢周平氏(本名:小菅留治)、冒険家の大場満郎氏、元プロ野球南海ホークス投手の皆川睦雄氏。◆井上ひさし氏は、昭和9年11月川西町に生まれ、昭和31年上智大学在学中から浅草の劇場の台本を書きはじめ、以来、「ひょっこりひょうたん島」、「手鎖心中」、「吉里吉里人」、「シャンハイムーン」、「太鼓たたいて笛ふいて」など数多くの戯曲や小説の名作を発表。◆その間、直木賞、吉川英治文学賞、菊池寛賞、平成16年には文化功労者、平成21年には日本芸術院会員となるなど、劇作家・作家として長年にわたり多彩に活躍。◆昭和62年には、川西町に「遅筆堂文庫」を開設。平成20年には山形市に「遅筆堂文庫山形館」も開設。昭和63年からは、「生活者大学校」を開校、県内外の多くの若者を対象とした農業・経済・教育などの講座を継続実施した。

(8月26日号掲載)

◆資源としての水が、「青い石油」「青い金」として注目されている。◆「水の惑星」の地球だが、地球上に存在する水の総量のうち、淡水は3%にすぎず、実際に使える水は1%にも満たない。◆水インフラ事業は、気候変動の影響もあって干ばつや洪水に悩まされる国・地域が増えており、流域の治水・利水も重要になってきた。その市場規模は約60兆円。さらに、世界的な水需要の高まりにより、2025年には100兆円に達する。◆日本には高度な技術がある。特に、水をろ過する半透膜は世界最高水準、海水淡水化用では70%以上の世界シェア。しかし、機器・素材の構成比は約1%、プラント建設を入れても10%程度で、9割近くを管理・運営が占める。◆日本では、公共事業として進められてきたこともあって、民間企業の管理・運営経験やノウハウが蓄積されていない。◆有力な方法が、経済産業省の「チーム日本」。水関連技術を持つ機器・素材、エンジニアリング、建設企業に、管理・運営ノウハウを持つ自治体と協調した連携により海外水インフラ案件の受注を目指している。

(8月19・23日合併号掲載)

◆小雪の「山形の夜はハイボール」というCM放映。実は47都道府県で言っているようである。◆ハイボールの陰の仕掛け人は『角瓶』のサントリーだが、実際、周囲でも飲む人が増えてきた気がする。◆つい最近まで、ウイスキーといえばスナックで親父がちびちび飲むもの、というイメージだったが、30代を中心とする若い層のファンが急増している。◆ハイボールは、あらゆる酒をベースに、炭酸系の清涼飲料や水で割った飲みもののこと。一般的には、ウイスキーのソーダ割りを指す。◆おいしく飲むためには、薄いグラスにたっぷりのかちわり氷を入れ冷やし、冷蔵庫で冷やした角瓶を注ぐ、冷やしたソーダを丁寧に入れ、炭酸が逃げてしまわないようマドラーでタテに1回混ぜる、お好みでレモンをピールする。◆驚いたことに、冷えたハイボールを手早く提供できる生ビールサーバーの様な「角ハイボールタワー」が登場したらしい。まだ、見たことはない。◆佐治敬三氏の「東北は熊襲の産地。文化的程度も極めて低い」との発言で不買運動。遠い昔かな。

(8月12日号掲載)

◆東北挙げて夏祭りの季節。この時ほど熱く「故郷」を意識する時はない。◆「東北三大祭り」は昭和33年に国鉄が青森ねぶた・秋田竿燈・仙台七夕の3つを「東北三大まつり」として周遊券を発売。しかし日程が複数観ることが困難だったため、昭和37年からは「竿燈・ねぶた・七夕」の順で巡るツアーが組まれるようになり、首都圏で人気の観光商品となった。◆その後、山形市の花笠まつりを加え「東北四大(夏)祭り」と一般的に呼ばれてきた。◆東北は五穀豊穣を願う夏祭りや農民芸能が現在に至るまで引き継がれており、数多くの夏祭りが行なわれている。長い歴史に亘って地域に定着してきた夏祭りは、地元にとって大きな財産。多少工夫すれば全国的にも貴重な夏祭りとして立派な観光資源になり得るものが多い。◆新庄まつりは、江戸中期からの歴史を持つ伝統的な夏祭り。開催期間中は東日本最多と言われる露店が並び、宵祭りには20台以上の山車が練り歩くほか、京都祇園祭の流れを組む囃子や、カモシカを模した全国唯一の鹿子踊が行われるなど、地域の観光資源として更なる発展が十分に期待できる魅力を有している。

(8月9日号掲載)

◆太平洋高気圧の勢力が増し、日本各地で猛暑が続く。◆この時期は熱中症が一番怖い。犠牲者の統計をとると65歳以上の高齢者が約6割を占める。体の調節機能が衰えており、水分補給を控える人が多いためだ。心臓病や脳卒中も意外と夏場に目立ち、体内の水不足が誘発させるという。◆真夏の冷房は体感温度の違いで「寒すぎる」、「暑すぎる」と意見が異なり、6割近く家庭でも意見が合わない。妻は寒いを連発。◆うだるような暑さが続く中、夏物商戦が活況を呈している。気温上昇に比例して、エアコンやビール、アイスクリームなどの販売が急増。◆しかし、南半球で冬を迎えているアルゼンチンなど南米各国に寒波が襲来し、死者も出ている。パラグアイでは家畜の牛1000頭が凍死。温暖なボリビアでも少なくとも4人が凍死したという。◆地球温暖化、海面上昇による国土消失を目の前にした国々の深刻な事態を他人事と思っていると、いつの間にか日本も亜熱帯化してマラリヤなどが日常的に伝染することも遠からぬ事かも知れない。早急に便利さだけを考え直す時が目の前に迫っているかも。

(8月5日号掲載)

◆ある青年部の若者の愚痴に付き合った。◆仕事無いけど、休みの日や早朝にはボランティアで忙しい。子どもの相手もままならない。自分の庭は草ボウボウ。例えば、公園や道路、河川の掃除、カーブミラー清掃、植樹、森林整備、落書き消し、消防団活動、血液の安定確保に協力などなど\それに地域、諸団体の行事が拍車をかける。もちろんボランティアだからと言って会社は人件費を払って行っている訳で、1日数人出せば何万円もの負担になる訳です。この非常時に、なぜその負担をあえて負うのかというと、これも加点対象な訳。点数を稼ぐためにはしょうがない\というのが本音かと思います。本当の意味での”ボランティア”は僕は『アリ』と思うのだが\との事。もう『限界集落』と同じ『限界業界』だ〜◆思うに、だれでもできるような活動を“あれもこれも”と評価したのでは、業者の負担が増し、結果的に業者間の優劣にならないのでは。もう少し継続性や付加価値の高さなどを加味した「本当のボランティア」を評価すべきでは。◆年度当初の等級格付けは会社の社運をかけた一大イベント。眠れない戦々恐々の日々をおくる。

(8月2日号掲載)

◆ある青年部の若者の愚痴に付き合った。◆仕事無いけど、休みの日や早朝にはボランティアで忙しい。子どもの相手もままならない。自分の庭は草ボウボウ。例えば、公園や道路、河川の掃除、カーブミラー清掃、植樹、森林整備、落書き消し、消防団活動、血液の安定確保に協力などなど\それに地域、諸団体の行事が拍車をかける。もちろんボランティアだからと言って会社は人件費を払って行っている訳で、1日数人出せば何万円もの負担になる訳です。この非常時に、なぜその負担をあえて負うのかというと、これも加点対象な訳。点数を稼ぐためにはしょうがない\というのが本音かと思います。本当の意味での”ボランティア”は僕は『アリ』と思うのだが\との事。もう『限界集落』と同じ『限界業界』だ〜◆思うに、だれでもできるような活動を“あれもこれも”と評価したのでは、業者の負担が増し、結果的に業者間の優劣にならないのでは。もう少し継続性や付加価値の高さなどを加味した「本当のボランティア」を評価すべきでは。◆年度当初の等級格付けは会社の社運をかけた一大イベント。眠れない戦々恐々の日々をおくる。

(7月29日号掲載)

◆アップルよりタブレット型コンピュータ「iPad」が発表された。インターネットや文書編集など基本的なパソコンとしての機能を備える評判通りの優れものだ。◆しかし、社会的に最も影響を与えそうなのは、 何と言っても電子書籍だろう。 画面上を指でなぞると、 紙の本をめくる感覚で新しいページが出てきて、 字の大きさも自由自在。 大手出版社が早速出した小説は紙の本の半値。では、この製品は日本市場で受け入れられるだろうか。大方の予想は、iPhoneほどのインパクトはもたらさないのでは、というものだ。◆日本の伝統的な書籍流通市場の中で、魅力的な電子書籍市場が生み出されるのか。米国のように発売間もない書籍が、安価で手に入るような市場が形成されない限りは、一般的な電子書籍端末としても普及は難しいかも。◆アメリカでは全学生にこれを持たせた大学もあるとか。教科書は全教科これ1つで足り、 動画や音楽を組み合わせればさらに効果が発揮できる。 ◆日本でも学童のランドセルは不要という時代が遠からず来るのでは。

(7月29日号掲載)

◆漠然と神秘的で謎に包まれた古代文明に対して興味があり、先日、妻と一緒に仙台市博物館で巡回開催されている「黄金の都 シカン」を見に行ってきた。上野の国立科学博物館で開催された「インカ・マヤ・アステカ展」よりはゆったり見学できた。◆インカ帝国というとアンデス文明、ナスカの地上絵、マチュピチュなどを連想するが、「シカン(月の神殿)」という都市については今回初めて聞く名前。◆考古学者の島田泉氏(南イリノイ大学教授)の仮説に基づき、約30年かけ遺跡の調査研究により、「シカン都市」が存在していたことが証明されたようだ。ひとつの仕事を30年の長きに渡り継続してやってこられたことだけでも尊敬に値する。しかも何が出てくるか全く分からず、手探り状態から始めたのだから立派。考古学がとてつもなく長い時間と、想像を絶する体力・根気のいる世界だと、あらためて思い知った。◆干しレンガでつくられた巨大なピラミッド、ロロ神殿横に眠る墓には100点を超す儀式用の黄金の装身具を含む1・2トンという大量の遺物。20世紀後半有数の発掘と讃えられた。◆妻はシカン展スペシャル・ガチャポンの前に。出てきたのは、「ナスカの地上絵・コンドル」。

(7月26日号掲載)

◆山形大学では、「エリアキャンパスもがみ」を地域連携の中核的事業と位置付け、学長主導で積極的に展開している。◆エリアキャンパス構想とは、大学固有の教育研究施設を持たないソフト型キャンパスであり、地域との間で費用と成果を応分に分かち合いながら運営する新たな形態。この構想により、これまでバラバラに行われていた教育活動や地域貢献活動が 「エリアキャンパスもがみ」の名の下、学内外への情報発信が積極的に行われている。◆高等教育機関がまったく存在しないことを逆手に取り、縦割り行政の壁を乗り越えて地域をトータルにデザインするこの構想は、構成する市町村を一体化させる接着剤の役割を果たしている。◆例えば、「もがみ協力隊」は、取り組みに賛同する山大の学生組織。もがみで行われるありとあらゆるイベントへ派遣。また、子供たちに、身近に感じてもらうため「山形大学 見学旅行」を開催している。◆「山形大学エリアキャンパスもがみ」は新しい実験として興味深く、今後の具体的な運営と成果が注目される。

(7月19・22日合併号掲載)


◆6月に国の世界文化遺産特別委員会が開かれ、「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」、「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産暫定一覧表に掲載されることに決まった。◆百舌鳥・古市古墳群は、約1600年前に造られた古墳群であり、世界三大墳墓に数えられる仁徳陵古墳を含むなど、日本の古墳文化を代表する世界的な遺産として高く評価されている。◆佐渡鉱山の遺産群は、400年以上にわたって国内外の金・銀の採掘技術・手法を導入。遺跡・建造物・鉱山都市・集落として良好に継承されており、今や見ることのできない希少な人類の歴史の物証である。◆しかし、日本の暫定リストには、古都鎌倉の寺院・神社、彦根城、平泉の文化遺産、富岡製糸場と絹産業遺産群、富士山、国立西洋美術館本館等と多くが掲載されている。◆来年には平泉、小笠原諸島、ル・コルビジェの設計した国立西洋美術館が世界遺産委員会で審査される見通し。◆価値判断や管理が難しくなってきていることもあって新たな登録は年々厳しくなってきていおり、難しいが期待したい。

(7月15日号掲載)

◆「ボランティア」や「NPO」など、社会的な活動にまつわる言葉や制度が、ここ十数年間に急速な発展を遂げながら現在に至っている。 さらに、プロボノという新しいボランティア手法が注目され、7月1日のNHK「クローズアップ現代」でも取り上げていた。◆公益の無償奉仕といえば、ボランティアが思い出されるが、ボランティアとプロボノとの違いは、ボランティアは「時間」を提供し、プロボノは「スキル」を提供する。◆プロボノは、ラテン語でPro Bono Publico(公共善のために)を略した言葉で、欧米のホワイトカラーにとってはごく一般的に使われている言葉だそうだ。特に、弁護士や会計士、コンサルタントなどが、「月に数時間」「年間で数日」といった時間を決めて、NPOの法律や会計、経営の相談などを無償で行うことがオーソドックスな“プロボノ”のイメージ。◆しかし、会社を辞めて社会起業家になる、NPOを立ち上げるというのは誰もが真似できるわけではない。そこで、仕事を続けながら自分のスキルを社会の役に立てることのできるプロボノというスタイルに注目が集まるようになったのでは。

(7月12日号掲載)

◆消費税は平成元年4月に税率3%で導入、平成9年に現在の税率5%に改正。以後、消費税は国民生活にすっかり定着。◆国庫歳入の大きなものに、所得税、法人税、消費税の三つがある。このうち、所得税と法人税は高額所得者ほど高い割合で税を取られるが、消費税は所得に関わらず一定の税を徴収される。つまり消費税増額の問題点は低所得者に対し不利な課税方式である点にある。◆消費税は日本の5%に対して、フランス19・6%、ドイツ19%、イギリス17・5%、スウェーデン25%など。数値を見れば、日本の税率が低く見えるが、税収に占める消費税の割合を比べるとそうでもない。◆主要国の多くは、食料品など生活必需品の税率を低くし、日本のようにすべての国民を対象に、日用品も贅沢品も関係なく一律となるる制度ではない。◆ここで考えなくてはいけないのが、増税で財政再建した国は何処にもない事。デフレ下の日本で増税すれば、さらにモノが売れなくなり、税収も落ち込む。財政再建の糸口は。

(7月8日号掲載)

◆温室効果ガス削減のために、夏のエアコンの温度設定を28℃に。そんなオフィスで快適に過ごすため、平成17年夏にスタートしたのが「COOL BIZ(クールビズ)」。夏の間、室内の冷房温度を28℃程度に設定しても効率的に働けるように、体感温度が2度程度下がるとされる「ノーネクタイ、ノージャケット」スタイルで活動することを意味する。◆環境省の公募に寄せられた中から従来の「省エネルック」にかわって「クールビズ」ということばが選ばれた。「涼しい」「かっこいい」という意味のある「クール」と、仕事を意味する「ビジネス」を組み合わせた造語。◆環境省はクールビズの認知度は国民の9割を超えており、クールビズ運動による冷房エネルギーの削減で二酸化炭素の排出は2008年が172万トン減少したとしている。◆さらに、面白いデータが。日本建築学会は、神奈川県の電話交換手100人を対象に1年間かけた調査で、冷房の設定が25度の場合と比べ、軽装のみでは、能率低下で期間中、オフィス1平方メートルあたり約1万3000円の損失が出るという試算を。◆しかし、デパートなどで見かけるクールビズ商品は意外に高い。

(7月5日号掲載)

◆「イクメン」?「イケメン」なら知ってるけどと首をかしげる人は。◆「イクメン」とは、育児を楽しむ男性のこと。今、育児に積極的な男性「イクメン」や、これからイクメンデビューを果たそうという男性たちに追い風が吹いている。◆男性の育児休業取得を促すことを柱とした改正育児・介護休業法が6月30日に施行さた。これに合わせて、イクメンの意義を広めようと、厚生労働省の「イクメンプロジェクト」も発足した。両親がともに育休を取る場合、取得期間が「子どもが1歳2カ月(現行1歳)になるまで」に延長される。産後8週間以内に父親が育休を取得した場合、あらためてもう一度取得できるようにもなる。◆ただし一部の規定は、常時100人以下の労働者を雇用する中小企業については平成24年7月1日から施行される。◆取得希望者が増えることが予想されるが、課題は職場の理解をどう広げるかだろう。取得率向上には「取得できる」を「取得しやすい」状況に高めていけるかが鍵となる。◆父親は育児の当事者で替わりはいない。職場に対しての不安は大きいが、親子、夫婦のきずなが強まるに違いない。

(7月1日号掲載)

◆今、スマートグリッド(smart Grid)に注目が集まり、「スマートグリッド展2010」が東京ビッグサイトにて開催された。◆地球温暖化防止への意識が世界的に高まる中、米国で考案された「賢く送電」するスマートグリッドは、第二のインターネット革命と呼ばれるIT技術をはじめとした多種多様な技術を用いるため、関連業界にとって多くのビジネスチャンスが潜在するとも言われている。◆日本の中で、独自の仕様と機能を追求していった結果、携帯電話はグローバル標準と離れた進化を遂げ、「ガラパゴス」と呼ばれるようになった。高性能な端末を作れるにもかかわらず、日本の端末メーカーは国際的な競争力を失っている。同じことがスマートグリッドでも起こり得ることが容易に予想される。◆グローバルな競争が行われる中で、日本だけ独自の送電・配電網が動いている。今のうちから海外でも展開して、スマート・グリッドに適用していく必要があるだろう。◆携帯電話と同じ歴史を繰り返す訳にはいかない。

(6月28日号掲載)

◆便利はつくづく不便だ。最近、そんなふうに感じることが多くなってきた。◆例えば「携帯電話」。仕事をしている人間にとって、携帯電話は必需以上。街を歩いていても、トイレに入っていても、必要な時に電話をかけることができる。しかし、どんな所でも、どんな時にでも電話をかけられるということは、どんな所でも、どんな時にでも電話がかかってくる。見えない縄でがんじがらめにされているようなもんです。◆車も自由そうで不自由(便利=不便)だ。たまの便利さだけでは、全然、勘定があわない。FAX、エアコン、電子レンジ、自動ドアも。生活の中で便利さや小さい快適さを維持するために、実は多大な負担や不自由さを背負わされている。◆20世紀は、技術による「便利」の獲得に狂奔して今がある。しかし、便利から良好な人間関係は生まれにくい。むしろ「不便」こそ、力を合わせる必然性がある。◆今、我々は幸か不幸か不可避的な「不便」に直面している。環境問題や少子高齢化問題などなど。人々が力を合わせる以外に手はない。◆人間は不便から進化を生み、便利から退化を招いているのでは。都会と田舎もそうであるように。

(6月24日号掲載)

◆日本の家計金融資産は1456兆円(日銀調べ)。その55%が超低金利の預貯金や27%強が保険や年金。◆つまり、運用せずに単に預けている状態の金融資産が8割強。その殆どは預金取扱金融機関や保険・年金などによって約550兆円弱が債券に流れ、かなりの部分が日本国債で運用されていると思われる。◆このように日本国民が、運用をしないで効率の悪い預金等に預け続けているからこそ、金融機関を通じて日本政府は国債をドンドン発行、その結果、税収入が40兆円弱なのに、800兆円を超える政府債務を積み上げてしまった。◆日本は30年以上にわたり世界で最も高い経済成長率を実現し、長期にわたり不況が続いているにもかかわらず日本の1人当たりのGDPは4万ドル以上。日本は依然として世界有数の経済大国◆しかし、日本の「ギリシャ化」が緩やかに進んでいるとの見方もある。人口が減少していく上で、次世代の1人当たり政府債務は加速度的に高くなる。歯止めをかけなければならない。政府は、時間がある今の段階で、しっかりと議論をお願いしたい。

(6月21日号掲載)

◆最近、ダンピング価格以外で、技術面でのダンピングが注目されている。◆「技術ダンピング(オーバースペック)」は、総合評価入札で建設会社が高い評価点を得ようとコストや手間のかかる技術提案を競い合うことで、評価点が高ければ、入札金額が高くても落札できる可能性が高まる。その結果、過剰な費用をかけて過剰な品質で施工する問題が発生した。一方、落札した建設会社は技術提案に盛り込んだコストアップ分を負担、利益を圧迫する弊害も起きている。◆総合評価方式が導入された際に、技術提案に高いウェートを置き始めたころから、指摘されてきた問題点の一つ。特に高度技術提案型総合評価方式では顕著。総合評価で高得点を獲得して落札者となりたい応札者が、発注者が想定している以上のハイスペックな提案を行うことにより、他の応札者より高評価を得て落札者となろうとする。◆国交省は22年度対策として、技術提案数は最大5、現場条件要求レベルのものは標準案、過剰な要求レベルを設定しない事にしている。また、「オーバースペックな技術提案」と評価した提案については、競争参加資格通知時に、併せてその旨を通知する事にしている。

(6月17日号掲載)

◆明治10年代初頭。鉄道もきていない僻遠の地、山形に、県令三島通庸(みちつね)が着任した。「富国強兵」、「殖産興業」、「文明開化」の明治政府スローガンのもと、強力に近代化を推し進め、国内でもまだ珍しい西洋風建築の官庁街を出現させた。山形市の中心部に郡役所、警察、師範学校、病院など「擬洋風」といわれる建築物が並んだ。どれも白亜の外壁に包まれ、尖塔、バルコニーを持つ重厚な作りだった。また、三島が県令時代に手がけた土木工事は道路23件、架橋65ヶ所、堤防11ヶ所、用水堰2ヶ所と県の土木統計にあるという。山形県の土台ができあがったのである。◆名産のサクランボや洋ナシ、畜産、織物なども三島だという。◆しかし、伊藤博文の後ろ盾により、「鬼県令」とあだ名されるような極悪非道の面もあったようである。◆道路開削のために農民を強制労働、払えない者には家財道具を強制押収。工事の費用は強制的に地元負担とし、工事の対象となる土地を強制押収、工事中止を求めた指導・支援者を投獄。数々の暴挙が挙げられる。◆のちに県令として赴任した栃木県では最悪の指導者として語り継がれている。

(6月14日号掲載)

◆毎日コミュニケーションズが運営するCOBS ONLINEは先月末、20代ビジネスパーソンを対象とした「今の会社に改善してほしいことランキング」を発表した。調査は20代男性269名にインターネットログイン式のアンケートで、4月28日から5月11日に実施した。◆今の会社の嫌な点・改善したいランキングでは、1位が給料が安い45・0%、2位残業代が出ない23・1%、3位有給休暇を使いにくい21・2%、4位成果が給料に結びつかない16・7%、5位残業・休日出勤が多い15・6%と続いている。◆トヨタの労使相互信頼は、「労使が会社の繁栄を共通の目的として価値観を共有する」「会社は雇用の安定を最大限に考慮し、かつ進んで労働条件の改善に努める」「従業員は会社繁栄のために会社諸施策に協力する」などを基本精神としている。◆成果主義があたりまえの時代に、あたりまえのものには付加価値は無いに等しいとするなら、では、付加価値は共に感動する組織づくりの追求、「人間性」こそが企業の競争力の源泉になるのでは。

(6月10日号掲載)

◆政府は、従来の方式とは異なる方法で社会資本整備を進めようとしている。◆新しい方式として導入しようとしているのが、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)方式。日本語では「公民連携事業」「官民協働事業」。◆PPPは、従来、公営で行ってきた事業に民間事業者が事業の計画段階から参加、施設は官が保有、設備投資や運営を民間事業者に任せ民間委託などを含む手法。◆PFIとの違いは、PFIが国や地方公共団体が基本的な事業計画をつくり、資金やノウハウを提供、民間事業者を入札などで募り選定するのに対し、PPPは事業の企画段階から民間事業者が参加、広い範囲の事業を民間に任せる点にある。◆日本のPFI事業は、「ハコモノ」が多くの実績を残しているが、インフラ部門での実施例はほとんどないが、世界的には土木分野が主流。◆しかし、PPPは、建設工事を受注するだけでなく、計画段階から施工、施設の運営、管理、修繕、補修に至るまで一連のプロセスをマネジメントする能力を身に付けなくてはならない。◆前原国交相はPPPを積極的に取り入れていくと語り、PPPが社会資本整備の主流になる可能性も。

(6月7日号掲載)

◆NHKの「ワールドカップ」特番で、心温まる日韓ワールドカップの一コマ。◆練習場から帰るデンマーク選手のバスを追う2人の小学生の姿。弟は母親がこぐ自転車に乗り、お兄ちゃんは走って追い掛けた。練習場でサインをもらい損ねた親子がバスを追いかける。母親がこぐ自転車は橋の急な上り坂で減速、お兄ちゃんは一生懸命全速力で走った。子供らが汗だくで3キロ近く離れたホテルに到着したとき、バスにはすでに選手の姿がなく昼食の最中だった。しかし、2人に気付いたオルセン監督が笛を吹いて選手を呼び集め、全員でボールにサインをしプレゼントした。子供は大喜びし、母親は感動して涙をこぼした。◆和歌山県とデンマークは、キャンプ地誘致以前から、不思議な接点を持っていた。その接点とは、約45年前起きた海難事故救助で生命を投げ打った海の男の話である。美浜町日ノ岬の高台は、「クヌッセンの丘」として顕彰碑と胸像が建っている。◆W杯1次リーグA組でフランスを破り1位通過したデンマーク代表。決勝トーナメントではイングランドに敗れたが、キャンプ地・和歌山に感動を残し日本を去った。今も交流が続いている。◆侍ジャパンも世界に感動を。

(6月3日号掲載)

◆NHKは23年放送の大河ドラマを「江〜姫たちの戦国〜」に決定。戦国武将ブームはまだまだ続くようである。◆では「人生五十年、下天のうちに比ぶれば 夢幻の如くなり ひとたび生を得て滅せぬもののあるべきか」の信長については。◆天童市の舞鶴山に織田信長を祀る建勳神社があるが、京都の船岡山にある健勲神社と同様、織田信長を祭神としている。天童市と織田家とのつながりは、織田信長の二男・信雄から数えて10代目の信美が文政13年に陣屋を天童に移したことに始まる。◆山県大弐事件で、一切の特権や待遇を奪われてしまい、また、2万石の領地は3カ所に分けられ、文政13年に館や藩役所を高畠から天童に移した。天童がその支配下に入ってから、幕末に織田藩が消滅するまで、およそ100年間続いた。◆天童市は、織田信長の直系、宗家の織田信雄系の家が明治維新まで続いた最後の城下町で、織田信長の肖像画は、現在、三宝寺のみに残されている。◆一方、地方公共団体11の市町で織田信長を活用した地域活性、街づくり推進のため織田信長サミットを開催している。

(5月31日号掲載)

◆日本弁護士連合会は、生活保護の支給基準を緩和し、受給者に自家用車の保有を認めるよう求める意見書を厚生労働省に提出。てんやわんやで批判や疑問が相次いでいる。◆理由は、ぜいたく品とされたテレビやエアコンの所有は認められるようになっており、車は8割の世帯に普及するなど生活必需品となっているからという理由らしい。さらに、生存権保障に欠ける、不当に移動の自由を制限すると主張。◆生活保護は「国で定める最低生活費を下回る場合に、足りない部分について保障する」制度。仕事の給与、年金、各種福祉手当、仕送などを合計して、なお最低生活費に満たない場合に、その足りない部分が保護費として支給される。◆しかし、車の年間維持費は、軽自動車でも年間数十万に上る。◆厚労省保護課では、意見書の提出を受けたものの、具体的にどうするかはまだ決めていないとしている。◆交通事情で都市部と田舎とで意識が全然違うと思うが、真に必要な人たちへしわ寄せが行くのは避けなければならない。

(5月27日号掲載)

◆私は毎日、朝・昼・晩、コーヒーブレイクで世の喧噪から離れます。◆社団法人全日本コーヒー協会によると、コーヒーを飲むとこんな良いことが。二日酔いによる頭痛を和らげる。体内代謝を活発にするため、スポーツの後の筋肉疲労を取るには良い。2時間程血流をよくする作用があるため「朝が弱い方」にお勧め。コーヒーの香はリラックス効果があるため、ストレスを感じたら飲む。◆また、最近注目されているのが、糖尿病の予防効果。世界各国から相次いで「コーヒーに2型糖尿病を予防する効果あり」という報告がされているそうだ。◆一方、コーヒー協会の逸話の中に、軍隊の飲みものにコーヒーを初めて採用したのはナポレオンで『体を暖め、勇気を引き出してくれるこのコーヒーを兵士達に与えよう。余の作戦と優れた兵士達がいれば、世界は余の手のひらにあるも同然』と言ったそうです。さらに、コーヒー愛好家であったバッハは、『お静かに、おしゃべりめさるな』というカンタータをライプツィヒのカフェで、自ら指揮棒を振り初演。これが俗に『コーヒー・カンタータ』と呼ばれる風刺喜劇。

(5月24日号掲載)

◆建設業適正取引推進機構では、平成19年9月「建設業のためのコンプライアンス」の初版を刊行、今年3月に法律改正や事例等を踏まえ改訂を行った。◆今、企業は法令を守っていれば良いと言うだけでなく、社会規範や企業倫理をも守ることが求められている。社会経済環境の変化の中で、企業が持続的、健全に成長していくためにはコンプライアンス経営が必要不可欠。建設業についても、その事業規模の大小にかかわらず、コンプライアンスへの取組みが他産業と同様に求められている。◆一方、談合は秘密裏に行われる行為で、摘発される可能性は少ないと考えられてきたが、そのような状況は今や一変。終身雇用制が崩壊、非正規社員が増え、リストラの機会が多くなっていることなどによる内部告発の急増。内部通報者を保護する制度、自首した企業への課徴金減免制度(リニエンシー制度)、公取委の調査権限の強化、検察庁の活動の活発化などである。◆企業・企業人として「正義」をどう受け止めているのか、それが企業の強さに繋がる。

(5月20日号掲載)

◆政府の方針転換で建設企業主の悲痛な叫びと、リストラによる従業員の怯えが消えない。◆リストラは、リストラクチュアリングの略で、正確な意味は「再構築」。つまり、構造を改革すること。特に、企業が不採算部門を切り捨て、将来有望な部門へ進出するなど、事業内容を変えること。退職させることは俗に言っているに過ぎない。◆「リストラ」は、経営構造の立て直しであり、経営資源の再配分。一部に生じた余剰生産力を新規事業に振り向ける多角化。逆に多角経営の下で、不採算部門を縮小して本業に特化するのも一つ。◆安易に「人員削減」と解釈して、本来の意味の事業再構築を合理的に進めないまま整理解雇に走るのは、企業側および労働者側の双方にとって、まして法律上も、百害あって一利なし、経営者の責任が問われる。◆アメリカの多くの企業では、査定結果を従業員に知らせて、署名を求める。何故なら、裁判になった場合、雇用差別がなかったという検証責任は会社側にある。◆しかし、日本にはその習慣がない。全てが負の連鎖となっている。

(5月17日号掲載)


◆日本建築学会建築博物館デジタルアーカイブスに伊東忠太の資料が第1号となった。資料群は平成8年に遺族より寄贈されたもので、伊東自身による日記、書簡、古写真などから構成、総資料数8969点。現在は11の大分と96の細分によって資料群が構成されている。◆主な資料は、日記76冊、絵葉書3717枚、うきよの旅ノート17冊、スケッチ、写真、分析メモ55点、書簡1648通、古写真3038点、拓本61点、地図類81点。上杉神社再建に関する設計図、法隆寺諸堂の実測図、満州建築観測図など67点など。怪奇図案集は未だのようである。◆伊東忠太は、39歳で東京帝国大学の教授、43歳で「建築進化論」を発表、明治44年に真宗信徒生命保険会社設計。その後、祇園閣、湯島聖堂、一橋大学の校舎群などを発表、築地本願寺は昭和9年の完成。◆米沢市の名誉市民なのだが、戦国武将ブームで上杉博物館の片隅に足跡が印されているだけ。米沢市文化課では、資料の収集も資料館の整備も白紙との事。日本の建築学の発達に寄与された業績を考えると、誠に残念。

(5月13日号掲載)

◆BSのテレビでオペラ座の今昔を見た。◆オペラ大通りの先に堂々と構えるオペラ座は、ルイ14世時代にナポレオン3世の命によって建設された。建築デザインはコンクール形式で行われ、当時無名だった35歳の若き建築家シャルル・ガルニエが見事栄冠を手にし、オペラ・ガルニエと名づけられた。大胆な都市計画が決めてとなったオペラ座は、幅125m、奥行73m、総面積11237u、ファサードはコリント様式の列柱とアーチ。豪壮にして華麗。ホワイエはまるで宮殿のような豪華さで、ヴェルサイユ宮殿を彷彿とさせる。マルク・シャガールの手がけた天井画の下で、赤と金色の座席に腰をしずめて、見るのは圧巻。オペラ座は、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場と共に世界の三大オペラ劇場と言われる。◆また、ガルニエは落成式に呼ばれなく、怒ったという逸話が残っている。さらに、州政府と対立しオペラ・ハウスを設計したウツソンも落成式には出席していない。◆一方、日本にも素晴らしい歌舞伎座という殿堂があるが解体の羽目に。岡田信一郎設計の劇場建物は、現に国登録文化財であり、東京・銀座の重要なランドマーク。

(5月10日号掲載)

◆上杉の城下町米沢に戦国なりきりワールド「戦国の杜」がオープンした。上杉謙信、上杉景勝、直江兼続、前田慶次など米沢ゆかりの戦国武将を中心に、さまざまな情報を紹介していく武士専用サイト。◆傾奇者(かぶきもの)の前田慶次という戦国武士は、小説・コミックをはじめパチンコやゲームなどの遊戯を通じてその認知が全国に広まった。◆その慶次の人物像は、破天荒さに特化し、視覚的に明確化されたと言える。◆さて、実在した人物なのかについては、自筆の紀行文「前田慶次道中日記」があり、没後間もなく記された「上杉将士書上」にも簡単な履歴が載せられ、紛れもなく実在の人物と言えそうだ。◆長谷堂の合戦では、直江兼続に従い共に殿軍を引き受けたのが慶次。水野・藤田・韮塚・宇佐美ら朱柄の槍を持った5名と兵300をもって、最上軍の中に縦横無尽に分け入って戦っては退き、戦っては退くという見事な戦い振りで最上軍の士気を止めたそうだ。◆昨年6月4日に前田慶次の供養祭がおこなわれ、来年が400回忌。◆因みに、私の誕生日は6月4日。生まれ変わりか?

(4月29日号掲載)

◆中心市街地の衰退の原因は、区画整理と見ている人が多い。◆中心市街地は、商業・業務・居住等の都市機能が集積している「まちの顔」というべき地域。しかし、人口、販売額・歩行者数は減少。そして、郊外型大規模店舗へ消費者の目が向く。◆区画整理をおこなっている郊外には各種施設ができ、商業機能が移り、消費者ニーズへの対応ができていない。◆その一因がまちづくり三法。その流れは、郊外型大規模店舗出店規制から緩和へと動き、中心市街地衰退議論で、再び規制の方向へ右往左往。◆郊外化は、人口増加とそれにともなう郊外への区画整理、道路整備、商業施設・公共公益施設の郊外移転という状況が重なって生まれる。◆山形市では「中心市街地活性化基本計画」を策定、様々な取り組みを行っている。中心市街地として、商店街として、その役割やテーマを明確にし、人を呼び込もうとする。◆しかし、郊外と都心部とのバランスを是正しない限り、市域全体の継続的な成長を期待することはできない。どちらが衰退しても不都合となる。差別化を図ることが鍵か。

(4月26日号掲載)

◆著しい倦怠感と一向に上がらないモチベーション。新年度が始まって、五月病の季節です。◆大学に入りたての5月頃に見られる症状として、一般に知られるようになった「五月病」。近年では、新社会人に同様の症状が増えてきている。新社会人の場合は、新人研修などが終わって実際の仕事をはじめた後の6月頃に症状が出ることが多いため、新五月病または「六月病」と呼ばれている。◆では、どのような人がストレスによって病気になりやすいのか。一つは過労などによって体の抵抗力が衰えている人。抵抗が弱まると、自律神経系の調整能力が低下し、ストレスの影響を受けやすくなるので過労は禁物だそうだ。一般的に、優等生タイプがストレスに弱いと言われている。◆日本人の風潮として、「今日出来ることを明日に延ばすな。」ということを小さい頃から言われている。これが「やらなきゃ!」という気持ちが先走り、五月病になりやすい。ラテン系は「明日出来ることは今日しない。」こういう考え方。家族や同僚は、つい「頑張れ!頑張れ!」と言う。これは、禁句だそうだ。◆この五月病は医学用語ではなく、医学的には「適応障害」と診断される。

(4月22日号掲載)

◆ここ最近、新党結成の話題が目白押し。無所属の平沼赳夫元経産相を党首とする新党「たちあがれ日本」が結党。与謝野馨元財務相と事実上「2枚看板」の体制。◆また、東京都杉並区の山田宏区長が代表となって立ち上げる新党がある。斎藤弘前山形県知事のホームページをみると、具体的に掲げる政策について、山田氏、中田氏、斎藤氏が連名で「文芸春秋」に寄せた論文『このままでは、日本は三年後には財政破綻する』が掲載。◆各自治体を死に物狂いで経営し、借金を減らしてきたプロの集団と自負。財政破綻目前の日本を救うべく立ち上がったオールジャパンの政党と、財政再建の実績を最大の武器としている。政策では、「経済・地方・国家」の自立を掲げ、地方の自立は、地域ごとの特色を生かした発展を目指す。国家の自立は、自国の防衛に対する意識を見直すことが必要と主張。◆様々な新党が結成される動きがあるが、それが本当に国民に支持されるのか、現在の民主党中心の政権を倒す存在に成り得るのか、有権者の目にはどう映っているのだろう。言うことは容易い。

(4月19日号掲載)

◆土工協の経営企画委員会特別WGは4月9日、「日本を元気にする処方箋(中間とりまとめ)」を発表した。◆同報告は、協会の枠に捉われずに、“わが国を元気にする”方策、およびその中での“建設企業の貢献”の可能性について検討したもの。◆報告書では、幅広い視点から日本を元気にする3つの処方箋を提案。さらに処方箋を受け建設企業が、そのマネジメント力を活かして、どのような貢献ができるかを提示している。◆大都市の国際競争力と魅力では、グローバル特区を創設し、次世代環境・交通システム等の先進的なモデルプロジェクト、大学の国際競争力強化、駅空間の託児・医療・福祉拠点化│等をあげている。◆自立した地域社会の実現では、自ら付加価値を生み出すことで自立した地域社会を実現するため、広域圏での取り組みへの交付金等の支援措置、自然環境及び景観の再生・保全│等◆世界の課題にわが国の技術力で対応するでは、低炭素型インフラ整備、官民一体のオールジャパン会社設立│等、懐は広い。◆今後、広く意見を求め、アンケート調査を実施、さらに必要な検討を行う。◆小さくなったパイを、どこまで大きくできるか期待したい。

(4月15日号掲載)

◆完成しているビルの高さの日本一は、横浜ランドマークタワーで地上70階建、床面積39万2885u、高さ296m。完成した1993年から16年以上も日本一を維持している。続いて、大阪府のりんくうゲートタワーの256m。1995年に竣工し地上56階建。関西国際空港の玄関口りんくうタウン地区に位置。一方、近鉄百貨店が入る阿部野橋ターミナルビル(59階、高さ約300m)が日本一を塗り替える日は近い。◆世界に目を向けると、今年に竣工したアラブ・ドバイのブルジュ・カリファ(Burj Kahalifa)が地上168階建、828mで世界一。内装はジョルジオ・アルマーニが担当した。◆今後は、クウェートで進行中の「ブルジュ・ムバラク・アル=カビール(en)」高さ1001mが計画。また、ドバイでも、高さ1400mの「ナキール・タワー」の建設に着手、さらに高さ2400mの「ドバイ・シティ・タワー」の建設も予定。◆果てしない高さの競争の終止符は見えない。しかし、世界経済は、ドバイ・ショックなど予断を許さない情勢が続いているのだが。

(4月12日号掲載)

◆長野県の伊那市に本社を置く伊那食品工業は寒天のトップメーカー。1958年の創業から48年間、増収増益を達成し、現在の売り上げは165億円、従業員は約400名。◆同社が国内マーケットに占めるシェアは8割、世界でも15%。帝人、トヨタグループ幹部等が同社を見学に訪れている。◆実質的な創業者の塚越寛会長は、機械はカタログに書いてあるスペック以上の仕事はしない。しかし人間はやる気になったら、やる気のない人の3倍くらいは働く≠ニ社員のやる気を引き出すことが会社を強くすると断言している。◆「伊那食ファミリー」と言われる由縁は、年功序列の原則を維持していること。末広がりの自然体経営の姿だとしている。◆また、同社の基本になっている言葉がある。二宮尊徳翁のことばで、遠きをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す。それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う。まして春まきて秋実る物においてをや。故に富有なり。近くをはかる物は、春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず、唯眼前の利に迷うてまかずして取り、植えずして刈り取る事のみ眼につく。 故に貧窮す。≠ワた、道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である

(4月8日号掲載)

◆県税収入の落ち込みは、長引く景気の低迷により、今後も改善の見通しは立っていない。財政調整のために活用できる基金残高も減少の一途。また、義務的経費の増大による県財政の硬直化が進展する一方、行政需要は、引き続き、拡大する傾向にある。◆県の22年度予算は、引き続き県税収入が減収となる一方で、地方交付税及び臨時財政対策債が増額となったが、それでもなお135億円の財源不足。これに対し、全体として117億円の財源確保対策を講ずることで、財源不足額を圧縮、なお不足する18億円について、調整基金を取崩し収支の均衡を図った。◆しかし、23年度以降も毎年度100億円を上回る不足が見込まれ、対策を講じなければ、24年度には調整基金が枯渇してしまう。◆そこで県は、「県財政の中期展望」を策定。自由度の高い財政への転換に努める。◆齋藤前知事は、県政史上初めて県債残高を減少させたことは紛れもない事実。政権が交代し先行きが見えない時だからこそ、財政規律における本県のスタンスをきっちりと決めておかなければならない。

(4月5日号掲載)